未来の介護施設、ロボットは普及してる?

未来の介護施設、ロボットは普及してる?

ロボットを目にする機会はどれくらいありますか?実際は、意外と、頻繁ではないことでしょう。

派手なロボットの存在感は増している気がしますが、それらはメディアによって印象付けられている部分もあるかもしれません。

周りを見渡して、「あれもこれもロボット」という時代はくるのでしょうか?ましてや、その活躍が期待されている介護施設では?

というわけで、今日のテーマは「介護施設とロボット」です。

この記事の要点

  1. いよいよ介護施設にロボットがほしい。
  2. 配備する「計画」が重要。
  3. 計画には、3つの方法がある。

ロボットは天から降ってくるものではなく、人間が作って置くものなので、備える際は工夫しなければいけないという話ですね。

先に進みましょう。

★この記事で参照している科学論文の情報

著者:Tony T. Tran, Tiago Vaquero, Goldie Nejat, J. Christopher Beck
タイトル:Robots in Retirement Homes: Applying Off-the-Shelf Planning and Scheduling to a Team of Assistive Robots
URL:DOI

驚きの数

介護施設は、世の中に、どれほどの数が存在すると思いますか?

1000?2000?
いえいえ、その総数はなんと国内だけで30万を超えています。
(厚生労働省「令和元年介護サービス施設・事業所調査の概況」「施設・事業所の状況」より)

介護施設の数は、もちろん介護のニーズを表しています。しかし、少子高齢化というだけあって、肝心の職員の数が足りていません。
職員の数が足りないのであれば、ロボットを導入したいところです。

「ロボットを導入と言ったって、簡単なことじゃないよ」と思ったそこのあなた、その感覚は正しいと思います。

では、具体的にどのような障壁があるのでしょうか。コスト・・・信頼性・・・そのどちらも重要ですが、ロボットを普及させる配備計画のことはお忘れではありませんか?

配備計画というのは、ある施設において、どのようなロボットを、幾つ、どの位置におくと効果的かを考えることです。

ロボットの例

介護施設におけるロボットには、いくつか種類があります。想像しやすいように少し紹介します。(厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」より)

(1)移乗支援ロボット

介助者のパワーアシストを行う装着型の機器などです。介助者による抱え上げ動作のサポートなどが目的とされることがあります。装着型のものが印象的かと思いますが、非装着型の機器もあります。

(2)移動支援ロボット

イメージ

高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できる歩行支援機器のことです。

屋内では、移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援するものもあります。

転倒予防や歩行等を補助する、装着型のものもあります。かっこいいですね。

(3)排泄支援ロボット

トイレを当たり前にできるというのは、人の気持ちにとって大切なことです。

設置位置調節可能なトイレには、ロボット技術が必要です。トイレ内での下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援するロボット機器もあります。

北米の研究者たちの奮闘

トロント大学のTony T. Tranやマサチューセッツ工科大学のTiago Vaqueroら研究者たちは、介護施設にロボットを配備する計画に焦点を当てて、3つもの方法を検証しました。

北米は日本に負けず劣らずの高齢化社会に直面しているので、このような研究が進むのは、さもありなん、と言った所でしょう。

計画技術の最先端

以下の情報を眺めてみれば、計画を検証する意味自体がぼんやりと分かるかもしれません。
これは、配備計画を立てる時に考慮すべき、現場の状況です。

  • 場所
  • ユーザー(利用者や従事者)
  • 充電ステーション
  • ロボット
  • 初期位置
  • 速度
  • バッテリーレベル
  • 電力消費量
  • 遠隔操作の種類

これらの数字をどのように変えれば、ロボットにより、現場のタスクがしっかりと遂行されるのか。
それを考える目的で、3つの計画方法が比較されました。

その3つの方法とは、以下のようなものです。

  1. PDDLベースの計画
  2. タイムラインの計画とスケジューリング
  3. 制約ベースのスケジューリング

おそらく、日常生活で出合わない言葉が並んでいて、混乱をきたすことでしょう。

PDDLとは「Planning Domain Descrition Language」の略で、直訳すると「計画ドメイン定義言語」になります。
AI計画と呼ばれる「自動化やロボットの実現計画」の戦略を立てるためのツールとして認識してください。

ひとつひとつの方法のメカニズムを細かく述べると、複雑かつ難解なので、ここでは結果だけ見てみましょう。

万能な計画はない(少なくとも今はまだ)

結論として、「制約ベースのスケジューリング」と呼ばれる手法が 優れている場合が多いと判断されました。

この方法は、最適化(計画にもっとも適した色々な数字を算出すること)を行う上で、他の方法よりも優れているとのことでした。

ただし、「大きなスケジュールには苦労する可能性がある」とのことです。

つまり、より大きな施設であったり、連携している複数の施設に一度にロボットを導入する際には、慎重になる必要があるということです。

反面、小さい規模で低品質な計画を行うときは、「PDDLベースの計画」方法が優れている場合があるようです。

一概に、「こちらの計画が全面的に正しい」という結果にならないところが味噌ですね。

計画の重要性

ここまで、色々な話が出てきたことで、「そもそも計画ってなに?」とごちゃごちゃとした気持ちになったかもしれません。わかりやすい例で考えてみましょう。
例えば、職場や学校の避難訓練を想像してみてください。大きな建物の全員が無事に避難完了するには、やみくもに避難するわけにはいきません。
必ず、何らかの方針に基づいて、計画的な動きを行う必要があるはずです。
そして最高の結果(この例で言えば全員の無傷)を達成するために、いくつか方針の種類を考えて、検証するのがよいはずです。

避難計画がシビアに考えられるべきなのと同様に、介護施設へのロボット配備では、コストや信頼性を不意にしないためにも、入念な計画が必要というわけです。

日常の出来事から考えてみる

冒頭で、「ロボットを目にする機会はどれくらいありますか?実際は、意外と、頻繁ではないことでしょう。」と書きました。

しかし、信号機や監視カメラはどうでしょう。「配備が上手く行われたロボットたち」は日常の中に溶け込んでいるものです。

それらは、社会をよくするために、必然的に配備されたものたちです。

今後、高齢者介護がますます重要になる中で、必要なロボット機器はどんどん備えられていくことと思います。

今回ご紹介したような研究をときどき思い出して、未来を想像してみてくださいね!