介護研修におすすめのeラーニング4選!メリット・デメリットも紹介 | AIケアラボ

介護研修におすすめのeラーニング4選!メリット・デメリットも紹介 | AIケアラボ

最終更新日 2023.08.17

この記事の要点

  1. 新型コロナウィルス感染症の影響でeラーニングを採用する企業が増加
  2. 2021年度介護報酬改定に伴いeラーニングの認知症介護基礎研修が義務化
  3. eラーニングシステムによる研修にはメリットもデメリットもある
  4. 介護職員だけでなく介護事業所運営にも役立つeラーニングシステムがある

介護職員の研修にeラーニングを導入する介護事業所が増えています。

今回はeラーニング介護研修について解説し、公的・民間のおすすめeラーニングシステムを4つご紹介します。

eラーニングとは

eラーニング(electronic learning)とは、パソコンやタブレット、スマートフォンを使ったインターネット経由の学習形態のことです。

ICT(情報通信技術)により生まれた新しい学びのかたちと言えます。

従来のビデオ学習と比べ、eラーニングシステムでは学習管理システム(LMS)が搭載されていることが多いため、受講者ひとりひとりの進捗や学習の成果を把握できる点が特徴です。

なおICTはeラーニング以外にも介護現場のさまざまなシーンで活用されています。詳しくは以下の記事をお読みください。

介護におけるICTとは何か?効果とメリット・デメリット

eラーニングで介護研修する事業所が増加

2020年から続く新型コロナウィルス感染症の流行により、介護事業所だけでなく企業でeラーニングの利用は急激に増加しています。

人材や雇用に関する総合的な調査・研究を行うパーソル総合研究所の調査によれば、新型コロナウィルス感染症の感染対策として研修をオンライン化した企業は全体の75%でした。

特にコンプライアンス研修ではeラーニングの割合が高かったとの調査結果が出ています。

介護業務では実地研修も必要になるため、すべてがeラーニングなどのオンライン研修とはなりませんが、研修の一部をeラーニングにすることは可能です。

eラーニング以外の研修方法については以下で説明しています。

介護事業所の教育担当者必見「新人介護士を教育する5つのポイント」とは

認知症介護基礎研修は原則eラーニングに

2021年度の介護報酬改定では、介護職員のうち、医療・福祉関係の資格がない方については認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることが義務付けられました。

また受講の義務化にともない、認知症介護基礎研修は原則eラーニングで実施することとされています。

受講は自治体が指定するeラーニングシステムにアクセスして行います。以下は東京都23区などの多くの自治体が指定しているeラーニングシステムです。

参考:認知症介護研究・研修仙台センター|認知症介護基礎研修eラーニングシステム

介護研修をeラーニングで行うメリット

介護研修を集合研修ではなくeラーニングで行う場合には、以下のようなメリットがあると考えられます。

時間・場所を選ばない

介護職員を集合研修に参加させると、その分のシフト作成に影響が生じます。

研修スケジュールや実施頻度によっては一度に何人もの職員が研修に出払ってしまうため、ただでさえ人手不足の介護事業所では人員の確保にも頭を抱えてしまうことになります。

eラーニングによる受講であれば時間・場所を選ばないため、余裕をもったシフト作成が可能になります。

また、介護職員側としても好きな時間に好きな場所で研修に参加できるため、わざわざ研修のために不要な時間と労力を割く必要がありません。

何度でも復習が可能

動画を視聴するタイプのeラーニングは、知識が定着しなかった箇所を繰り返し視聴して復習ができます。

一度きりの集合研修と比べ、徹底的に反復学習ができる点は大きなメリットです。

ただし研修期間の終了後はeラーニングシステムへの再ログインができないケースもありますので、すべてのeラーニングがいつまでも復習できるとは限りません。

講師の当たり外れがない

eラーニングシステムによる研修では、すべての人が同じクオリティの講義が受けられます。

実施場所や日程によって講師が異なる集合研修の場合、同じテキストを用いていても講師によって教え方が上手い・下手などの当たり外れが発生してしまいます。

同じ介護事業所内でも研修を受けたタイミングによって「この説明は受けた」「受けていない」など差が出る可能性があり、介護職員の理解度にもムラが生じる可能性が否定できません。

eラーニングであれば講義コンテンツができあがる前に充分な精査を受けていると考えられるため、研修の参加者全員が質の高い講義を受けられる点も大きなポイントです。

研修コストが削減できる

研修を実施する会議室や会場を借りると、会議費や机・椅子などの資材レンタル費用が発生します。また講師を招いたときには謝礼金や報酬も必要です。

外部が開催する集団研修に介護職員を参加させる場合でも、研修場所までの交通費や、研修日程によっては時間外手当など、研修費以外にもコストが発生します。

eラーニングによる研修は、必要なコストをほぼシステム利用料と通信費だけに抑えることが可能です。

介護報酬加算の要件を満たす

eラーニングに限らず、そもそも介護職員の教育を行うための研修実施は介護事業所の運営に必須要件と言えます。

介護報酬加算のひとつである介護職員等特定処遇改善加算を受給するためには、3つの要件「キャリアパス要件」「職場環境等要件」「見える化要件」をすべて満たす必要があります。

