この記事の要点
- 日本の高齢化により介護関連の株銘柄が注目されている
- 特にAIをはじめとする介護テック企業の株銘柄は期待が大きい
- AI技術の介護への活用は国策でも推進しているため注目度「大」
介護業界は21世紀の日本において、最も成長が見込まれる分野だと言われています。
そのため投資家たちも、介護関連の業務展開をしている企業には熱い視線を注いでいます。
中でも、AI(人工知能)をはじめとするITテクノロジーと介護を結びつける介護テック関連の株は今後も注目度が高まるでしょう。
今回は東証の各マーケットに上場している企業の中から、介護関連の株銘柄を紹介していきます。
目次
2022年「介護+AI」関連株の動向

AI が実際に世の中で活用され始めてからまだ日が浅いため、すでに上場を果たしている 各AI 開発企業でも介護業界向け製品を提供している企業はまだ少数派です。
各企業ともAI 技術の活用方法を模索している段階だと思われますので、2022年3月時点で介護業界向け製品を出していないAI 開発会社でも、この先に自社の技術を介護に活かそうと考えていく可能性は高いでしょう。
いま介護向け製品を出しているいないに関わらず、AI関連株は随時チェックしてはいかがでしょうか。
代表的な「介護+AI」関連銘柄一覧
AI開発を行っており、2022年3月時点で介護業界向け製品を提供している代表的な銘柄は以下表のとおりです。
企業名 | マーケット | 概要 |
富士ソフト | 東証1部(9749) | AI搭載コミュニケーションロボット「PALRO」を高齢者福祉施設などに販売 |
オプティム | 東証1部(3694) | IoT機器で体調管理などを行う在宅医療支援サービス「Smart Home Medical Care」を提供 |
サイバーダイン | 東証マザーズ(7779) | 装着型ロボットスーツ「HAL」を開発。AI開発企業と2017年に提携 |
都築電気 | 東証1部(8157) | 介護サービス統合管理システム「KitFit SilverLand」を販売。多数の業界向けにAIシステムを提供 |
BCC | 東証マザーズ(7376) | 自治体~医療機関~介護のデータ連携およびAI解析によるヘルスケアDXの実現をサポート |
クシム | 東証2部(2345) | 東京大学等との5社連携で行っていた介護施設用AI検知システム構築に成功 |
非上場のAI関連企業
株式市場に上場を果たしていなくても、介護向けAI製品を開発している今後有望なAI関連企業がいくつか存在します。
以下の記事では2021年時点ですでにAIを活用した介護関連製品・サービスを提供している企業を10社紹介しています。提供中のAI製品・サービスや上場の有無についても説明していますので、あわせてご覧ください。
▶「介護+AI」で何ができるか?介護施設向けAI商品提供企業10社を紹介
2022年「介護テック」関連株の動向

AIの開発やAI搭載製品・サービスを提供していない企業の中にも、介護を支援するIT企業は数多く存在しています。
「介護」と「ITテクノロジー」を組み合わせた造語の「介護テック」または「ケアテック」を主な事業としているIT企業の株銘柄も、AI株と同じく今後は要チェックです。
代表的な「介護テック」関連銘柄一覧
2022年3月時点で介護テック関連事業を展開している企業の代表的な銘柄は以下表のとおりです。
企業名 | マーケット | 概要 |
SOMPOホールディングス株式会社 | 東証1部(8630) | 損害保険会社の大手。 国内損害保険事業を中心に、海外保険事業、国内生命保険事業に加え、介護・シニア事業も展開する |
NTTデータ | 東証1部(9613) | NTT系列、情報サービスの大手。官公庁や金融機関向け大型システム受託に加え介護向けICTサービスも展開 |
サイエンスアーツ | 東証マザーズ(4412) | ライブコミュニケーションプラットフォーム「Buddycom」で介護施設の職員連携を支援 |
ミネベアミツミ | 東証1部(6479) | 介護ベッド用の見守りセンサーシステムにより要介護者のバイタル・離床状況を管理 |
ユーピーアール | 東証2部(7065) | 作業用アシストスーツを販売・レンタル |
菊池製作所 | 東証JASDAQスタンダード(3444) | 板金・成形・金型開発事業など。作業補助ロボット「マッスルスーツ」を制作 |
コラントッテ | 東証マザーズ(7792) | 磁気健康ギア「Colantotte」に認知症高齢者の身元不明対策用システムを付加してリニューアル発売 |
非上場の介護テック企業
先ほどご紹介した非上場のAI関連企業と同様、非上場のIT企業でも多くの企業が介護向け製品・サービスを提供しています。
どのようなIT企業が介護業界を支援しているかは、以下の記事を参考にしてください。
▶介護業界に進出するIT企業9社を紹介 IT企業が介護に協力できること
2022年「介護施設等運営」関連株の動向

