介護者が交流するオンラインコミュニティ・グループおすすめ5選とアプリ研究事例

介護者が交流するオンラインコミュニティ・グループおすすめ5選とアプリ研究事例

最終更新日 2022.11.24

この記事では、介護者(※)が中心となって意見や情報を交換するオンラインコミュニティの事例と、次世代のオンラインコミュニティアプリ開発事例を研究論文ベースでご紹介します。

※なお、本記事では職業として介護を行う人を「介護職」、(家族などの介護を行う)ボランティア含めて介護を行う人全体を「介護者」と表現しています。

介護者が交流できるオンラインコミュニティ5選

介護者はしばしば、仕事の時間や個人の時間、人間関係を犠牲にすることによって孤独感に思い悩むことがあります。そして介護者のメンタルヘルス悪化が介護を受ける側にも悪影響を及ぼすことが報告されています。
介護者の孤独感や悩み、疑問はオンライン上で解消することもできるかもしれません。以下では介護に携わる人、もしくは介護に興味関心がある人がオンライン上で交流できるコミュニティ・グループをご紹介します。

SPACE(KAIGO LEADERS)

SPACE(KAIGO LEADERS)
画像はHPより引用

特徴

  • 「新しいことに チャレンジできる 環境が欲しい方」「「これからの介護」 について、 考えていきたい方」「職場を超えて “介護”に関わる つながりを広げたい方」向けのコミュニティ。
  • 交流の場はSlack。
  • 月に1度の定例会がある。
  • 定例会以外でメンバーが自主的に開催するイベントが平均毎月10回ある。
  • 運営元KAIGO LEADERS主催のイベント動画アーカイブを視聴可能。
  • 参加費は¥2,000/月(学生は¥1,500/月)。

URL:heisei-kaigo-leaders.com/projects/space/

Yancle community

Yancle community
画像はHPより引用

特徴

  • 「親、祖父母、きょうだいのケアをしている40歳未満のケアラー」「日々相談する相手がいない人」「将来の不安を抱える人」「乗り越えるために学びたい人」「自分の経験を話したい、愚痴を吐きたい人」向けのコミュニティ。
  • 交流の場はSlack。
  • Slack内での会話ルームのトピックは、「日常の悩み相談」「役立ち情報共有」「教えて助成金」「学びイロイロ」など。
  • オンラインイベント「専門家を招いたケアラー相談会」「ケアラー同士の飲み会」「ケアと共に生きるための講座」「ゲストスピーカー」などが開催されている。
  • 参加費は無料(一部のイベント参加のみ有料)。

URL:yancle-community.studio.site/

介護福祉を学び合う情報交換会

介護福祉を学び合う情報交換会
画像はグループページより引用

特徴

  • 「高齢化時代での 介護福祉について勉強したい人」向けのコミュニティ。
  • 交流の場はFacebookグループ。
  • グループの人気トピックは「指体操」「柑橘系」など。
  • 2012年7月から運営されている。
  • 参加者は1.4万人以上(2022年7月現在)。
  • LINE@も運営されている。
  • 参加費は無料。

URL:www.facebook.com/groups/kaigofukushi

介護現場から聞く〜意見交換・相談〜

介護現場から聞く〜意見交換・相談〜
画像はグループページより引用

特徴

  • 「介護職」「介護職を目指す人」「元介護職」「介護を受けている人」「興味のある人」向けのコミュニティ。
  • 交流の場はFacebookグループ。
  • グループの人気トピックは「介護予防体操」「スマイルアクティビティ」「脳トレ体操」など。
  • 2014年4月から運営されている。
  • 参加者は2.4万人以上(2022年7月現在)。
  • 参加費は無料。

URL:www.facebook.com/groups/487142834747036

ゆうゆうLife

ゆうゆうLife
画像はHPより引用

特徴

  • 「介護の仕事について、参加者の持つイメージ」「介護にまつわる体験」「仕事と育児」「家事などとの両立」「やりがいを感じた瞬間」などについて語り合いたい人向けのコミュニティ。
  • 交流の場はWebサイトの掲示板。
  • 2020年10月から運営されている。
  • 運営元は産経新聞社およびクオン社。
  • 参加費は無料。

URL:www.beach.jp/circleboard/af08100/topictitle

番外編:介護におけるAI・DXに関する情報交換グループ

介護におけるAI・DXに関する情報交換グループ

特徴

  • 「日々の介護のお悩み」「ITに関する質問」「事業所で取り組んでいるDX(デジタル化)」などについて語り合いたい「介護職」「介護に関わる人」向けのコミュニティ。
  • 交流の場はFacebookグループ。
  • 2021年7月から運営されている。
  • 参加費は無料。

URL:www.facebook.com/groups/caretechcommunity

研究紹介:次世代の介護者コミュニティアプリとは?

