ウェアラブルとは何か?ウェアラブルデバイスの種類や出来ること

ウェアラブルとは何か?ウェアラブルデバイスの種類や出来ること

最終更新日 2023.09.25

この記事の要点

  1. ウェアラブルとは「身に着ける・着用する」の意味
  2. ウェアラブル製品にIoT機能を持たせた製品をウェアラブルデバイスと呼ぶ
  3. ウェアラブルデバイスの機能は健康管理・インターネット通話・ゲームなど
  4. ウェアラブルデバイスの種類は腕時計型・メガネ型・指輪型など
  5. ウェアラブルデバイスは医療や介護でも活用され始めている

Apple Watchをはじめとするスマートウォッチの普及など、私たちの生活の中でウェアラブルデバイスはずいぶん一般的なものになってきました。

最近ではApple Watchのような腕時計型ばかりでなく、いろいろな種類のウェアラブルデバイスが登場してきています。

また、ウェアラブルデバイスの活用方法も拡大しています。単なるオシャレな便利グッズとしてだけではなく、医療や介護の現場でもウェアラブルデバイスが見られるようになりました。

今回はウェアラブルデバイスについて、基本からわかりやすく解説していきます。

ウェアラブルとは

「ウェアラブル(wearable)」とは、日本語で「身に着ける」「着用する」を意味する言葉です。

ウェアラブルという言葉は、ウェアラブルデバイス(身に着けられるIoT機器)のことを指す際に多く使われます。 

IoTとは「モノのインターネット化」のことです。IoTについて知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
高齢者でも簡単に命令できるスマートホーム技術 イノベーションより使いやすさ重視

日常的に着用している製品にIoT機能を付与することにより、パソコンやスマートフォン以外でもインターネットが使えるようになってきています。

ウェアラブルデバイスの種類は、腕時計型、メガネ型、靴型などさまざまで、私たちが日常的に使用する製品に近い形状で作られています。

これらのウェアラブルデバイスを身につけることで、健康管理、電話、インターネット、ゲームを従来以上に手軽に行えるようになり、より豊かなサービスを提供できると期待されています

ウェアラブルデバイスの種類

現在、日本で一般的に販売されているウェアラブルデバイスは以下のとおりです。

腕時計型

「ウェアラブルとは何か」と聞かれて、多くの人が思い浮かべる形状は腕時計型のウェアラブルデバイスだと言えるくらい、腕時計型はウェアラブルデバイスの代表格です。

別名スマートウォッチ、ウェアラブルウォッチなどとも呼ばれています。

一般的な腕時計を見るようにインターネットを閲覧できるため、使用感は通常の腕時計とほぼ変わらない点が特徴です。

画像引用:Apple Watch Series 8 – Apple(日本) 
費用相場:59,800円~

スマートウォッチについては以下の記事でも触れていますので、今回の記事とあわせてご覧ください。
高齢者の見守りにスマートウォッチが活用できる! 機能紹介とおすすめ機種8選

リストバンド型

リストバンド型ウェアラブルデバイスは、腕時計型と同じように手首にはめるタイプです。

時計機能はなく、多くのリストバンド型では表示できる内容も限定されています。

ただし腕時計型よりもスリムで邪魔にならないため、腕時計型ほどのたくさんの機能はいらず、必要な機能だけが欲しい方には好まれています。

画像引用:HUAWEI Band 8 を購入- HUAWEI JP
費用相場:8,580円~

メガネ型

メガネ型のウェアラブルデバイスは、インターネットで映像や音楽を楽しみたい方によく好まれています。中には、視力の矯正ができるメガネ型ウェアラブルデバイスもあるため、普段メガネをかけている方でも使えます。

画像引用:HUAWEI Eyewearを購入-HUAWEI JP
費用相場:32,780円~

指輪型

指輪型のウェアラブルデバイスは、別名スマートリングとも呼ばれています。リングの内側が肌と接触することにより、身につけている方のバイタルデータが測定できます。

また家電の操作や、一部のスマートリングではキャッシュレス決済なども可能です。

指輪型ウェアラブルデバイスの一番のメリットは、身につけて邪魔にならない点です。見た目も普通のアクセサリーとあまり変わらず、着用したまま就寝してもほとんど気になりません。

