アロマテラピーでうつ症状を改善 気分の落ち込みにおすすめのアロマ10選

アロマテラピーでうつ症状を改善 気分の落ち込みにおすすめのアロマ10選

最終更新日 2023.10.23

この記事の要点

  1. アロマテラピーで高齢者のうつ症状に重大な影響を及ぼす可能性があるとの研究発表がされた
  2. アロマテラピーは自律神経を整える効果やリラックス効果などが期待できる
  3. 気分の落ち込みにおすすめのアロマ精油を10種類紹介
  4. アロマテラピーは特別な道具がなくても実践できる
  5. テクノロジーとアロマテラピーを組み合わせた研究も進められている

高齢になると心身の機能が低下し、気分が落ち込みやすくなります。

老年期うつ病などを発症しないためにも、ストレスの解消や気持ちを盛り上げる手立てが必要です。

今回はストレスを和らげる効果が期待できるアロマテラピーについて解説します。

アロマテラピーによる高齢者のうつ改善に期待

2018年に中国の成都医学院研究グループは「アロマテラピーは高齢者のうつ病に対し、重要な影響を及ぼす可能性がある」との研究結果を発表しました。

抑うつ症状が認められた60歳以上の地域住民に対して8週間のアロマテラピーを実施したところ、実施前と比べて老年期うつ病評価尺度の値が低下し、実施後10週間が経過しても低いままだったとのことです。

また不足するとうつ病を発症する原因になるとも言われているヒドロキシトリプタミン(セロトニン)の値も増加したとの結果が出ています。

参考:CareNet|高齢者のうつ症状に対するアロマセラピーの効果

この研究成果でもわかるとおり、高齢者のうつ症状の改善にはアロマテラピーが大いに期待できます。

アロマテラピーがうつ改善に期待される理由

なぜアロマテラピーはうつ症状の改善が期待できるのでしょうか。

それは、以下2つの理由が考えられます。

自律神経が整う

五感(視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚)の中で、嗅覚への刺激は脳に伝わる速度が一番早いとされています。

自律神経をつかさどる脳の視床下部にアロマの香りが伝わると、視床下部はアロマ精油の効能に応じて自律神経(交感神経系・副交感神経系)に働きかけ、望ましい作用を与えることがわかっています。

参考:東邦大学|アロマと嗅覚、そしてストレス

そのためアロマテラピーにより、自律神経が整う効果が期待できます。

リラックス効果がある

うつ病治療では、しっかり休養をとり、心身をリラックスさせることが大切です。

アロマテラピーに用いるアロマ精油の中には、リラックス効果があるとされているアロマ精油が少なくありません。

リラックス効果があるアロマ精油でアロマテラピーを行えば、脳をリラックス状態へと誘い、うつ症状の軽減に影響するかもしれません。

VRとアロマで高齢者の「心の健康」が改善する

気分の落ち込みにおすすめの精油10選

アロマテラピーに用いるアロマ精油にはいろいろな種類があります。

種類によって効能もさまざまですので、目的に合ったアロマ精油を使用する必要があります。

ここからは気分が落ち込んだときに気持ちを回復する効果が期待できるアロマ精油を10種類紹介します。

ラベンダー

ラベンダーは自律神経を整える効果が高いと言われており、また精神を落ち着かせる鎮静作用とリラックス効果も期待できます。

不安や緊張などでなかなか入眠できない方の不眠症対策としてもよく利用されているアロマ精油です。

ベルガモット

甘すぎないさわやかな柑橘系の香りが楽しめるベルガモットは、自律神経を整える効果や鎮静効果、リフレッシュ効果が期待できます。

うつ症状の強い不安感をやわらげ、心を解放する効果があるアロマ精油です。

グレープフルーツ

グレープフルーツは落ち込んだとき、やる気を呼び起こしたい時に使うと効果があると言われているアロマ精油です。

香りを嗅ぐと、脳内でやる気を起こす成分であるドーパミンが分泌され、交感神経の活動を高めると言われています。

何もしたくない・気力がわかないという、うつ症状の方に気力を与える効果が期待できます。

ローズマリー

爽快感のあるローズマリーの香りには、強壮効果が期待できます。草木のスッキリとした香りによって目が覚めたような気持ちになる方も多いと言われています。

精神的な疲労の回復と交感神経の活発化が期待できるアロマ精油です。

ネロリ

ネロリはフローラルなオレンジの香りがするアロマ精油です。

「天然の精神安定剤」とも呼ばれ、強い不安感や緊張感があって眠れないときにもよく使われています。

またネロリには女性ホルモンに働きかける効果もあり、高齢者だけでなく更年期の方にもおすすめできます。

オレンジスイート

甘くフルーティな香りがするオレンジスイートは、嗅ぐと明るい気持ちになれると人気が高いアロマ精油です。

精神のリラックス効果、高揚作用、浄化作用が期待できます。また不眠症にも効果があります。

フランキンセンス

フランキンセンスは古来よりインドや中国で瞑想の際に使用されてきました。

甘くスパイシーな樟脳の香りがイライラなど心の乱れを静め、深い呼吸が可能になりゆったりした気持ちに誘導してくれます。

フランキンセンスのアロマ精油は乾燥や肌荒れなどの皮膚トラブルにも優れた効果を発揮するため、マッサージオイルなどに用いると効果的です。

マンダリン

マンダリンには鎮静効果や抗うつ効果、自律神経を整える効果があるとされています。

またマンダリンの香りには食欲を増進させる効果も期待できます。うつ症状になると食欲も減退するため、マンダリンのアロマテラピーが食べる力・生きる力を取り戻してくれそうです。