上述のように、国内だけでも介護者向けのオンラインコミュニティ・グループは幾つも存在しています。それぞれに異なる特徴があり、そのどれもがユーザーのニーズを汲み取ってより良いコミュニティサービスを提供しようとしています。
今後、オンライン上での介護者コミュニティはどのように発展していくでしょうか?

海外(シンガポール)では、介護に携わる人々がオンラインコミュニティに求める機能を包括的に備えた画期的なモバイルアプリが研究されており、研究グループが論文で解説しています。
今後の介護者コミュニティがどのようなものになるのかを知るヒントになるので、要点をご紹介します。

参照する科学論文の情報
著者:May O Lwin, Anita Sheldenkar, Chitra Panchapakesan
機関(国):Nanyang Technological University(シンガポール)
タイトル:A Digital Mobile Community App for Caregivers in Singapore: Predevelopment and Usability Study
URL:doi.org/10.2196/25679

なお、介護に役立つモバイルアプリに関しては下記の記事でも取り上げています。ぜひチェックしてみてください!

▶︎認知症高齢者の疼痛評価をAI表情分析で行うアプリ「PainChek」
▶︎転倒予防には「デジタル日記」 高齢者が自ら転倒を管理する未来がくる
▶︎介護事業所のシフトに関する悩みと苦労を解決するアプリ&ITサービス6選

研究背景と開発前の準備のアンケート結果

アンケート

2015年の調査で、認知症患者のケアを在宅で行うボランティアの介護者(家族など)の介護時間は全世界で1人あたり1日6時間、年間2,089時間(全員の合計は年間820億時間)だと推定されました(ALZHEIMER’S DISEASE INTERNATIONALのレポートより)。認知症患者だけでなく、自閉症の子供を介護する人々なども含めると在宅の介護者は膨大な人数となります。また、アジアでは家族が介護者となることが期待されがちで、他の地域に比べて在宅介護が多い傾向にあるようです。

上記のような背景から、シンガポールの研究グループは発達したモバイルテクノロジーを駆使して、オンライン上で介護者が交流できる場を作ろうと考えました。オンラインでのコミュニティが上手く機能すれば、対面での情報交換に比べてより便利となり、介護者の負担を減らすことができます。

研究者らはアプリの開発前に、21歳〜70歳の介護者を対象にアンケートを行うことで、現在のオンラインコミュニティにおけるユーザーニーズに関連する情報を調査しました。回答者103名のうち約半数(52名)が18歳未満の自閉症児等を介護している介護者であり、23%(24名)が70歳以上を介護している介護者でした。
調査の結果、回答者の3分の2が介護においてストレスを感じており、約39%が介護者になってから健康が損なわれたと感じていました。また、介護者の中にはオンラインコミュニティを利用している者も何人かいましたが、Facebookグループなどのオープンなプラットフォームでは、プライバシーとセキュリティに対する懸念が生じることが挙げられました。他に、介護関連の商品を効率よく検索するプラットフォームが多くの介護者から求められていることも分かりました。

開発されたモバイルアプリの各機能

アンケート調査をもとに、アプリの開発が行われました。アプリの名前は「CAREGIVER’S CIRCLE(介護者サークル)」です。以下では各機能を簡単に説明します。

プロフィール作成機能

アプリをダウンロードしたユーザーはまず連絡先、被介護者の年齢や障害等の入力が求められます。それらがユーザープロフィールとして登録され、下図のように公開されます(連絡先は非表示、名前は匿名設定可能)。

アプリのホーム画面(左)とプロフィール画面(右)
アプリのホーム画面(左)とプロフィール画面(右)

フォーラム機能

アプリの最も基本的な機能の一つは、国内の介護者同士でコミュニケーションを行う「フォーラム機能」です。提供される情報がユーザーにとって関連性の高いものであるように、(アプリ全体の)利用者は国内だけに限定されます。フォーラムは、被介護者におけるさまざまな障害ごとに分類されており、登録したユーザーなら誰でも、全てのフォーラムに投稿することができます。

