【けあピアノート】三菱商事株式会社ヘルスケア部 古村氏、小川氏、佐伯氏|インタビュー第14弾

【けあピアノート】三菱商事株式会社ヘルスケア部 古村氏、小川氏、佐伯氏|インタビュー第14弾

最終更新日 2023.04.25

ケア業界のパイオニアに道を訊くインタビュー企画、第14弾です。

今回は、訪問介護事業者をサポートする「けあピアノート」とおむつのお困りごと解決サービス「おむピタ」を運営する三菱商事株式会社ヘルスケア部の古村さん、小川さん、佐伯さんの3名にお話を伺いました。

この記事の要点

  1. 「けあピアノート」は、介護の現場で働くヘルパーさんと一緒に作り上げた、使いやすく且つ安価な訪問介護事業者向け業務支援システム・アプリ
  2. 「おむピタ」は、介護・高齢者の生活を支援していくプラットフォームの第一段階
  3. 三菱商事として、グループの強みを活かして、要介護の高齢者に幅広い価値提供をしていきたい

三菱商事株式会社ヘルスケア部 古村氏、小川氏、佐伯氏のプロフィール

プロフィール

古村 賢紀(こむら まさき)氏の画像

古村 賢紀(こむら まさき)氏

三菱商事株式会社ヘルスケア部 介護高齢者支援プロジェクト PM補佐

佐伯 優一(さえき ゆういち)氏の画像

佐伯 優一(さえき ゆういち)氏

三菱商事株式会社ヘルスケア部 「けあピアノート」担当

小川 健(おがわ けん)氏の画像

小川 健(おがわ けん)氏

三菱商事株式会社ヘルスケア部 「おむピタ」担当

インタビュー(以下、敬称略)

「けあピアノート」:介護の現場で働くヘルパーさんと作り上げた、使いやすく且つ安価な訪問介護事業者向け業務支援システム・アプリ

けあピアノートの画像

——早速ですが、「けあピアノート」についてご紹介頂けますか? 

(佐伯)はい。まず、「けあピアノート」の開発した背景は、ある介護事業者様の課題解決にありました。具体的には、紙と電話でのコミュニケーションが多い介護現場において、ウェブとアプリを活用して業務の効率化を図ることが、その目的でした。スマホを使うのが初めてといったご高齢のヘルパーさんも多かったので、ヘルパーさん視点でアプリの使いやすさにはとことんこだわって開発しました。別の介護事業者様の実績として、「けあピアノート」を導入したことで「連絡件数は3倍超」「連絡時間は50%超削減」「電話料金は3割減少」「ヘルパー満足度向上」などの効果が見られました。

——競合製品との違いなど「けあピアノート」の特徴を教えて頂けますか?

(佐伯)特徴は大きく3つあります。

まず1点目は、コストが圧倒的に安いという点です。「けあピアノート」は、1事業所あたり基本機能が月額5,000円(税別)から利用可能となっており、競合製品と比べてもかなりリーズナブルにご利用頂けます。
また、お客様にご納得頂いた上でご利用頂けるように、無償期間を設定しております。この理由としては、経営層の方々はITツール導入を急いでも、実際には「現場にIT運用ルールが無い」や「現場のヘルパーが使いこなせない」といった課題がしばしば発生するため、そういった課題を解決する期間をあらかじめ設定させて頂いております。

2点目は、セキュリティ対応です。「けあピアノート」は、端末には情報が一切残らない構成になっており、管理者側の設定でクラウド上のサーバーと端末間の情報のやり取りを事業所の方から遠隔で停止することが可能になっています。現状ではヘルパーさんが個人情報などを記載した紙のノートを持ち歩いていらっしゃることが多く、紛失した際の情報漏洩リスクがありますが、その排除が可能ということですね。

最後に、シンプルな操作性です。「けあピアノート」を作り上げていく中で、最も注力したのがこの点になります。
介護保険で求められる記録をあれもこれも実現しようとすると、管理者側は便利なのですが、必要情報をすべて入力しないと次の画面に遷移しないような作りになってしまい、現場のヘルパーさんが使いこなせないという課題がありました。そこで、現場で働くヘルパーさんと共に「1週間で慣れる、教え合える」レベルを探っていき、必要十分な機能をシンプルな作りで実現したものが、今の「けあピアノート」になっています。
加えて、スマホの操作が苦手な高齢なヘルパーさんでも簡単に記録ができるよう音声入力機能があることも1つの特徴になっています。

——では、実際の画面をみせて頂いてもよろしいですか?