キャリアパス要件とは、介護職員のスキルアップを図るために介護事業所が研修などを実施しているかを確認する要件です。

つまり介護職員に対して適切な研修の機会を設けないと、介護報酬の加算ができず介護事業所の不利益につながります。

介護職員等特定処遇改善加算については以下の記事で詳しく解説しています。

【2021年度改定対応】介護職員等特定処遇改善加算の最新情報を解説

介護研修をeラーニングで行うデメリット

介護研修をeラーニングで行うデメリットについても確認しましょう。

理解度が把握しづらい

多くのeラーニングシステムでは研修後の理解度を測るために学習管理システム(LMS)が同時提供されていますが、中には動画を視聴するだけのeラーニングも存在します。

ただ単に動画を視聴するだけのeラーニング研修の場合、研修を受講した介護職員が本当に内容を理解したかどうかを把握できません。

振り返りテストの実施など、必要な場合には繰り返し視聴をうながすといったフォローアップが必要です。

質問ができない

目の前に講師がいる対面型の研修では、研修後にわからない点を講師に質問できますが、eラーニングシステムの場合には直接質問できない点がデメリットです。

研修実施後に受講者全体でグループワークを行い、職員同士の理解度を共有するなどの形で疑問点を解消する対応が必要になります。

介護研修eラーニングシステム4選

以下からは民間企業が有料・無料で提供しているeラーニングシステムを4つ紹介します。

学研介護サポート

学研介護サポートは、看護・介護の研修システムを提供する学研メディカルサポートの介護スタッフ向けeラーニングシステムです。

新人職員から管理者までの幅広い職員研修に活用できる教育コンテンツが用意されています。

契約中はすべてのコンテンツを何度でも繰り返し視聴でき、講義資料やワークシート、受講した人の理解度をはかるテスト問題などの豊富な資料もダウンロードおよび印刷が可能です。

料金は、施設契約の場合100IDで19,800円/月(税別)、法人契約の場合300IDで59,800円/月(税別)、集合研修で利用する場合は3IDで9,000円/月(税別)です。

IDの数が足りなければ、別料金で追加することが可能です。

参考:学研メディカルサポート|学研介護サポート

また学研メディカルサポートのトップページからは、参加費無料の講演への受講申し込みができます。オンライン講義がどのようなものかわからない方は無料講演への参加がおすすめです。

参考:学研メディカルサポート|トップページ

ジョブメドレーアカデミー

ジョブメドレーアカデミーは株式会社メドレーが運営するオンライン動画研修サービスです。

介護の現場で必要な基礎講座から応用まで充実した研修動画が3,500本以上そろっています。PC、スマホ、タブレットなどいろんな端末からいつでも、どこでも研修動画を見ることができます。

料金は、管理者ライセンス2名分、個人ライセンス20名分で108,000円/年(税別)です。

別料金で、ライセンスの追加や、事業所で保有するオリジナル動画をサービス内で視聴することができます。

また、1言語につき10,000円/月(税別)で、多言語(ベトナム語、ミャンマー語、英語、中国語、インドネシア語、ロシア語)の研修動画を視聴できるので、外国人職員の方も利用しやすいといえます。

参考:ジョブメドレーアカデミー

しるべ倶楽部

しるべ倶楽部は、医薬品卸売、調剤薬局などを行う東邦ホールディングスが手がける、介護業界向けのeラーニングサービスです。

介護現場で経験を積んだ社員が情報を集約し、無駄なく体系化しています。1コマ約3分なので、PCやスマホを利用して、電車の移動中や家事の合間などすきま時間に学べます。

ランキング表示、「バッジ」取得機能などゲーム性があり、学習意欲が続く工夫がされています。

料金は、法人契約の場合、初期導入費8,000円、管理システム利用料金1,000円/月、1人あたりのID使用料3,600円/6カ月、コンテンツ使用料3,600円/人がかかります。

参考:しるべ倶楽部

ケアスタイルズコンサルティング

介護事業所運営のコンサルティングを行うケアスタイルズコンサルティングでは、eラーニングの無料教材を提供しています。

有料のeラーニングシステムに比べてコンテンツ数は少なめですが、登録や利用申請などをせずに視聴が可能なため、研修コストをより削減したい介護事業所におすすめです。

初級、中級、上級とレベルに合わせた受講ができるほか、振り返りに活用できる確認テストも利用できます。

教育コンテンツは随時追加される予定で「こんな研修コンテンツが欲しい」のリクエストにも対応しています。

参考:ケアスタイルズコンサルティング|無料教材eラーニング

介護分野における生産性向上eラーニング

最後に厚生労働省提供のeラーニングツールをご紹介します。

厚生労働省では介護の質の向上を目的とし、デジタルツールを使った業務や課題の見える化で生産性をアップできる動画や分析ツールを公開しています。

厚生労働省公開のeラーニングツールはどちらかというと介護職員向けではなく介護事業所運営に役立つ内容が主ですが「課題分析シート」「業務時間見える化ツール」など、介護事業所の生産性向上に役立つ資料も無料取得が可能ですので、ぜひ活用してください。

参考:厚生労働省|介護分野における生産性向上eラーニング

まとめ

今回はeラーニングシステムを使った介護研修について解説しました。

IT技術の発達により、介護研修にも新たな形態が誕生しています。

積極的に新しい技術を採り入れ、より効率的な介護職員の教育を実践しましょう。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
フォローする