高齢者の話し相手に最適なコミュニケーションロボット4選!選び方まで

高齢者の話し相手に最適なコミュニケーションロボット4選!選び方まで

最終更新日 2024.01.22

この記事の要点

  1. 人間と会話ができるロボットは高齢者の話し相手になる
  2. 高齢者の話し相手にロボットを活用すると孤独の解消・フレイル予防・介護者の負担軽減になる
  3. おすすめの会話ロボット・おしゃべりトイを紹介
  4. 介護施設向けロボットは話し相手以外にもさまざまな種類がある

声を発すること、会話をすることは言語能力を保つためにも重要な要素です。

誰とも話をしない生活は、孤独感によるストレスで心身ともに悪影響を与える可能性があります。特にひとりで暮らす高齢者の場合は人と会話する機会も減ってしまいがちですので、心身の健康のためにも、会話の機会を維持しておくことが重要です。

そこで今回は、高齢者の話し相手としておすすめできるロボットを紹介します。

ロボットは人間の代わりにはなり得ませんが、ロボットを話し相手とすることである程度は高齢者の癒しになるかもしれません。 高齢者の孤独を解消するひとつの手段として ロボットの利用も考えてみましょう。

ロボットが高齢者の話し相手をする利点

おしゃべりする高齢女性

高齢者の話し相手としてロボットを採用する利点は、以下の3つが挙げられます。

高齢者の孤独が解消される

生涯未婚率の増加や核家族化により、高齢者の単身世帯が増えています。

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によれば、2040年には65歳以上の高齢者のおよそ40%が単身世帯になるとのことです。

画像引用:平成30年版 情報通信白書|単独世帯の増加  総務省

日常的な会話を交わす家族がいない高齢者の場合、日頃から近所づきあいなどをしていないと、ほとんど人と話す機会がありません。

高齢者の孤独は認知症や老年期うつなどを引き起こす要因にもなりますので、できるだけ多くの話し相手を見つけて対話の機会を増やす必要があります。

そこで話し相手としてのロボットがいれば、孤独の解消に役立ちます。

高齢者のフレイル予防ができる

コミュニケーションロボットの中には会話だけでなく歌や踊りを披露できるロボットもあります。

ロボットの誘いに応じて一緒に歌ったり踊ったりすることで、高齢者の運動の機会が増えてフレイル予防が可能になります。

以下の記事は高齢者の自宅エクササイズをサポートするロボットの研究です。今回の記事とあわせて参考にしてください。
ロボットによる高齢者の自宅エクササイズ支援。スペインの研究グループが開発

介護者の負担が減る

自宅介護をしている家族や介護施設の職員が高齢者の話し相手になれればよいのですが、ただ単に高齢者の話し相手をしているだけでは介護に必要な作業がすすみません。

やるべきことはあまりにも多く、のんびり対話をしている時間もなかなか取りづらいでしょう。

家族や介護職員が日々の話し相手を努めながらも、時間や精神的な余裕がないときにロボットの助けを借りることで、介護をしている方の負担をある程度減らすことができます。

話し相手ロボットのおすすめの形状

ロボットは作り手が形を自由に決められるため、世の中にはヒト型のロボットだけでなく、動物の形をしたロボットや実体を持たない仮想空間上にある(コンピュータースクリーン上にあるなど)ロボット等が存在しています。

しかし、違和感なくロボットを話し相手にするためには、画面上のロボットよりも物理的な身体を持ったロボットの方が望ましいようです。

過去に大阪大学の研究グループは、65歳以上の高齢者40名に身体を持つロボットと画面に表示された仮想キャラクターの両方と対話してもらい、どちらが話し相手として違和感がないかを調べる実験を行いました。

その結果、画面上の身体を持たないロボットを相手にするよりも、身体を持つロボット(ヒト型)を相手にした方が発話量が多く、話し相手としては優秀であることが判明しています。

大阪大学の研究について詳しくは以下の記事をご覧ください。
高齢者の話し相手として、ロボットに身体は必要か?科学的に検証

高齢者向けコミュニケーションロボットの選び方

コミュニケーションロボットにはさまざまな種類がありますが、どのように選べば良いでしょうか。ここでは4つの観点をお伝えします。

その人にあったタイプのロボットを選ぶ

コミュニケーションロボットは商品によってデザインや形状が異なります。

例えば、犬や猫などの動物を模したぬいぐるみタイプのものがあります。かわいらしい見た目やふわふわとした触り心地を再現しており、撫でると鳴き声を出して反応してくれるようなものもあります。

