介護ロボット導入で利用できる国・自治体の補助金情報【2022年度最新版】

介護ロボット導入で利用できる国・自治体の補助金情報【2022年度最新版】

最終更新日 2022.11.24

この記事の要点

  1. 2022年度の介護ロボット補助金事業が始まっている
  2. 介護ロボット導入補助金は国と自治体の2種類
  3. 補助金申請時には「補助率(額)・審査・交付決定後の購入・後払い」に注意

今回は介護事業所等が介護業務に役立つロボットを導入したときに国や自治体からもらえる補助金について、2022年6月時点の最新情報を紹介します。

介護ロボットの導入を考えている介護事業所等は、最新の補助金情報を常にチェックしておきましょう。

介護ロボット導入には補助金が出る

補助金とは、国や自治体が事業者の取り組みをサポートするために費用の一部を給付する制度です。

介護事業所等が介護職員の負担軽減や作業効率化を図るために導入する介護ロボットも、補助金や助成金が給付される可能性があります。

補助対象となる介護ロボットの種類については各補助金事業により異なります。一般的に介護ロボットとして扱われているロボットの種類は以下の記事でもご説明しています。
介護とロボットの未来を考える ロボットにできること・人にできること

2022年(令和4年度)介護ロボット補助金情報

介護ロボットを導入する際に利用できる補助金は、政府主導で行われている補助金事業と自治体主導で行われている補助金事業の2種類があります。

政府主導の補助金事業は日本全国どこの介護事業所等でも申請できますが、自治体主導の補助金事業は管轄の自治体内に事業所や経営基盤がある介護事業者でないと申請できません。

また今回紹介する補助金情報は、2022年5月末日時点で公表されている補助金事業に限ります。

2022年6月以降に開始される新規補助金事業は含まれず、また本記事を閲覧された時期により、当該の補助金事業がすでに募集を終了しているケースがありますので、各補助金事業のスケジュールをご確認ください。

なおロボットに限らず、ICT導入に活用できる補助金は以下の記事で紹介しています。
【介護】ICT導入に活用できる補助金を国と自治体に分けて紹介(2022年)

政府主導で行われている補助金事業(全国の事業者が申請できる介護ロボット補助金)

2017年より開始された「IT導入補助金」事業は、独立行政法人中小企業基盤整備機構と中小企業庁が監督のもと、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が運営を行うITツール(介護ロボットを含むIT技術活用製品)の導入補助金事業です。

IT導入補助金はハードウェアを含むシステム導入費用合計額×補助率が補助されます。 
またIT導入補助金は「導入により業務が効率化できる」ITシステムが対象なので、例えば見守りシステム(センサー)などがそれにあたります。 

現時点で「ロボット機能が搭載された介護業界向けITツール」の登録は見つけられませんでしたが、介護ロボットの定義は、情報を感知(センサー系)、判断し(知能・制御系) 、動作する(駆動系) この3つの要素技術を有する、知能化した機械システムなので、今後見守りのシステム提供会社がIT導入支援業者として登録し、介護見守りシステムなどを ITツール登録をすれば、補助対象となる可能性があります。 

  • 補助金事業名:サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金
  • 概要:中小企業の業務効率化・生産性向上を目的に、自社の課題やニーズに合ったITツール導入の経費の一部を補助する。
  • 介護ロボット導入時の種別:通常枠A類型(業務プロセス1つ以上)・通常枠B類型(業務プロセス4つ以上)
  • 補助率:2分の1以内(A類型上限150万円・B類型上限450万円)
  • 申請期日:未定(第1次〆切2022年5月16日・第二次〆切2022年6月13日・第3次〆切2022年7月11日・第4次〆切2022年8月8日)

参考:IT導入補助金2022

自治体主導で行われている補助金事業(自治体ごとの介護ロボット補助金)

自治体主導の補助金事業は、すべての自治体で実施されているとは限りません。

2022年5月末日時点で介護ロボット導入の補助金事業を実施している自治体は以下のとおりです。※一部申込が終了しているものもあります。 

北海道函館市

  • 補助金事業名:函館市IT・ロボット等の活用による生産性向上支援事業
  • 概要:ITやロボット等を活用して生産性を向上させる介護事業者の取組みに対し、専門家を派遣して業務効率化のためのアドバイスなどの診断助言を行う。また専門家派遣事業を終えた介護事業所がロボット等を導入する際の費用を補助する。
  • 補助率:2分の1以内(上限1,000万円/専門家派遣は無料)
  • 補助対象者:市内に事業所を有する中小企業・小規模事業者等または企業グループ(2以上の中小企業・小規模事業者等から構成されるもの)であって、補助対象事業に係る実績が、補助金の交付申請日から起算して直近2期以上ある方
  • 申請期日:2022年6月30日(専門家派遣申請は5月31日まで)※申込は終了しています。