ローマンカモミール

ローマンカモミールのアロマ精油の効果は、おだやかな鎮静効果とリラックス効果です。

不安や怒り、緊張などを解く作用があると言われています。

なお、野花として一般的に知られているカモミールはジャーマンカモミールという種類です。

ローマンカモミールとは種類が違い、アロマテラピーで期待できる効果も抗アレルギー作用、抗炎症作用、婦人科系の不調の改善とされています。

うつ症状の改善目的でカモミールのアロマ精油を使用するときには、名称の違いにご注意ください。

イランイラン

エキゾチックな香りがするイランイランは、嗅ぐと幸福感がもたらされると言われています。

抗うつおよび催淫作用が期待できます。またイランイランはパニック障害の対処や予防用のアロマ精油としても有効だと考えられています。

アロマテラピーの実施方法

アロマテラピーは好きな香りのアロマ精油さえ入手すれば、すぐにでも始められます。

以下からは手軽に実践できる、基本的なアロマテラピーの実施方法を3つ紹介します。

1.芳香浴

芳香浴は室内の空気中にアロマ精油の香りをただよわせて嗅ぐアロマテラピーの方法です。

アロマテラピー用のディフューザーやアロマポットを使って芳香浴を楽しむ方法もありますが、深皿やティーカップにお湯を入れ、アロマ精油を数滴たらすだけでも行えます。

さらに簡単な芳香浴の方法としては、ハンカチやティッシュにアロマ精油を数滴たらして、香りを嗅ぐだけでも効果が期待できます。

2.マッサージ

アロマ精油と植物オイル(ホホバオイルなど)を混ぜ、全身をマッサージする方法のアロマテラピーもおすすめです。

アロマテラピーの効果に加え、マッサージにより血液やリンパの流れが促されて心身ともに深いリラクゼーションが得られます。

3.アロマバス

アロマバスは浴槽にぬるめのお湯をはり、アロマ精油を数滴落としてよく混ぜ、香りを嗅ぎながらゆったりと入浴する方法です。

香りによる芳香浴と、精油が皮膚から浸透する効果の両方が期待できます。

アロマテラピーは認知症にも効果が期待できる

アロマテラピーにはうつ症状の改善だけでなく、認知症の症状改善にも効果が期待できることがわかってきました。

アロマサイエンス研究所(公益社団法人 日本アロマ環境協会)が行った実験によれば、特別養護老人ホームに入所している高齢者77名に対してアロマテラピーを実施したところ、記憶テストの点数について有意義な改善が見られたそうです。

参考:公益社団法人日本アロマ環境協会|認知症に対するアロマテラピーの有用性

今後さらに研究が進めば、高齢者の認知症治療にアロマテラピーが用いられる時代が来るかもしれません。

VRと組み合わせるとアロマテラピーの効果UP

VRなどの最新のテクノロジーが、アロマテラピーの効果を増大させるのではないかとの研究も進められています。

当サイトで以前ご紹介した台湾の研究では、VRを使用したアロマテラピープログラムを受けた高齢者は、プログラムを受けなかった高齢者に比べて幸福度・ストレスの低下度・睡眠の質・瞑想の体験レベル・人生の満足度が高まったことがわかりました。

嗅覚と視覚を組み合わせた結果、さらにアロマテラピーの効果が増したと考えられます。

台湾の詳しい研究成果については以下の記事をご覧ください。
VRとアロマで高齢者の「心の健康」が改善する

アロマテラピーの注意事項

アロマテラピーを実践するときには、以下の2点にご注意ください。

アロマ精油を入れすぎない

1回のアロマテラピーに使用するアロマ精油の量は数滴程度です。多く入れたからといって効果が倍増するわけではありません。

むしろマッサージやアロマバスを行う際にアロマ精油が多すぎると皮膚への刺激が強くなり、かぶれや湿疹などの肌トラブルの原因になります。

好み・肌質に合わせる

上記でおすすめした10種類のアロマ精油はいずれもうつや気分の落ち込み改善が期待できるアロマ精油ですが、好ましくない香りではかえってストレスが溜まりうつ症状悪化の原因にもなります。

また肌質に合わないアロマ精油は皮膚トラブルの元です。

使用してみて好みや肌質に合わないアロマ精油だとわかったら、直ちにアロマテラピーを中止してください。

まとめ

今回はアロマテラピーに期待できるうつ症状改善の効果について解説しました。

心地良い香りを嗅ぐと、気分が高まります。好きな香りを使ってストレス解消やうつ予防・改善に取り組んでいくことも検討してみてください。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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