株式会社インタートラスト 代表取締役 斎藤氏 | インタビュー第36弾

株式会社インタートラスト 代表取締役 斎藤氏 | インタビュー第36弾

まもる君クラウドが低価格な理由

——他の介護ソフトと比べてもまもる君クラウドの利用料は破格の安さですが、低価格を実現できた理由は何でしょうか?

斎藤:あらゆる面で徹底的にコスト削減した結果、現在の低価格が実現できました。

——どのような面でコストカットしたのか具体的に教えてください。

斎藤:まずは営業コストの削減です。

他社の多くは代理店戦略で、代理店にソフトを販売してもらってるケースが多いですが、当社の場合は自社で販売しています。そのため代理店コストがかからず、削減分を製品価格に反映できます。

また問い合わせのあったお客様との打ち合わせもZoom等のWeb会議で行い、訪問コストも削減しています。

——Web会議で完結すれば店舗を構える必要もないので、店舗運営コストも削減できますね。

斎藤:次に広告コストの削減です。

費用のかかる紙媒体の広告は一切せず、Webマーケティング中心に宣伝活動をしています。

広告コストというのは必要最小限しかかけておりません。

——口コミ高評価ということはコストゼロの宣伝効果にもなっていますね。

斎藤:そうですね。口コミサイトの存在は、当社にとっては非常に追い風になっていると思われます。

次に運用コストの削減です。

当社ではまもる君クラウドのサーバーを、アマゾンやマイクロソフトなどの海外クラウドサービスを使って運用しています。そうすることでかなり運用コストが削減できます。

——サーバー自体がクラウドなのですね。

斎藤:物理サーバーのコストはものすごくかかりますし、セキュリティを担保するためにエンジニアを抱える人的コストも発生します。インフラコストの削減も製品の低価格化に役立っています。

あとは開発コストですね。外注を使わずにすべて自社の社員だけで開発しているため、開発コストが最小限ですみます。

もともとパッケージソフトの「まもる君」を私が自分で作って自分で販売したところからスタートした会社なので、自社開発には徹底的にこだわっています。

このように営業・広告・運用・開発と、あらゆる面でのコスト削減を実現できたために、非常に低価格のサービスが提供できるというところです。

解約率の低さがサービス品質を証明

斎藤:当社にはもう一つ特徴があります。実はまもる君クラウドの解約率が非常に低いことです。

——具体的にどの程度の解約率なのでしょうか?

斎藤:3年平均で0.6%です。一般的な介護ソフトの解約率がおおむね1%程度ですが、当社はだいたい0.5%~0.6%を推移しています。

——それは低いですね。しかしBtoCのクラウドサービスの場合には解約率がだいたい6~7%だそうですが、介護ソフトは全般的に解約率が低いのですね。

斎藤:介護ソフトは介護請求といったところにからんでくるので、ソフトを切り替えると請求業務が滞り、介護報酬が入ってこない時期があるかもしれないというリスクがあります。なので一度導入したソフトはなかなか解約できないという事情があります。

大手のオンプレミス型のソフトはだいたい数百万円するので、5年リースとかを組んでいるケースもありますから、リース切れまでは入替ができないなどの理由もあります。

ただその中でも当社の場合は圧倒的に解約率が低いといえます。

介護業界のジレンマをDXで解消したい

——斎藤さんが介護業界に参入しようと思ったきっかけを教えてください。

斎藤:もともと私は長いことエンジニアをやってたので、私が持っているIT技術を使って日本に貢献できることはないかなと考え、介護業界に着目しました。

介護業界では大きな問題をいくつも抱えていて、そのひとつが人手不足でした。理由としては、介護士の給料を上げにくい業界の構造があげられます。なぜなら介護報酬の制度が3年に1回しか変わらず、介護サービスの単価が3年前に決められたままだからです。

給料が低いから人材募集しても採用できず、人手不足で黒字倒産する介護事業者も増えているみたいで、とにかく人手が足りなくて困っているんです。

——人手が足りないから利用者の受け入れができず、介護報酬がさらに減るというジレンマですね。

斎藤:そのため行政は人手不足の問題を、ロボットとかAI、ICT技術でなんとか解消しようとしています。

私もDXの部分で問題解決を図り、お安く・便利に・使い勝手が良いシステムを提供できれば、日本の介護業界に貢献していけるのではないかと考えました。

介護ソフト専業メーカーならではの柔軟性

斎藤:ところで先ほど介護のコミミさんを見ていただいたときに、まもる君クラウド以外に掲載されているソフトの種類を見て何か気づきませんでしたか?

——介護ソフトの有名どころは載っていますが、大手システム会社の名前はランキング上位ではほとんど見かけないなという印象でした。

斎藤:そうです。大手ITベンダーも多くが業界に参入しましたが、そのほとんどが撤退しています。

それには介護業界特有の難しさが関係しています。

——どうしてでしょうか?

斎藤:介護保険法は3年に1回大きく改正されますよね。そうすると3年ごとにソフトウェアの更改を行わなければいけない。

ですが介護保険改正によるソフトに必要な情報が公表されるのは結構ギリギリなので、4月1日からのスタートに必要な情報が得られるのは3月末頃です。

ちなみに今年は改定年なのですが、まだほとんど情報は出てきていません。(注:本インタビューは2024/1/19に行いました)

なおかつケアマネジャーさんがケアプランを作成するときには、4月分のケアプランは3月中に作らなければいけない。となると3月にすべての仕組みが出来上がってソフトウェアが行き届いた状態じゃないとケアマネジャーさんの仕事ができません。

——仕組みが確定するのが3月末で、それより前に新たな仕組みで運用しなければいけないなんて可能なんでしょうか?

斎藤:そのため各介護ソフトベンダーはいち早く裏情報をかき集めて、先行して予測を元にソフトを更改していく。そして最終確定が出たところで必要なところだけを修正する。そのくらいのことをやらないと完成しません。

一般的な大手システム会社は介護ソフト以外にもいろいろなソフトを作っているので、なかなかそこまで細かな対応はできない。だから介護ソフトは専業メーカーじゃないと作れないと感じています。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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