科学的介護推進体制加算に必要な算定要件を介護サービス・単位ごとに解説

科学的介護推進体制加算に必要な算定要件を介護サービス・単位ごとに解説

最終更新日 2022.11.22

この記事の要点

  1. 科学的介護推進体制加算(通称LIFE加算)とは2021年から始まった制度
  2. 科学的介護推進体制加算の算定要件は提供する介護サービスごとに異なる
  3. LIFEに提出するデータにより加算単位が変更する
  4. LIFEの活用はこれからの日本の介護を変える可能性がある

介護事業所等が科学的介護推進体制加算を受けるためには、それぞれの介護サービスに応じて定められた算定要件を満たす必要があります。

今回は科学的介護推進体制加算の取得に必要な算定要件について解説します。

確実に加算を受けるためにも、この機会にしっかりと確認しておきましょう。

科学的介護推進体制加算とは

科学的介護推進体制加算とは、2021年より始まった介護報酬の加算制度です。

制度の活用に必要となる科学的介護情報システム「LIFE」の名称から、通称「LIFE加算」とも呼ばれています。

科学的介護については以下の記事でも詳しく解説しています。
「科学的介護」とは何か。LIFEにどう対応するか(解説動画もあり)

2021年7月~8月時点で科学的介護推進体制加算を取得している介護事業所等の割合は、対象事業所のうちおよそ65%(算定予定含む)です。

介護老人保健施設では84.4%、次いでデイケアでは76.4の取得率となるなど、多くの介護事業所等が科学的介護推進体制加算を取得しています。

科学的介護推進体制加算の詳しい成り立ちや科学的介護の意味については、以下の記事で詳しく解説しています。本記事と合わせて参考にしてください。
【最新】科学的介護推進体制加算をわかりやすく解説 LIFE活用のメリットとは?

科学的介護推進体制加算はLIFE加入が必須

介護事業所等が科学的介護推進体制加算を得るためには、科学的介護情報システム(LIFE)への加入が必須です。

LIFEとは2021年4月から厚生労働省主体で運用が開始された、介護にまつわるさまざまな情報を1箇所に集めたデータベースです。

また上記で説明した科学的介護推進体制加算の要件にも記載されているとおり、LIFEへはただ単に加入するだけでは十分ではありません。

科学的介護推進体制加算を取得する介護事業所は、LIFEに加入し、事業所の介護サービス情報を提供しつつ、LIFEよりフィードバックされる介護データを元にケアの見直しを行っていかなければいけません。 

LIFEに関する詳しい説明や利用方法については以下の記事で説明していますので、本記事と合わせて参考にしてください。
LIFE(科学的介護情報システム)とは?申込方法・利用方法を詳しく解説

科学的介護推進体制加算の算定要件

科学的介護推進体制加算の算定要件は、各介護事業所が提供している介護サービスや、LIFEに提供しているデータの種類によって異なります。

また算定要件が異なると同時に、加算される介護報酬の単位も異なります。

科学的介護推進体制加算は利用者ごとに加算されますので、ひとつの介護事業所が利用者ごとに異なる方法でLIFEにデータを提出していた場合には、たとえ同じ介護事業所であっても違う単位で加算されます。

施設・通所・居住・多機能サービスの算定要件

デイサービスやデイケア、介護付き有料老人ホームなどに代表される施設系・通所系・居住系・多機能系の介護サービスを提供する介護事業所等の算定要件は以下のとおりです。

なお、加算単位は一律40単位となります。

  1. 利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の利用者の心身の状況等に係る基本的な情報を、LIFEを用いて厚生労働省に提出していること
  2. 必要に応じて通所介護計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、上記の情報、その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること

介護老人福祉施設の算定要件

特別養護老人ホームのような介護老人福祉施設や地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護※の科学的介護推進体制加算の算定要件は、LIFEにどのようなデータを提供しているかによって加算単位がⅠ(40単位)とⅡ(50単位)に分かれます。

※地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について詳しくは以下の記事も参考にしてください。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)とは|介護ワーカー

加算単位Ⅰ(40単位)

加算が40単位のときの算定要件は、上記でご紹介した施設・通所・居住・多機能サービスの算定要件と同一です。

加算単位Ⅱ(50単位)

加算が50単位のときには、加算単位Ⅰで課せられている算定要件に加え、以下の要件も追加されます。

  • 利用者ごとの疾病の状況等の情報を提出していること

介護老人保健施設・介護医療院の算定要件

老健と略される介護老人保健施設と、介護療養型医療施設の廃止にともない2018年に新設された介護医療院の算定要件は、特養の算定要件と同様に加算単位がⅠ(40単位)とⅡ(50単位)に分かれます。

ただし加算単位Ⅰのときには特養と同じく40単位が加算されますが、Ⅱのときには50単位ではなく60単位が加算されます。

加算単位Ⅰ(40単位)

加算が40単位のときの算定要件は、施設・通所・居住・多機能サービスおよび老健・介護医療院の算定要件と同一です。

加算単位Ⅱ(60単位)

加算が60単位のときには、加算単位Ⅰで課せられている算定要件に加え、以下の要件も追加されます。

  • 利用者ごとの疾病、服薬の状況等の情報を提出していること

まとめ

今回は科学的介護推進体制加算の算定要件について解説しました。

科学的介護推進体制加算を得るためにはLIFEへの情報提供などが必要であり、その作業を負担に感じてしまう介護事業所も多いでしょう。

しかし、これからの日本の介護を変えるためには、介護業界全体のデジタル推進やLIFEの活用などの新たな取り組みがどうしても必要です。

科学的介護推進体制加算をうまく利用して作業人員を確保し、皆で協力し合って介護の未来に貢献していきましょう。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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