株式会社リンクアンドコミュニケーション 代表 渡辺氏 | インタビュー第28弾

株式会社リンクアンドコミュニケーション 代表 渡辺氏 | インタビュー第28弾

最終更新日 2023.11.02

生活シーンのあちらこちらにある「カロママ プラス」の“健康サポーター”

——具体的にはどのような企業さんが「カロママ プラス」を利用しているのでしょうか。

渡辺:具体的に利用いただいているのは、一般企業や健康保険組合(以下、健保)、自治体、スポーツクラブや小売店です。カロママ プラスに参画してくださっている企業を“健康サポーター”として位置付けています。

——それぞれ詳しく教えてください。

渡辺:まずは企業・健保ですが、例えば企業の人事さんが「ウチの会社でカロママ プラスを導入しました、会社が指定するコードを使って利用してください」と従業員に通知します。

そこで従業員がストアからアプリをダウンロードし、会社から提示されたコードを入力すると、その会社専用の仕様になるわけです。

企業専用の「カロママ プラス」の中では、会社で実施した健康診断データを連携したり、会社が奨励するウォーキング施策などがアプリ上で展開できるようになります。

場合によっては、社員食堂で食べた社食のメニュー情報なども入れられます。

アプリを使っていくうちに従業員の生活習慣がだんだん見えてくるので、どうもウチの社員は食事に関して課題が多いとか、車通勤や車での営業活動が多いから運動不足になりがちだとか、いろいろなことが分かってくるんです。

社員の福利厚生にもなりますし、最近では健康経営に取り組んでらっしゃる企業さんが増えているので、健康経営の一環として「カロママ プラス」が利用できます。

「健康サポーター」イメージ

——スポーツクラブの場合は、クラブ会員の方が利用するのでしょうか?

渡辺:そうです。スポーツクラブの会員番号を「カロママ プラス」に登録すれば、おすすめの運動メニューの中にスポーツクラブで行えるトレーニングやプログラムが表示されたりするんですよ。

——ターゲットは自治体ともおっしゃっていましたね。自治体はどのような目的で住民に「カロママ プラス」を紹介するのでしょうか。

渡辺:最近では、町全体で住民を健康にしていこうという取り組みで、市区町村や地域エリアが健康サービスを導入するケースが増えています。

地域住民が、自治体が健康サポーターとなった「カロママ プラス」をダウンロードすることで、アプリを使って市の健康イベントや企画などをアピールできます。

また地域によっては、住民が健康的な生活を送ることでもらえる健康ポイントを設定しているところもあります。「カロママ プラス」はそのようなポイント制度にも対応しています。

——小売店というのはスーパーやコンビニエンスストアでしょうか。

渡辺:はい、スーパーやコンビニエンスストアです。それ以外に外食店などもありますが、いわゆる実店舗です。

スーパーやコンビニエンスストアがお客様向けに「カロママプラス」を用意する場合には、お店で売っている商品や惣菜などの情報をあらかじめ提供いただき、アプリユーザーに対して食事メニューの提案をするときに商品情報も一緒に案内するといった形です。

例えばローソンだったら、ローソンのおにぎりとサラダの組み合わせを提案することができます。

このように、弊社がB(企業等)から情報をいただきながら最終的にはC(顧客)に提供する流れでビジネスを展開しています。

——生活のあちこちにカロママが存在しますね。

渡辺:ユーザーが朝起きて、仕事をしに会社に行き、帰りにスポーツクラブに寄ったり外食をしたり、帰宅前にはコンビニエンスストアやスーパーで買い物をしたりなど、朝起きてから寝るまでの間、 生活のいろいろなコンタクトポイントを「カロママ プラス」全体でフォローしていく状態を弊社は目指しています。