画像引用:Oura Ring. Smart Ring for Fitness, Stress, Sleep & Health.
費用相場:47,000円~(参考:ヨドバシ.com

イヤフォン型

イヤフォン型ウェアラブルデバイスは、出先でいつも音楽を楽しみたい方によく好まれているウェアラブルデバイスです。

音楽を聴くだけでなく、イヤフォン型ウェアラブルデバイスの中には頸椎の姿勢を管理する機能が備えられている商品もあります。耳につけるウェアラブルデバイスならではの利点と言えます。

画像引用:Soundcore Liberty 4 | 完全ワイヤレスイヤホンの製品情報 – Anker Japan 公式サイト
費用相場:14,990円~(参考:ヨドバシ.com

衣類型

衣類型ウェアラブルデバイスは、上半身に着る肌着タイプが一般的です。ウェアラブルデバイスとしての機能は健康管理に特化しています。

肌に触れる面積が大きいため、手首など身体の一部分だけを測定する他のウェアラブルデバイスよりもバイタルデータの正確な測定が可能になります。また着用があまり負担にならない点もメリットです。

画像引用:hamon® [ウェアラブル,スマートウェア,ストレスチェック,シャツ,三寺歩] | ミツフジ株式会社 | 生体情報で、人間の未知を編みとく【AGposs, hamon】

また、保育所などで乳幼児の安全を見守るためのウェアラブルデバイスも登場しています。

肌着に付属したセンサーがストレスや体調、お昼寝中の体勢を計測し、保育士に通知します。

画像引用:cocolin
費用相場:初期費用 8,800円 / 園児1名、月額 2,530円 / 園児1名

靴型 

靴型ウエアラブルデバイスはランナーやアスリートの効果的なトレーニングのために利用されています。 

EvoRide ORPHEは株式会社no new folk studioと株式会社アシックスが共同開発したスマートシューズです。 センサーを内蔵したランニングシューズで、「走り方」をデータ化し、ランナーの改善点も見える化します。 

画像引用:EVORIDE ORPHE〈エボライドオルフェ〉 – ORPHE公式サイト
費用相場:32,780円~

その他 

健康な方は身につける必要がなくても、加齢や病気などの理由により身につける必要性が生じる品物があります。

例えば足が不自由な方や高齢者が、移動や外出の際に使用する杖や歩行器、車椅子などです。

このような特殊なウェアラブル製品にも、IoT 機能を付与してウェアラブルデバイスとして活用しようとする研究が行われています。以下の記事にて解説していますので、あわせてお読みください。
視覚障害者でなくても欲しい「スマート杖」とは
念じるだけで動かせる車椅子 介護におけるAI・BMI応用の最先端

ウェアラブルデバイスでできること

ウェアラブルデバイスでできることは、種類にもよりますが一般的には以下のようなことができると言われています。

  • 健康管理
  • 電話・インターネット
  • ゲーム

健康管理

ウェアラブルデバイスによっては、身につけている方のバイタルデータが測定できます。

日々の状態を測定することによって健康管理に役立てることができ、また数値に変化があったときには深刻な事態になる前の対処が可能になります。

ウェアラブルデバイスが測定可能なバイタルデータの例

  • 心拍数(脈拍)
  • 体温
  • 血中濃度
  • 血圧
  • 歩数
  • 運動記録
  • 消費カロリー
  • 睡眠時間・睡眠の質

ウェアラブルデバイスが測定したバイタルデータを具体的にどのように健康管理に役立てるのかについては、以下の記事なども参考にしてみてください。
暑さで起こる高齢者のストレス・体調変化とは?スマートウォッチでモニタリング!

電話・インターネット

腕時計のような形状や、イヤフォン・ヘッドフォンのような形状のウェアラブルデバイスは、スマートフォンや携帯電話を手に持たなくても電話やインターネット通話ができます。

またメールの送受信や、SNSのメッセージの受信・返信もできます。

ゲーム

VR ゴーグルを使って仮想空間でのゲームを楽しむことも、ウェアラブルデバイスの活用方法のひとつです。VRゴーグルだけでなく、リストバンドや手袋型のウェアラブルデバイスを使って身体の動きをゲーム内に反映することもできます。

VRゴーグルを着用して楽しめるVRゲームについては、以下の記事なども参考にしてください。
VRゲームで軽度認知障害(MCI)が改善!認知テストや脳波、身体テストで効果を確認