参考:「函館市IT・ロボット等の活用による生産性向上支援事業」チラシ

福島県

  • 補助金事業名:メードインふくしまロボット導入支援補助金事業
  • 概要:メードインふくしまロボットの導入促進をはかるため、福島県内で製造または開発されたロボットの導入費の一部を補助する。
  • 補助率:2分の1以内(1台100万円以内)
  • 補助対象者:県内外の法人(公共機関も含む)、個人事業主 
  • 申請期日:2022年12月16日

参考:福島イノベーション・コースト構想推進機構|メードインふくしまロボット導入支援補助金令和4年度募集のご案内

茨城県

  • 補助金事業名:地域医療介護総合確保基金「ロボット介護機器普及支援事業」及び「ICT導入支援事業」
  • 概要:従来の機器ではできなかった優位性を発揮する介護ロボットもしくは経済産業省「ロボット介護機器開発・導入促進事業」において採択された介護ロボットを導入する費用を補助する。
  • 補助率:2分の1以内(上限30万円)
  • 補助対象者:県内で介護保険サービスの指定を受けている施設・事業所 
  • 申請期日:2022年5月20日※申込は終了しています。

参考:茨城県|地域医療介護総合確保基金「ロボット介護機器普及支援事業」及び「ICT導入支援事業」について

栃木県

  • 補助金事業名:介護ロボット導入支援事業
  • 概要:介護職員の負担軽減を図るため、介護ロボットの導入や見守り機器の導入に伴う通信環境整備を実施した事業所に対して経費の一部を助成する。
  • 補助率:2分の1以内(上限30万円)
  • 補助対象者:県内の介護サービス事業者 
  • 申請期日:未定(とちぎ介護人材育成認証制度の認証法人および宣言法人は先行受付)

参考:栃木県|介護人材確保対策事業

東京都三鷹市

  • 補助金事業名:介護ロボット導入支援事業補助金
  • 概要:介護職員の負担軽減と作業効率の向上を図るため、介護環境の改善に資する介護ロボットを導入する際の費用の一部を補助する。
  • 補助額:5万円(費用が5万円に満たない場合は費用全額負担)
  • 補助対象者:三鷹市内に所在する介護事業所(三鷹市介護保険事業者連絡協議会に所属している事業所に限る) 
  • 申請期日:未定

参考:三鷹市|介護ロボット導入支援事業補助金

神奈川県

  • 補助金事業名:ロボット導入支援補助金
  • 概要:「ロボットと共生する社会」の実現に向け「さがみロボット産業特区」で商品化したロボットを導入する法人の導入費用を補助する。
  • 補助額:100万円(ロボット10台まで)
  • 補助対象者:県内に事務所・事業所を有する法人(県内の地方公共団体、県内在住の個人の方も含む) 
  • 申請期日:2023年1月31日

参考:神奈川県|【受付開始】ロボット導入支援補助金のご案内

静岡県

  • 補助金事業名:産業用ロボット導入事前検証・事業化可能性調査事業費補助金
  • 概要:ロボットシステムの導入を促進するため、導入コストや費用対効果をシミュレーションするための費用を補助する(検討段階での補助)
  • 補助率:2分の1(上限50万円)
  • 補助対象者:県内に事業所又は住所を有する、産業用ロボット導入事前検証・事業化可能性調査事業(=産業用ロボットを導入する前に行う費用効果分析等)を行う中小企業者 
  • 申請期日:随時

参考:静岡県|産業用ロボット導入事前検証・事業化可能性調査事業費補助金

岐阜県関市

  • 補助金事業名:関市中小企業競争力強化事業
  • 概要:DXによる課題解決・業務効率化・生産性向上を目的に工程の自動化に対する費用を補助する。
  • 補助率:2分の1(上限100万円)
  • 補助対象者:市内の中小企業(詳細の記載なし) 
  • 申請期日:期日なし

参考:関市|DXに係る費用を補助します!

