自分は何歳だと「感じ」ますか?実年齢とのギャップを分析

自分は何歳だと「感じ」ますか?実年齢とのギャップを分析

気持ちと体が一致しないこと。その代表的な例は、自分の年齢に対する感覚ではないでしょうか。

例えば、運動会で全力で走ったお父さんが、翌日筋肉痛で動けなくなってビックリする。
あるいは、高齢者向けの番組や本を観たり読んだりするうちに、実年齢よりも歳を取ったように感じてしまう。

うっかりすると主観的な年齢と実年齢には、大きな差ができてしまうことはよくあると思います。

今日のテーマは「主観的な年齢」です。

この記事の要点

歳をとると時間の流れが速くなるとよく言いますが、仕事で忙しいのが理由ということも多いことでしょう。

そんな忙しい方のための、今回の記事の要点3行がこちらです。

  1. 年齢に関する「心理的な変化」に、フォーカスを当てよう。
  2. 「主観的な年齢」を測る技術が開発された。
  3. その技術は人々が若く感じ、行動することの助けになる可能性がある。

5分くらいなら時間があるかも?というかたは、コーヒーブレイクに続きを読んでみてください。

★この記事で参照している科学論文の情報

著者:Alex Zhavoronkov, Kirill Kochetov, Peter Diamandis, Maria Mitina
タイトル:PsychoAge and SubjAge: development of deep markers of psychological and subjective age using artificial intelligence
URL:DOI

あなたは何歳だと思いますか?

あまり口にする機会はなかったかもしれませんが、試しに周りの人々に尋ねてみてください。
「何歳だと感じる?実年齢と一致している?」と。
きっと、人それぞれ多様な答えが返ってきて面白いと思います。
特に、高齢者に対しての質問では、回答者ごとの差が大きくなることでしょう。

その感覚を、「主観的な年齢」と呼ぶことにします。

とある研究によると、「主観的年齢」は、健康状態、精神状態、認知機能、長生きしているかどうか、経済状態、および(一般的な)幸福と相関していることが示されています(Mitina M, Young S, Zhavoronkov A. Psychological aging, depression, and well-being. DOI)。

主観的な年齢が若ければ、日常でより活動的になり、明るく過ごせる気がします。反対に主観的な年齢が年老いていると、目の前にあるチャンスを逃すような気がします。そんな価値観を表す言葉は「病は気から」のように幾つかありますね。

しかし、厳密には、「心理的な老化と体の老化の関係」には、明らかに言えることがまだありません。

心理時計をつくろう

こんな状況をみて、香港の「Deep Longevity」社のAlex Zhavoronkovら研究者たちは、近年著しく進歩している「AI(人工知能)」に関わる技術を用いて、”心理時計”を開発しました。

心理時計とはキャッチーな響きですが、具体的には、要するに以下の2つの目的を叶えるためのものでした。

  • どんな要因が影響して、「心理的な老化」を形作るかを調べる
  • 「心理的な老化」は、本人の死亡率に影響するのかを調べる

これらの目的が果たされれば、死亡リスクを回避するために何をすれば良いのかヒントが得られることになります。

技術の根幹は、「心理学的な統計」そして「機械学習」でした。

※「機械学習ってなに?」という方は、こちらもご参照ください。

センセーショナルに見える結果

彼らの心理時計は二つの装置「PsychoAge」と「SubjAge」で構成されました。「PsychoAge」は「体の年齢」の推定値、後者は「主観的な年齢」の推定値です。

「PsychoAge」と「SubjAge」はそれぞれ、約6.7年の誤差と、約7.3年の誤差で、人間の年齢を推定するようになりました。
(※誤差は平均絶対誤差)

さらに、「SubjAge」による推定結果と、実際の年齢に5年以上の差がある場合、本人の死亡率が(他の場合と比べて)2倍以上になることが分かりました。

これは、そのまま解釈すると非常にセンセーショナルな結果です。つまり、主観的に「自分は何歳だと思っているか」、その答えが測定の結果、実際の年齢と5年以上の差がある場合、身体的に危険な状態の可能性があるという解釈になるということです。

しかし、下記に注意することを覚えておいてくださいね。

  • これはあくまで一つの研究結果の一側面であり、全てのケースに当てはまるわけではないこと
  • 人間同士の会話の中で生まれる「本人の主観」と、機械的な推定結果には、差が生まれること

いろいろなファクター

心理時計が機能する上で重要なファクター(推定材料)は、いずれも下記の5つでした。

  • 10年間の性生活の割合
  • 結婚状況
  • 活発な活動をする上での健康による制限
  • 処方薬
  • 血圧

ただし、これらのファクターに関する値を故意に上げたり下げたりすることが、一概に結果に良い影響や悪い影響をもたらすとは限らないので、慎重に考えてください。

ちなみに、上位5つのファクターは共通していましたが、その他のファクターは「PsychoAge(「体の年齢」の推定値)」と「SubjAge(「主観的な年齢」の推定値)」とで、大きく異なっていました。

「SubjAge(「主観的な年齢」の推定値)」のみで重要だったファクターは下記のようなものでした。

  • 現在の仕事の状況への評価する
  • 外向性の性格特性
  • 開放性の性格特性
  • わずかな丘を歩いているときの息切れ
  • 現在の性生活の評価

「外向性の性格特性」や「開放性の性格特性」とは、有名な性格特性のビッグファイブです。

よく調べて、知識を交換しよう

今回のお話はここまでです。非常にユニークかつ刺激的な内容で、話題にしやすいテーマだったのではないでしょうか。

このような研究の話を取り上げる上で気をつけるべきことは、繰り返しのようになりますが、安易な解釈を行って、誤解を広めないようにすることです。

「このような研究がある」ということをまずは知って、もし関心があればさらにどんどん調べてみてくださいね。

調べる際は、AIケアラボのように、どんな文献を参照しているのかを表示している記事をあたるのがよいと思います。

※たとえば、「脳年齢」に関する記事はこちらです。「脳年齢」を視ることに抵抗はありますか?

テクノロジーは無機質なものばかりではなく、心のことを深掘りできるものもあるのですね!

みんなで若く過ごせるように、調べたことや、感じたことを、発信・交換しましょう!