ウェアラブルデバイスを活用するメリット

パソコンやスマートフォンではなく、ウェアラブルデバイスを用いることで使用者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

邪魔になりにくい

パソコンを使用するときには椅子に座って机上のパソコンに向かう必要があります。スマートフォンは持ち歩きが可能ですが、使用中にはスマホを手に持って操作する必要があるため、片手がふさがり邪魔になります。また移動中の歩きスマホは非常に危険です。

身につけるタイプのウェアラブルデバイスであれば、使用者がどのような状態でも操作ができるため、両手を使う作業やスポーツをしながらでも使用可能です。

詳細なデータが得られる

血圧計や血中濃度を測定できる機器は従来より存在していますが、ウェアラブルデバイスの場合は、身につけている限りは「常に」バイタルデータの測定が可能になります。

意識しなくても自動的にバイタルデータが測定されていくため、使用者の健康状態の変化などについてより詳細なデータが得られます。

他のデバイスと連携できる

多くのウェアラブルデバイスは、スマートフォンなどの機器と連携できる機能が備わっています。

ウェアラブルデバイスで測定したバイタルデータをスマートフォンで確認したり、スマートフォンに届いたSNSのメッセージなども、スマートフォンを取り出さなくてもチェックが可能です。

また、ウェアラブルデバイスと同じようにIoT機能を備えたスマート家電と連携すれば、ウェアラブルデバイスからスマート家電に命令して、照明やテレビのオンオフ、エアコン温度の調整なども可能になります。

ウェアラブルデバイスの選び方

ここでは、ウェアラブルデバイスを選ぶための観点を3つご紹介します。

使用目的で選ぶ

ウェアラブルデバイスは、活動量計タイプとスマートウォッチタイプの2種類に分かれます。

活動量計タイプはスポーツやダイエットの記録に特化して使用したい方におすすめです。

スマートウォッチタイプは、活動量計タイプの機能に加えて、スマートフォンの代わりとして電話やメール、スケジュールを確認することができるので、ビジネスシーンでも使用したい方におすすめです。

センサーで選ぶ

ウェアラブルデバイスは、製品によって内蔵されるセンサーが異なり、得られる情報が変わります。

例えば、登山やサイクリングなどアウトドアで使うなら、GPSセンサー付きがおすすめです。位置情報を取得して経路のログをとったり、残りのコースを確認したりできます。

OS・メーカーで選ぶ

OS(オペレーションシステム)とは、パソコンやスマートフォンの管理、制御に必要なソフトウェアのことで、Apple社のiOSとGoogle社のAndroid OSが代表的です。

ウェアラブルデバイスはパソコンやスマートフォンと接続して使うので、ご自身がすでに持っている端末と連携できるか確認しましょう。

医療・介護で活用されるウェアラブルデバイス

身につけるだけでいろいろなインターネットの機能が使えるウェアラブルデバイスの活用は、医療や介護の分野にも広がっています。

ウェアラブルデバイスを活用したヘルスケア製品の市場規模は、2017年から2020年までの3年間で3倍以上にも成長し、2022年現在ではさらに拡大していると考えられます。

介護施設や在宅介護においても、高齢者にウェアラブルデバイスを装着した状態で生活してもらい、体調チェックや見守りに活用すれば介護者の負担軽減が可能になると考えられます。

認知症の初期検知にも

介護分野におけるウェアラブルデバイスの活用は、認知症の初期検知にも役立てられる可能性があります。

過去にAIケアラボがご紹介した研究では、足首に装着したアンクレット型のウェアラブルデバイスが収集した足の動き方のパターンを解析して、認知機能の低下度合いを判別できたとのことです。

まだ実用化の段階には至っていませんが、もしこの研究が進み実用化されれば、認知症の早期発見に大きく貢献できると期待できます。
アンクレット型のデバイスで認知症を自動検出

まとめ

今回はウェアラブルとは何か、ウェアラブルデバイスの種類やウェアラブルデバイスでできること、ウェアラブルデバイスの医療や介護への貢献について解説しました。

IT技術の進歩により、私たちが通常身につける衣類や小物でもインターネットの機能が使えるようになりました。

その恩恵を受ける私たちは、新しい技術を使って何ができるか、これからの未来にどう貢献できるかを一緒に考えていきましょう。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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