【分身ロボットOriHime】オリィ研究所 所長 吉藤 オリィ氏|インタビュー第8弾

【分身ロボットOriHime】オリィ研究所 所長 吉藤 オリィ氏|インタビュー第8弾

ケア業界のパイオニアに道を訊くインタビュー企画、第8弾です。

今回は、分身ロボットOriHimeを中心とした事業を展開するオリィ研究所の吉藤さんへお話を伺いました。

この記事の要点

  1. オリィ研究所は、コミュニケーションテクノロジーの研究開発と事業運営をしているスタートアップ企業
  2. 寝たきりでも居場所を作れる「分身ロボットOriHime」
  3. 「分身ロボットカフェDAWN ver.β」は、寝たきりの先(未来)を創る実験室
  4. 将来は自分の介護を自分でできる時代になる

株式会社オリィ研究所×所長 吉藤 オリィ氏のプロフィール

吉藤オリィさんの写真

プロフィール

吉藤 オリィ(よしふじ おりぃ)氏

株式会社オリィ研究所 共同創設者 代表取締役 所長。高校時代に電動車椅子の新機構の発明に関わり、高専で人工知能を学んだ後、早稲田大学創造理工学部へ進学。自身の不登校の体験をもとに、対孤独用分身コミュニケーションロボット「OriHime」を開発。
開発したロボットを多くの人に使ってもらうべく、株式会社オリィ研究所を設立。自身の体験から「ベッドの上にいながら、会いたい人と会い、社会に参加できる未来の実現」を理念に、開発を進めている。ロボットコミュニケーター。趣味は折り紙。2012年に「人間力大賞」を受賞。2016年、Forbes Asia 30 Under 30 Industry, Manufacturing & Energy部門 選出。

会社概要

オリィ研究所のロゴ写真

・会社名:株式会社オリィ研究所
・設立:2012年9月
・事業内容: コミュニケーションテクノロジーの研究開発および製造販売(分身ロボットOriHime、意思伝達装置OriHime eye+Switch、就労支援サービスAVATAR GUILD、分身ロボットカフェDAWN ver.β、分身ロボットOriHime-D(全長120㎝)、OriHime Porter)

「オリィ研究所」とは?

オリィ研究所は、分身ロボットOriHimeを中心としたコミュニケーションテクノロジーの研究開発と事業運営をしているスタートアップ企業です。

「OriHime」とは?

人が操作することで動くロボットです(AIの搭載はなし)。スマートフォンやタブレットなどにインストールした専用アプリで操作するだけで、OriHimeを通して会話をしながら、OriHimeの顔や腕を動かし、コミュニケーションをとることができます。

「移動の制約」を克服し「その場にいるようなコミュニケーション」を実現でき、リモートワークや遠隔授業、遠隔の受付業務への活用が可能なロボットです。

分身ロボットOriHimeの写真
分身ロボットOriHime

「分身ロボットカフェDAWN ver.β」とは?

「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」とは株式会社オリィ研究所が運営する、2021年6月に東京・日本橋にオープンしたカフェです。

当カフェは外出困難者である従業員が分身ロボット「OriHime」&「OriHime-D」を遠隔操作しサービスを提供している新しいカフェで、テクノロジーによって、人々の新しい社会参加の形の実現を目指しています。

2021年度のグッドデザイン大賞を受賞しています。

分身ロボットカフェDAWN ver.βの受付写真
分身ロボットカフェDAWN ver.β

吉藤さんへのインタビュー

株式会社オリィ研究所 所長の吉藤さんへのインタビューをお楽しみください。

自身の小学校時代の経験から、「孤独の解消」がミッションに

——「孤独の解消」を意識するようになった原点は、小学校時代。

私は昔から体が弱く、あまり無理はできない体質だったため小学校は休みがちでした。今は結構無理しがちなのですが…(笑)。

小学校のころに経験した検査入院がきっかけで不登校になってしまったのです。

学校にも行かないのに習い事をすることもおかしいと思い、習い事もやめてしまいました。その為ずっと家にいるのですが、(皆が学校に行っているのに)何で家にいるのだという状態に陥っていきました。

家族に大変な思いをさせていることに対しての申し訳なさが強く、自分がいない方がいいのではないかとまで考えてしまっていた時に、「孤独感」というものを意識するようになりました。

吉藤オリィさんの写真

——17歳以降、「孤独の解消」にベストな形を考え、研究を開始。

幸い、中学高校と徐々に学校生活を送れるようになり、「孤独の解消」をテーマに研究を始めました。

小学校のころによく思っていた「健康な体があれば…」という感覚を思い出し、やりたいことを他の人と同じようにできる状態が「健常な身体」だと考え、分身ロボットの開発を考えるようになりました。

(分身ロボットを開発することで)たとえ移動制限があったとしても、「行きたい場所に居る 」ということと「そこに自分がいると認識してもらう」ことはできるのではないかと思ったのです。

——「居場所」というテーマで生まれたのが、「分身ロボットOriHime」。

「居場所」は、自分自身がその場にいるという実感を持つことと周囲の方が自分の存在を認識している状態のことをいうと考えています。

私は自分の経験から、病気などの理由で学校にいけなくなっても自分の居場所をキープしておけるようにと思い、「分身ロボットOriHime」を製作しました。

しかし、特別支援学校を卒業する方から「学校を卒業後はずっと施設にいるので、居場所がないと感じる。」という話を聞いて、元々居場所がなければ意味がないと気づいたのです。

居場所をキープするだけでなく、誰かに必要とされて自分の力で人を喜ばせられる状態にしなければいけないと思い、居場所ってどうやって手に入るのだろう?と考え始めました。

分身ロボットOriHimeの写真

「分身ロボットOriHime」を共に発展させた、番田さんとの出会い

——秘書 兼 親友 番田雄太さんとの出会い。

そんな時、2013年に出会って意気投合したのが親友であり秘書の番田雄太です。出会って半年後の2014年には彼に秘書になってもらいました。

はじめは、講演に同行してもらいOriHimeをデモンストレーションで動かしてもらうだけでしたが、自分で講演してみないかと提案をしました。

「20年寝たきりの俺の話なんて誰が聞きたいんだ」と言っていたものの、実際に番田が話したらみんなが拍手をしてくれました。

番田は周りから肯定された気がして、長文のスピーチをするようになりました。

その後、オリィ研究所の契約社員になり、さらには特別支援学校からオファーをもらってアドバイザーという肩書をもって仕事をするまでになったのです。

吉藤オリィさんとOriHime-Dの写真

——番田さんとの会話がきっかけで生まれた自走可能な「OriHime-D」

番田と取材を受けていた際に、番田にどんな仕事をしてもらいたいか?と聞かれたとき、「秘書なんだから、自分でお客様を迎えてお通ししてほしい。私が疲れた時なんかにコーヒーを入れて持ってきてほしい」と言ってみたのです。

番田も「是非やりたいから、OriHimeに体を作ってくれよ」といわれ、これが大きいサイズの分身ロボットOriHime-D製作きっかけになりました。

2017年、OriHime-Dの手作りのプロトタイプが完成しました。

実験中に、一番使用してほしかった番田が亡くなってしまい、今後どうしていこうかと非常に悩みましたが、彼が生前に「こんな体だからこそ生きた証を残したい」と言っていたことを思い出し、やり遂げなければいけないという思いになりました。

▶▶ただのカフェではなく、「寝たきりの先を研究・実験する場所」