ケア業界のパイオニアに道を訊くインタビュー企画、第21弾です。
今回は、自費と制度を組み合わせた介護のトータルケアサービスを提供する、NPO法人グレースケア機構の代表 柳本文貴さんにお話を伺いました。
この記事の要点
- 日本の福祉システムにプラスしてケアがしたい、という思いでケアの専門職が集まりグレースケアは発足した
- 自費サービスを組み合わせることで「お困りごとからお愉しみまで」が提供できる
- 各スタッフの個性や特技を活かした多彩なサービスにより自由で柔軟なケアを実現
NPO法人グレースケア機構 代表 柳本 文貴氏のプロフィール

プロフィール
柳本 文貴(やぎもと ふみたか)氏
1970年、新潟生まれ。大阪大学在学中より、1人暮らしの重度障害者の介助をはじめ、人材不足を解決すべく株式会社パソナフォスターにてヘルパーを養成する部署に従事。
東洋大学社会福祉援助技術講師、老人保健施設、認知症グループホームを経て、2008年にNPO法人グレースケア機構を設立。
お困りごとからお愉しみまでをモットーに、自費と介護保険や障害福祉など組み合わせた自由で柔軟なケアサービスを提供。
家事、介護から看取り、まちづくりまで幅広く取り組む。社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャー、保育士。
インタビュー
目指す介護は 「お困りごとからお愉しみまで」
——まず最初に、NPO法人グレースケア機構についてご紹介いただけますか?
柳本(以下、敬称略):はい。私たちは自費を中心に介護保険や障害者総合支援法を組み合わせた訪問・外出から通いの場、泊まり、住まいまでのトータルケアを提供するNPO法人です。

——高齢者向けケアだけではないのですね。
柳本:ご利用者は赤ちゃんから108歳の超高齢者までさまざまです。ALSなどの難病や発達障害、精神疾患がある方のサポートも行っています。
——創立は2008年だそうですが、最初から自費サービスも取り入れていたのですか?
柳本:もともとグレースケアは、日本の介護・福祉システムにプラスしてケアがしたいという思いから、ケアの専門職が集まって作ったNPOなんです。制度の中だけでは補えない部分がある介護の問題を、自費によるサービスも取り入れることで解決したいと考えました。
——自費サービスについては後ほど詳しくお聞きしますが、具体的にはどんなサービスを提供しているのですか?
柳本:私たちが提供するサービスは「お困りごとからお愉しみまで」。
この写真は水族館に遊びに行ったときの写真ですが、このように利用者様と好きなところへ出かけたり、旅行のお手伝いなど、望まれること・必要なことすべてがサービスメニューです。基本、ヘルパーが確保できる限り、内容によって断ることはありません。

——グレースケアさんの「お困りごとからお愉しみまで」は、2016年に厚生労働省の保険外サービス活用ガイドブックでも紹介されたそうですね。
柳本:はい。私たちが目指している「年齢や障害・病気をハンディにしない愉しい生活をサポートする」取り組みを評価いただきました。
▶厚生労働省|地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集(P.29に掲載)
——グレースケアさんはどの地域でサービスを提供されているのですか?
柳本:東京都三鷹市や武蔵野市が中心ですが、都内全域に対応しています。調布市・杉並区・練馬区・世田谷区などにお住まいの方にも多くご利用いただいてますね。