まるで本物のペットと触れ合っているかのような癒しを得ることができるので、高齢になり、体力や認知機能の面からペットを飼うことを諦めてしまった方にもおすすめです。

より充実した機能を求める方には二足歩行をするタイプもあります。ロボットと言われて思い浮かべるような、プラスチックなどの硬い素材でできていることが一般的です。

二足歩行タイプのロボットの特徴は、小さいながらも人間らしさを感じさせてくれる動き方にあります。歩いたりダンスを踊ったりして、利用する方を楽しませてくれます。

必要な機能からロボットを選ぶ

ロボットを選ぶ時には、まずロボットを実際に使う人や場面を明確にして、どのような機能が必要か洗い出してみましょう。

なぜなら、必要な機能を明確にすることによって、より利用者の方に合ったロボットを選ぶことができ、有効活用できるようになるからです。また、この時点で簡単な機能で十分だと分かれば、購入費用や操作の負担も軽減できます。

高齢者の方の話し相手として活用したい場合は、音声認識の精度が高く、返答が柔軟なものがおすすめです。

特に、AIが搭載されているロボットなら、会話の流れや利用者の個人情報を踏まえて、より自然に会話することができます。使うにつれて精度が高まり、複雑な会話ができるようになるので、高齢者のコミュニケーションスキルの維持も期待できます。

一方で、決まったやりとりができれば良い場合は、登録された言葉に反応するタイプで十分でしょう。決まった時間に挨拶をしてくれたり、日時や曜日など登録された内容であれば質問に答えてくれたりします。

操作が簡単なロボットを選ぶ

高齢になると、目が見えづらくなったり手先の細かな動きが難しくなったりします。また、機械に慣れていない方は、ロボットの使い方を新しく覚えること自体も負担に感じてしまうかもしれません。

そのため、高齢者の方がロボットを使う場合、簡単に操作できるかどうかは確かめておきたいところです。

例えば、大きく押しやすいボタンがあるもの、ユーザーの音声で操作できるもの、ロボットの音声や光で操作を支援してくれるものが使いやすいでしょう。

安全性の高いロボットを選ぶ

せっかく購入したロボットを長く使い続けるためには、安全性の高い製品を選ぶことが大切です。

特に、ロボットに記録された個人情報がどのように取り扱われるか注意するようにしましょう。

近年のロボットは、ユーザーにより便利な機能を提供するために、インターネット上の情報やAIを活用するモデルが増えてきています。ロボットが撮影した画像や入力した情報が、適切に保護・処理されるロボットを選ぶと良いでしょう。

加えて、保証内容や期間が充実したロボットを選んでおくと、万が一の時も安心です。

高齢者の話し相手におすすめのロボット4選

実際に高齢者の話し相手になるロボットにはどのようなものがあるのでしょうか。

介護事業者などの法人、個人のいずれでも購入可能なおすすめの会話ロボットを4種類紹介します。

Sota(ソータ)

Sota(ソータ)は電子機器・学習用教材等の製造や販売を行っているヴイストン株式会社が開発したヒト型のコミュニケーションロボットです。

言葉だけでなく身ぶりや手ぶりを使って、自然な対話を実現しています。

介護事業者などの法人はヴイストン株式会社から購入でき、個人はNTT東日本の「ロボコネクト」から購入できます。

設計された同社のコミュニケーションロボット「PALRO」もあります。以下でPALROについても紹介します。

PALRO(パルロ)

PALRO(パルロ)は高齢者介護に役立つさまざまな機能を備えた会話ロボットです。

  • 製品名:PALRO(パルロ)
  • メーカー:富士ソフト株式会社
  • 価格:737,000円(税込)※ビジネスシリーズ高齢者福祉施設向けモデルⅢ

《PALROで追加された機能》

  • 口腔機能向上
  • 認知機能低下予防・支援
  • 運動器の機能向上
  • うつ予防・支援
  • 閉じこもり予防・支援
  • 栄養改善

日常の話し相手だけでなく、高齢者レクリエーションにも活用できます。PALROが行うレクリエーションはレクリエーション介護士が監修しているため、楽しくリハビリできるようなレクリエーションが行えます。

また、PARLOは介護ロボット導入支援支援事業などの補助金を活用できますので、以下のページをご確認ください。 

参考:補助金のご案内(介護ロボット導入支援事業など)| PALRO 

Chapit(チャピット)