次にAI などのIT技術で介護を支援している企業ではなく、自分たちが介護施設などを運営し、介護に直接携わっている民間企業の中から、東証市場に上場を果たしている株銘柄を紹介します。
他業種を主な事業としてきた企業が、事業拡大のために介護施設等の運営を開始したケースも多く見られます。介護施設運営以外にも幅広く事業を展開している企業の株銘柄は、介護事業以外の事業により株価が変動する可能性があることも知っておきましょう。
代表的な「介護施設等運営」関連銘柄一覧
2022年3月時点で介護施設等の運営事業を展開している企業の代表的な銘柄は以下表のとおりです。
企業名 | マーケット | 概要 |
ベネッセホールディングス | 東証1部(9783) | 「進研ゼミ」などの通信教育最大手。傘下に英会話教室「ベルリッツ」など。全国展開で330以上の有料老人ホームを運営 |
ケア21 | 東証JASDAQスタンダード(2373) | 関西を地盤に訪問型を主力とした介護施設・サービスを展開 |
チャーム・ケア・コーポレーション | 東証1部(6062) | 高級有料老人ホーム運営および医療・介護人材サービスを展開 |
セントケア・ホールディング | 東証1部(2374) | 訪問介護事業を中心に有料老人ホーム、福祉用具販売、ケアマネジメントなど介護に関する幅広い事業を展開 |
シダー | 東証JASDAQスタンダード(2435) | リハビリに特色がある介護サービス・有料老人ホームを運営。九州を拠点に全国展開を開始 |
2022年「介護用品」関連株の動向

要介護者の快適な生活と介護者の負担軽減のために必要な各種介護用品を提供する企業も、高齢化社会の進展により注目の高まりが見込めます。
介護に関連する「衣・食・住」の製品・サービスを販売会社に加え、高額な介護用品をレンタルサービスする各種レンタル会社の株銘柄もチェックしてみましょう。
代表的な「介護用品」関連銘柄一覧
2022年3月時点で介護用品の販売・レンタルを行っている企業の代表的な銘柄は以下表のとおりです。
企業名 | マーケット | 概要 |
キューピー | 東証1部(2809) | マヨネーズなどの加工食品に加え医薬品、肥料等の幅広い事業を展開。ユニバーサルデザインフード「やさしい献立」で食から介護を支援 |
マルハニチロ | 東証1部(1333) | 水産最大手の食品会社。冷凍・レトルト介護食「メディケア食品」を介護施設および在宅介護向けに提供 |
パラマウントベッドホールディングス | 東証1部(7817) | 医療・介護用ベッドを個人や介護施設等に販売・レンタル |
大王製紙 | 東証1部(3880) | 総合製紙大手。介護用オムツ「アテント」を製造販売 |
日本ケアサプライ | 東証2部(2393) | 三菱商事系の福祉用具レンタル卸最大手。医療機関・介護施設・在宅介護向け食事サービス事業も開始 |
トーカイ | 東証1部(9729) | 在宅介護用介護用品の販売・レンタル |
介護へのAI活用は国策により注目度「大」

市場調査を行う株式会社富士キメラ総研は、AI 関連産業の市場規模は2020年時点の23兆638億円に対して、2030年には約3.7倍の86兆9,620億円になると予測しています。
その理由の1つとして、日本政府が現在取り組んでいるビッグデータ収集施策の影響が考えられます。
厚生労働省が立ち上げたデータヘルス改革推進本部では、高齢者の健康・医療・介護に関するデータを広く収集し、ビッグデータのプラットフォームを構築しようと考えています。
収集したデータを実際の介護に活かすためにはAI技術の利用が必要となりますので、AI開発行っている各企業の株価にも大きく影響する可能性が大です。
国のAI活用施策については以下の記事でも紹介しています。
▶介護でAI活用|導入の現状と最新の研究から介護の未来を考察
まとめ
今回は介護に関連する東証に上場している銘柄を紹介しました。
介護分野に投資する全国の投資家により、介護関連企業は運営資金を得られてますます事業を拡大できます。
株価の上昇は投資家の利益になるばかりでなく、介護業界の活性化にもつながるため、ぜひ注目してみましょう。