マーケットプレイス機能

ユーザーが介護商品を効率的に見つける場所、あるいは供給する場所にニーズがあると考えた研究者らは、アプリ内にマーケットプレイス機能を備えました。商品の購入時にはプライベートチャットに移動して購入についての詳細や商品の受け取り場所を打ち合わせることが可能です。

マーケットプレイス画面
マーケットプレイス画面

グループ機能

やりとりが全て公開されているフォーラム機能とは別に、ユーザー同士がプライベートグループを作成してコミュニケーションをとることができるグループ機能も備えられました。使用イメージの例として、同じ要介護者を介護する共同介護者たちはこのプライベートグループ内で病院の手配などの個人的な情報をやりとりすることができます。あるいはフォーラム内で友達になったユーザー同士でプライベートグループを作成して話し合うなどの使い方も可能です。

グループ画面
グループ画面

友達機能

フォーラム内での投稿経由で知り合ったユーザー同士や、あるいはもともとの知り合い同士がお互いのユーザーIDを検索することで、アプリ内において友達登録を行うことができます。また、被介護者の年齢や障害の種類などで検索を行い、友達になることもできます。介護においては似た境遇の者同士での情報交換にニーズがあるため、この条件検索機能がつけられました。
友達になったユーザー同士は、被介護者の情報や、受けている支援、友達の数、フォーラムへの投稿数などを閲覧することができます。
また、所在地が近いユーザー同士が友達になったり、直接会ったり、地域のサービスについて話し合うことを助けるためにマップ機能もあります。ユーザーの所在地情報は常に公開されているわけではなく、本人が希望する時のみにアプリ側に提供される仕組みになっています。

マップ画面
マップ画面

アプリの使用テストの結果

アプリは試作品に対して、32人のユーザーによって使用テストが行われました。ユーザーは全員介護者であり、彼らが介護を行う被介護者は18歳未満が13人(41%)、18歳〜69歳が13人(41%)、70歳以上が6人(19%)でした。

テストの結果は以下のようなものでした。

  • アプリが利用可能になったら間違いなくダウンロードするとほとんどの参加者が述べた。
  • アプリはすっきりしていて使いやすいとほとんどの参加者が述べた。
  • フォーラムは便利で、さまざまな問題を解決するのに効果的であるとの意見が挙げられた。
  • アプリが国内での利用に限定されているため、地域の情報が入手でき、フォーラムは役に立つとの意見が挙げられた。
  • 一般的なサイトと異なり、介護用の商品に特化したマーケットプレイスではニーズに合った商品を見つけやすく便利だと多くの参加者が述べた。
  • 友達検索機能は、フォーラムで交流する時間がない参加者にとって効率的で便利な機能だという意見が挙げられた。
  • 効率的に介護者と交流するために、拠点の近い人を見つけられるマップ機能を気に入った参加者もいた。
  • 一方で、マップ機能がプライバシーの問題を起こす可能性があるとの指摘も存在した。

研究者らは結論として、ユーザーは全体的にこのアプリに対して前向きであり、彼らの生活の質を向上させると確信していると述べています。今後は、プライバシー保護の強化の他、ユーザーを助ける幾つかの追加機能を組み込む予定とのことです。

まとめ

本記事では、介護者が中心となって意見や情報を交換するオンラインコミュニティの事例と、次世代のオンラインコミュニティアプリ開発事例を研究論文ベースでご紹介しました。

取り上げた「CAREGIVER’S CIRCLE(介護者サークル)」のように介護者のニーズを包括的に取り入れたサービスの開発事例は他に類を見ません。このアプリは現在ストアには公開されていないため、その概要や使用感は論文の報告でのみ知ることができますが、今後改善を経て公開されることが期待されます。

日本国内での介護コミュニティサービスは、フォーラム機能に特化しているとも言えます。「CAREGIVER’S CIRCLE(介護者サークル)」のようにマーケットプレイス機能やグループ機能、マップ機能などが実装されたサービスが今後出てくると、介護者にとっては効率的に悩みを解決できる新しいツールになるかもしれませんね。

もし今すぐ交流に関心があれば、まずは前半で紹介したコミュニティに参加して、情報や意見の交換を始めてみてはいかがでしょうか。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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