(佐伯)はい。まず、こちらがPCで確認する管理者画面になっています。管理者は、ヘルパーさんの予定を一覧でき、利用者宅に到着したことやサービス提供の完了を視覚的に確認することできます。

「管理者画面」イメージ①の画像

「管理者画面」のイメージ①:ヘルパーの一日の予定が確認可能

「管理者画面」イメージ②の画像

「管理者画面」のイメージ②:利用者宅に到着すると赤く点滅

「管理者画面」イメージ③の画像

「管理者画面」のイメージ③:サービス提供が完了するとグレーに変化

(佐伯)次に、ヘルパーさんのアプリの画面です。アプリ自体は、Google PlayApp Storeでダウンロードが可能になっています。こちらも、現場で働くヘルパーさんと一緒になって作り上げたシンプルな画面構成になっています。
具体的には、「到着」と「終了」の2つのボタンを押すだけ実績を立てることができ、慣れてきたらその上部にある「実施記録」「経費」「写真・録音」から提供した介護サービス等の詳細を記録することができます。
また、下部の「共通メモ(サ責への報告事項)」に申し送り事項に対する報告や気づき事項などを入力することも可能です。

「記録」トップ画面の画像

「アプリ画面」のイメージ:「記録」のトップ画面

  

「写真・録音」では写真や音声メモを登録することも可能です。

  

「アプリ画面」のイメージ:「写真・録音」のトップ画面 と カメラでの撮影例

(佐伯)最後に、ヘルパーさんが入力した記録内容を管理者画面で確認する場合は、「アルバム」からご確認いただけるようになっています。

「管理者画面」イメージ④の画像

「管理者画面」のイメージ:アルバムから記録内容を確認可能

「管理者画面」イメージ⑤の画像

「管理者画面」のイメージ:実施記録、共通メモ、写真などが確認可能

(古村)先ほどスマホアプリの画面をご確認いただいた通りですが、「けあピアノート」は画面構成も含め非常にシンプルな操作でご利用頂けるサービスになっており、実際にご利用いただいているお客様からも「他社製品と比較しても分かり易い」といった声をいただけています。
一方で、各事業所の利用状況としては、到着と終了だけ記録されている事業所もあれば、介護サービスとして何をしたのか(実施記録)まで報告されている事業所もいらっしゃいますし、共通メモというサ責への報告事項までびっしり記入いただいている事業所もあります。必要最小限のところから始められるところが「けあピアノート」の特徴でもあるので、事業所が管理したいレベルに応じてご利用いただけています。GPSの証跡を残すかどうかについても、ヘルパーさんによってはログをとられるということに苦手意識があったりもするので、先述の通り事業所ごとに選択できるようになっています。

——レベル感まちまちということですが、実際しっかりと情報を入力されている事業所の割合はどのようなものなのでしょうか?

(古村)サービスローンチ直後は、到着と終了だけの入力という事業所も多かったですが、徐々により多くの情報を入力される事業所が増えてきていますね。

(佐伯)はい、特に最近は実施記録の利用率が上がってきています。
多くの事業所では、まだ複写式の紙に実施したサービス内容を記録し、事業所とご利用者宅に1枚ずつ保管されていますが、これに加えて「けあピアノート」にも同じ情報を入力すると、ヘルパーさんは二度手間になってしまいます。
そのため、「けあピアノート」を導入頂いた事業所ではヘルパーさんがアプリに慣れてくると紙を廃止する方向に動かれ、ヘルパーさんご自身が行ったサービス内容を正しくアプリに記録しようという流れが生れていきます。その結果として、実施記録の利用率が上がっていっていますね。

——逆に無償期間で脱落してしまう事業所はどの程度いらっしゃいますか?

(古村)それほど多くはないのですが、紙からITに変えることに負担感を持ってしまう事業所は正直一定割合いらっしゃいますね。

(佐伯)ただ、弊社としてはそこへの対策として、どう進めるとうまく導入できるのかという手順をまとめた上で、各事業所の導入支援をさせて頂いていたりもします。

——現状、どういった施設が利用されていらっしゃいますか?

(佐伯)1法人で数百事業所をお持ちの大手(ex. セントケア様、ツクイ様)から1法人1事業所という小規模の事業者様まで幅広くご利用いただいています。
小規模の事業者はもとより、大手事業者のように社内にIT関連の部署があっても、スマホに慣れていないヘルパーさんは相当数いらっしゃいますし、事業所数が増えれば法人全体でのコストもかかるので、「けあピアノート」の「シンプルな操作性」や「低コスト」といった特徴が顧客ニーズを満たしているのではないかと考えています。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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