ますます導入が広がる「カロママ プラス」

——現在日本の中にはどのくらい「カロママ プラス」が浸透しているのでしょうか。

渡辺:企業に関しては、大企業から中小企業まで含めて6,000社にご利用いただいております。

健康優良法人の認定企業についても、昨年(2022年)の実績では70社に導入いただいていましたが、2023年では133社に増加しています。

自治体やスマートシティに関しては、神戸市や柏の葉スマートシティ、吹田市などさまざまな自治体やスマートシティ・団体に導入いただいています。

カロママ プラス | プロジェクト事例 自治体・スマートシティ

渡辺:スーパーやコンビニエンスストアについては、これからどんどん増やしていく予定です。現在はローソンさんや関東圏スーパーでは東急ストア、大阪だと阪急OASIS、愛媛のFUJIなどのお客様にご活用いただいていますが、他の実店舗でも導入が始まっているところです。

スポーツクラブや外食店もいまどんどん増えている最中ですね。

医療機関におけるカロママ活用も実証中

——医療機関での「カロママ プラス」活用も模索中だと伺いましたが。

渡辺:医療機関向け「カロママ プラス」に関しては現在実証中で、今後リリースを予定しています。

これまで説明してきた「カロママ プラス」活用法は、健康増進系アプリとして病気を予防する目的のために使われていますが、治療用にもアプリを活用したいという声が増えてきました。

ただアプリを治療で使う場合には、医療機器の扱いになってしまいます。医療機器となるといろいろなレギュレーションもありますので、どのような形で医療機関に使ってもらうのが良いのか見極めているところです。

収集した健康データはヘルスケア商品開発に活用

渡辺:弊社のもうひとつのビジネスとしては「カロママ プラス」で収集した健康データを協力先のヘルスケア企業に提供して、さまざまなヘルスケア商品を開発してもらうという事業も展開しております。

——収集したデータを再活用するのですね。

渡辺:各ユーザーから収集したデータはPHR・パーソナルヘルスレコードと呼ばれますが、弊社がユーザーのPHRをメーカーさんや保険会社さんに個人を特定しない形式でご提供し、相手先の商品開発に役立てていただいています。

「カロママ プラス」の機能

——「カロママ プラス」の具体的な機能を、さらに詳しくご紹介していただいてもよろしいでしょうか。

渡辺:では「カロママ プラス」を企業が活用した場合を例にしてご説明します。

企業が従業員に「カロママ プラス」を案内して使ってもらうと、基本的には従業員の毎日の食事・運動・睡眠に関してアドバイスがもらえるんですが、企業が実施した健康診断の結果などとも連携した上でアドバイスをしています。

——健康診断のデータはどうやって読み込むんですか?

渡辺:企業側からデータが送られてくる方法と、ユーザー自身が結果をアップロードする方法の2種類があります。紙の健診結果でもOCRで読み取りが可能です。

健診結果と日々の生活習慣を元にパーソナルAIコーチのカロママが食事・運動・睡眠のアドバイスをします。

さらに健診結果を元に、将来的な疾病リスクもAIで判定できます。5年後の疾病リスク予測、例えば糖尿病になる確率が5年後には何パーセントになるとか、それを予防するためには何をしなければいけないかのシミュレーションが可能です。

——健康診断後のフォローが「カロママ プラス」で可能になるんですね。

渡辺:他にも、アプリを楽しく続けられるための機能も「カロママ プラス」には搭載されています。

アプリユーザー同士で歩数や健康スコアを競い合うようなランキングイベント機能や、アプリの使用や健康スコアが上がるごとに貯まるポイント機能など、ユーザーのモチベーションを高める機能も付いています。

また、企業や店舗側が自分たちの管理するアプリユーザーの詳細な生活行動を把握する機能も用意されています。

AIがサポートする多様な健康課題

——カロママのアドバイスにはどのようなものがあるのでしょうか?

渡辺:それは、ユーザーの目的によりさまざまです。

ダイエット目的の方、現在の状態を維持したい方、筋肉をつけてマッチョになりたい方、メタボを改善したい方、または妊婦さんや産前産後の方など、それぞれの健康課題にあわせてアドバイスします。

AIコーチのカロママが行うアドバイスの数は、個々の健康課題にあわせて約2億通り以上あるんです。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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