鳥取県

  • 補助金事業名:令和4年度介護ロボット導入支援事業
  • 概要:介護職員の身体的負担の軽減や業務効率化のため介護事業所が整備する介護ロボット導入費等を補助する。
  • 補助額:介護ロボット1台につき30万円または100万円
  • 補助対象者:県内の指定介護サービス事業所 
  • 申請期日:2022年6月3日※申込は終了しています。

参考:鳥取県|介護人材の確保・定着

島根県

  • 補助金事業名:島根県介護ロボット等導入支援事業費補助金
  • 概要:介護職員の身体的負担の軽減や業務効率化のため介護事業所が整備する介護ロボット導入費等を補助する。
  • 補助額:介護ロボット1台につき30万円
  • 補助対象者:介護サービス事業者の指定又は認可を受けた県内に所在する事業所を 運営又は開設する者 
  • 申請期日:未定(意向確認の回答期日2022年6月15日)

参考:島根県|島根県介護ロボット等導入支援事業費補助金交付要綱

山口県

  • 補助金事業名:令和4年度「介護ロボット導入支援事業」補助金
  • 概要:介護職員の負担軽減を目的とする介護ロボット導入費用を補助する。
  • 補助率:2分の1または4分の3(介護ロボット1台につき上限30万円)
  • 補助対象者:県内で施設・居住系サービス、在宅系サービスを行う事業者 
  • 申請期日:2022年7月29日

参考:かいごへるぷやまぐち|令和4年度「介護ロボット導入支援事業」補助金について

長崎県

  • 補助金事業名:感染症対策に資する介護ロボット等導入促進事業補助金
  • 概要:介護職員や利用者間の接触の機会を減らし、新型コロナウイルス等の感染症を防
  • 止するための介護ロボット等の導入費用を補助する。
  • 補助率:4分の3(上限300万円)
  • 補助対象者:補助対象者:補助の要件を全て満たす長崎県内の介護事業所(詳細はこちら
  • 申請期日:2022年6月30日※申込は終了しています。

参考:長崎県|感染症対策に資する介護ロボット等導入促進事業補助金

介護ロボット開発企業への補助金もある

介護ロボットを導入する介護事業所等に対して与えられる補助金ではなく、介護ロボットを開発・製作するメーカーや開発企業に対して与えられる補助金も一部存在します。

2022年5月末日現在では青森県が開発企業への補助金を給付しているのみですが、利用する側だけでなく作る側への支援も行うことで、より一層介護ロボットの普及が期待できます。

  • 自治体名:青森県
  • 補助金事業名:令和4年度青森県医福工連携製品開発事業費補助金
  • 概要:県内の医療・健康・福祉関連分野における産業の活性化を図るため、医療・介護関連機器等の製品・サービスの試作・開発、既存製品・サービスおよび試作品の改良等の経費を補助する。
  • 補助率:2分の1(上限100万円)
  • 申請期日:2022年7月6日

参考:青森県|「令和4年度青森県医福工連携製品開発事業費補助金」公募のお知らせ

介護ロボット補助金申請で注意すること

介護ロボット導入補助金の申請を行うときには以下の点に注意しましょう。

補助を受けられるのは費用の一部

介護ロボット導入に要した費用の全額が補助されるわけではありません。レンタルやリースにかかる費用、保守・メンテナンス費用も当該年度分に限られます。通信環境機器のメンテナンスは補助金対象に該当しない場合もあるので注意が必要です。

それぞれの補助金事業の補助率や上限額により介護事業所等の費用負担が最終的にはいくらぐらいになるかをよく確認し、慎重に検討しましょう。

補助金交付前には審査がある

条件を満たせば原則受給できる助成金と違い、補助金には事前審査があります。

必ずしも補助金が受けられるとは限りませんので、申請の際には「なぜ介護ロボットが必要なのか」などを補助金運営側にきちんと伝えられるような申請書類を作成しましょう。

なお補助金と助成金の違いは他にもあります。詳しく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
介護の補助金と助成金の違いとは? 介護事業所・在宅介護向けの助成金をわかりやすく紹介

すでに導入済の介護ロボットは補助対象外

補助金は交付が決定した後に購入契約したものでないと給付されません。すでに介護事業所等が介護ロボットを導入済の場合は、補助金の対象外となります。

また誤りがちな失敗例としては、補助金申請のためにメーカー等に見積や相談をして、そのまま購入をしてしまうケースが見受けられます。

あくまでも補助金の給付は「補助金交付決定後の購入費用」に限りますので、購入や契約を急がないようにご注意ください。

補助金は後払い

補助金は介護事業所等が介護ロボットを導入し、代金を支払った後の「後払い(精算払い)」です。

介護ロボットの導入に多額の費用が見込まれるときには、介護事業所等の運営に支障をきたさないよう予算の検討をしましょう。

まとめ

今回は介護ロボット導入費用を補助する国や自治体の補助金事業について、2022年6月時点の最新情報を紹介しました。

補助金をうまく活用して、介護業務を効率化し、介護の質を高めていきましょう。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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