画像引用:株式会社レイトロン|コミュニケーションロボットChapit

Chapit(チャピット)は半導体メーカーの株式会社レイトロンが製造販売するコミュニケーションロボットです。

愛らしいルックスに高性能な音声認識エンジンが搭載され、離れた場所や生活雑音が聴こえる環境下でも自然な会話が楽しめます。

またChapit自身が音声リモコンになり、Chapitに話しかけることでエアコンやテレビなどの家電を操作もできます。

Romi(ロミイ)

画像引用:Romi公式サイト

Romi(ロミイ)はミクシィが独自に開発した人工知能を搭載した会話AIロボットです。

従来の会話ロボットでは人間があらかじめプログラムした言葉しか発言できませんでしたが、Romiは最新の会話AIが数千万の日本語データを学習して言葉を作り出しているため、どんな発言をするのかが話している相手には予測できません。

ヒト型ロボットではありませんが、人間の話し相手のような自然な会話が楽しめます。

高齢者向けおしゃべりトイ3選

次に紹介する3つの会話ロボットは、実際には決められた言葉しか発言できないため、上で紹介した5つの会話ロボットより機能が劣り、ロボットというよりトイ(玩具)というべきものです。

しかしその分だけ価格が安く、個人でも購入しやすい利点があります。

以下からは高齢者の話し相手としておすすめしやすいおしゃべりトイを3つ紹介します。

OHaNAS(オハナス)

OHaNAS(オハナス)は玩具メーカーのタカラトミーが製造販売するおしゃべりトイです。

20種類程度の音声認識と、200フレーズ程度のおしゃべりができます。

もっとなかよしRobi Jr.(ロビジュニア)

もっとなかよしRobi Jr.(ロビジュニア)は、デアゴスティーニ・ジャパンが創刊したロボット組み立てマガジン「ロビ」から生まれた会話ロボットを購入しやすい価格にしたタカラトミー版です。

季節などに合わせた約2,000フレーズの対話を投げかけてくれます。

BOCCO emo(ボッコエモ)

画像引用:ユカイ工学株式会社|BOCCO emo

BOCCO emo(ボッコエモ)は子供から高齢者まで幅広い年代の話し相手になれるおしゃべりトイです。

またBOCCO emoでは専用アプリからの設定により、天気情報や防災情報も声で知らせてくれます。

遠方に住む高齢の親の話し相手になるだけでなく、いざというときに災害から身を守る助けにもなり得ます。

ペット代わりにおすすめのロボット

高齢者の話し相手としては身体を持ったロボットの方がおすすめだという研究成果については先ほど紹介したとおりですが、言葉による会話はできなくても、高齢者の孤独を癒す役目はペット代わりとなる動物型ロボットでも十分に期待できます。

最新のおすすめのロボットペットについては、以下の記事で紹介しています。今回の記事とあわせて参考にしてください。
2022年おすすめロボットペット5選 「高齢者の孤独感を解消する」科学的調査結果をもとに

話し相手以外もできる高齢者介護用ロボット

話し相手として役立つロボットは上記で紹介したようにいろいろな種類がありますが、ロボットができることは話し相手になることだけではありません。

特に介護施設などでは、すでに多種多様なロボットが働いています。

見守りロボットや移乗介助ロボットなどは、今回紹介したような話し相手になるヒト型ロボットとはイメージが大きく異なりますが、それらもまた高齢者介護を支援するロボットであることを理解しておきましょう。

2022年現在ではどのようなロボットが介護の助けになっているかについては、以下の記事なども参考にしてください。
介護とロボットの未来を考える ロボットにできること・人にできること

介護施設等のロボット導入には補助金が支給される

話し相手としてのロボットや、 話し相手以外のさまざまな機能を持つロボットは、総じて費用がかなり高額です。

今回紹介した会話ロボットPALRO(パルロ)など、一部の会話ロボットは介護施設等が導入する場合に補助金が支給されます。コストの問題で会話ロボットの導入をためらっている介護事業者は、補助金が利用できないか確認してみましょう。

2022年度に実施されている全国の補助金事業は以下の記事で確認できます。
介護ロボット導入で利用できる国・自治体の補助金情報【2022年度最新版】

介護施設がペットロボットを導入する時に考えることとは?複数の施設を調査した結果わかったこと

まとめ

今回は高齢者の話し相手になるコミュニケーションロボット・会話ロボットを紹介しました。

ロボット技術は日々進化しています。いつかは人間とまったく変わらない見た目で、人工知能やAIの技術を使って人と同じように自然な会話ができるロボットが誕生するかもしれません。

国もロボットによる介護支援に力をいれていますので、今後もロボット技術の進化には注目していきましょう。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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