NPO法人グレースケア機構 代表 柳本氏 | インタビュー第21弾

NPO法人グレースケア機構 代表 柳本氏 | インタビュー第21弾

グレースケアが提供するサービス

——再びグレースケアさんの話に戻ります。グレースケアさんでは訪問外出サービスなどいろいろなケアを展開されていますね。各サービスの概要を教えてください。

柳本:事業内容は訪問・外出サービスに加え、通い・泊まりのデイサービス「となりのでこちゃん」、ケア付きシェアハウス「むかいのさっちゃん」、訪問看護ステーション、まちづくり活動や研修・相談サービスです。

それぞれの内容はホームページに詳しく載っています。

グレースケア機構|事業内容

——ホームページでは実際の活動報告なども見られますか?

柳本:定期的に発行しているニュースレターや、スタッフが更新しているブログを「お知らせ一覧」に掲載していますので、ぜひサイトをご覧になって参考にしていただければと思います。

グレースケア機構|お知らせ一覧

Twitterでも写真入りで、利用者様の様子を伝えています。

Twitter | となりのでこちゃん

Twitter | NPO法人グレースケア機構

——では今回のインタビューでは、ホームページに載っていない情報をお聞かせください。利用者様の声とか、具体例など。

柳本:そうですね…

まず自費による訪問外出サービスでは、買い物や旅行の付き添いをしたり、一緒にお食事に行ったりします。

あとは仕事のお手伝いも。

——仕事とは、利用者様が自分でされている仕事ですか?

柳本:そうです。介護保険では、営業や仕事の手伝いをしてはいけないのですが、脳梗塞の後遺症で要介護になった弁護士さんの手伝いを自費によるサービスでしたこともあります。スーツを着て事務所で書類のコピーやトイレ移動などを介助しました。

他にも、先日90代の利用者様が神戸まで旅行に行くのに付き添いました。利用者様は神戸でずいぶん久しぶりにお姉さんにお会いできて、とても喜んでいただきました。

——それは嬉しかったでしょうね。

柳本:人工呼吸器をつけている方がヘルパーさんと一緒に桜を見に行ったこともありますよ。呼吸器を付けていると外には出られず寝たきりみたいに考えている方が多いですが、全然そんなことはありません。

もちろん十分な準備とケアは必須ですが、吸引や胃ろうなど、医療的ケアが必要な方であっても、できる限り外出の機会を増やしていければと思います。

あとはホテルを使ったショートステイなども、施設に預けられる感じとは違って、ご本人が旅行気分を味わえるとご好評いただいているサービスです。

医療的ケアが必要だったり看取り間近で、自宅での生活は不安だけれど、施設や病院は絶対に嫌だと言う方は、民家の「むかいのさっちゃん」で最期までお過ごしいただけます。お隣りのステーションから看護師も来ます。

——認知症の方に対するサービスは用意されていますか?

柳本:「となりのでこちゃん」では、一緒に買い物にいってご飯を作ったり、干し野菜をこしらえて地域のマルシェに売りに行ったり、まちしごとを担うことで、サービスというより、役割を作っています。

また、認知症の方の中には通常のデイには馴染めない方もいます。グレースケアではまったく自費で個別に好きなところに一緒に出かけて過ごす、通称ひとりデイをやっています。

若年性認知症のスポーツマンとは一緒に走ったり、プールで泳ぎに行きましたし、お酒とカラオケの好きなおじいさんとは、いつもスナックに行っています。カメラが趣味の方とは撮影に出かけたり。その方の好きな生活ありきで、一緒に楽しんでいます。

——介護を必要とする方ご本人ではなく、ご家族のケアや相談できる場はあるのでしょうか。

柳本:ケアマネジャーによる相談では要介護者に関係する相談しかできませんが、家の中に実は引きこもりの息子がいるとか、精神疾患の家族がいるとか、海外に住む娘のこだわりが強いとか、ご家庭によって複合的な問題を抱えているケースがあります。

グレースケアの「相談事業部」では、役所の窓口では対応しにくいことや家族間の問題、障害や病気、住まいに関することなど、さまざまな相談にのっています。お困りごとはいつでもご相談ください。自費のケアマネジメントも行っています。

グレースケアの3つの強み

——介護保険外で全額自己負担の介護サービスを提供している介護事業所は他にもありますが、グレースケアさんは他社と比べてどのような点が優れているのでしょうか。

柳本:私たちグレースケアの強みは3つあります。

まず1つ目は、地域とのつながりが密なところです。

地域のさまざまな市民団体やNPOと連携し、コミュニティサロンや多世代の居場所作り、助成事業を行っています。困りごとや愉しみは、必ずしも「自費」に限らず、ローカルな助け合いで担える部分もあります。

民家を使った小規模デイ「となりのでこちゃん」が高齢者の居場所になったり、武蔵野オフィスでガレージセールをしたり、くまちゃん保健室を開いたり、自費の有料サービスに限られない取り組みができるのがNPOとしての特徴です。

——「となりのでこちゃん」のお隣には幼稚園があるそうですね。

柳本:はい。子供の元気な声を聴きつつ、のんびりとそれぞれのペースで楽しく過ごしていただいてます。

私たちは「制度より生活をちゃんと見よう」をモットーにしているので、利用者様にあわせて長時間や緊急時の対応、既存の介護施設に当てはまらない柔軟なサービスを提供しています。

そして「となりのでこちゃん」のスタッフの多くは訪問ヘルパーも兼務しているため、利用者様は家でも会っているメンバーと過ごせる安心感があります。地域のなかで、家や通いの場で顔なじみができ、一緒にガレージセールをやったり、自費で吉祥寺へ遊びに行ったり、まちなかで顔の見える関係がさまざまに作れるのが愉しいです。

2つ目の強みは、いわゆる「困難」ケースや、吸引・経管栄養、看取りなどの医療的ケアについてもしっかり対応できる点です。

他の介護事業所が敬遠するような行動障害や精神症状の強い方、認知症が進行している方、ご家族や近隣との間で問題を抱えている方、家がゴミ屋敷になってしまった方など、さまざまな方のところに訪問したり、でこちゃん・さっちゃんでの受け入れを行っています。

そのためにグレースケアでは、吸引などの医療的ケア研修を年3回行っているほか、毎月の全体研修、個別のカンファレンスや介護実技のトレーニングなど、スキルを磨く機会を充実させています。

また、記録や情報共有はペーパーレスにしてスマホを利用するようにしています。

3つ目は「みんなが面白がっている」点です。

グレースケアでは訪問ヘルパーの指名もできるのですが、ヘルパーによっては自分の特技やスキルをアピールして、特色のある介護サービスを提供しています。指名料は2割増し、ヘルパーも時給が2割増になります。

また、料理が得意な方や、片づけや整理収納を特技としている方がおり、自分たちで「おいしい事業部」や「片づけ事業部」「おでかけ事業部」「ペットケア事業部」など、新しい事業部をどんどん作って新しいケアサービスを展開しているんです。好きなことを活かして、仲間を集めて勝手に始めていくので、こちらは大変なんですが(笑)

よい意味で適当というか、ヘルパーさん達が楽しんで働けていることがケアの充実にもつながっています。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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