認知症を調べるスクリーニングテストと各種検査を解説 セルフテストも紹介

認知症を調べるスクリーニングテストと各種検査を解説 セルフテストも紹介

この記事の要点

  1. 認知症確定にはスクリーニングテストや各種検査が必要
  2. 代表的なスクリーニングテストはHDS-RやMMSE
  3. 簡易的なセルフテストも可能(2種類のセルフテストを紹介)
  4. 認知症が疑われるときは早めにテストや検査を受けよう

高齢になると、ほとんどの方の認知機能は多かれ少なかれ低下する傾向が見受けられます。

しかし、高齢の方がすべて認知症になるわけではありません。

認知機能の低下が加齢による単なる物忘れか、それとも認知症なのかを確認するためには、きちんとした検査とスクリーニングテストを受ける必要があります。

今回は認知症診断の際に用いられるスクリーニングテストや、スクリーニングテスト以外の認知症検査について解説します。

認知症の代表的なスクリーニングテスト2種

羊がチェックテストしてる様子

2022年現在、日本において認知症診断に多く用いられているスクリーニングテストは以下の2種類です。

  • 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
  • ミニメンタルステート検査(MMSE)
《スクリーニングテストとは》共通の検査によって特定の疾病を有する確率が高い人を選別する方法のこと

それぞれのスクリーニングテストについて詳しく見ていきましょう。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

長谷川式簡易知能評価スケールは日本の認知症医療の第一人者として活躍した精神科医の長谷川和夫氏が開発した認知症スクリーニングテストです。

なお開発者の長谷川和夫氏は、かつて日本で使われていた「痴呆」の言葉を「認知症」に変えることに貢献した人物としても有名です。

もともと長谷川式簡易知能評価スケールは1974 年に作成されましたが、その後質問項目と採点基準の見直しにより1991 年に改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)と改訂されています。

日本老年医学会|改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

改訂長谷川式簡易知能評価スケールは9つの質問をし、主に記憶力を調べます。テストに要する時間は6~10分です。

30点満点で合計点数が20点以下だった場合には認知症の可能性が高いとされています。

ミニメンタルステート検査(MMSE)

ミニメンタルステート検査は、別名「精神状態短時間検査」とも呼ばれているスクリーニングテストです。

世界的に認知症診断の際に最も活用されているスクリーニングテストで、国内でも多くの医師が活用しています。

Mini-Mental State Examination (MMSE)検査シート

上記の改訂長谷川式簡易知能評価スケールはすべて口頭で行うテストですが、ミニメンタルステート検査は図形を描いてもらったり、紙を折ったりするなどの単純作業も併用してテストを行います。テストに要する時間は10~15分です。

30点満点で合計点数21点以下の場合には認知症の可能性が高いとされています。

その他のスクリーニングテスト

認知症のスクリーニングテストには上記の2つ以外にもいろいろな種類があります。以下はその一例です。

テスト名概要所要時間
簡易認知機能スクリーニングテスト(Mini-Cog)3つの単語の記憶力(即時再生・遅延再生)と時計描画による認識能力を評価する認知機能テスト。所要時間が短いがミニメンタルステート検査とほぼ同様の妥当性があるとされる。2分
地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート(DASC-21)高齢者本人および家族・介護者への質問により認知機能障害や生活機能障害に関連する行動の変化を評価する尺度。介護職員やコメディカルでも実施できるが事前に研修を受ける必要がある。5~10分
MoCA-Jカナダで開発された面接式の認知機能検査。日本語版はMoCA-J。改訂長谷川式簡易知能評価スケールやミニメンタルステート検査では判定が困難な軽度の認知障害が検出できるとされている。10分
ABC認知症スケール(ABC-DS)神戸医療産業都市推進機構が開発したアルツハイマー型認知症患者の重症度評価テスト。認知症の専門医以外の医師または医師以外の医療従事者でも評価が可能とされている。10分

認知症診断に必要な検査

認知症の問診している医者

スクリーニングテストにより対象者の認知機能は調べられますが、実際に認知症の確定をするためにはスクリーニングテストだけでは不十分です。

医師が認知症と診断する際には、以下4種類の検査を行います。

検査1:問診

一般的な他の診療と同様に、まずは医師が直接患者と話す問診が行われます。

問診では患者本人から気になる症状や病歴などを尋ねながら、患者の受け答えの様子により認知能力や精神状態などを確認していきます。

また患者だけではなく、患者の家族からも普段の様子を聞き、正確な症状を把握していきます。

検査2:身体検査

身体検査では認知症の原因疾患があるか、認知機能の低下の理由が他の疾患ではないかを確認します。主に行われる身体検査は以下のとおりです。

  • 尿検査
  • 血液検査
  • 内分泌検査
  • 心電図検査
  • 胸部X線撮影

検査3:脳画像検査

脳画像検査は、脳の画像を撮影して脳の萎縮などの状況や脳血流の低下具合を調べる検査です。以下のような検査方法があります。

〇脳の萎縮を調べる検査

CTX線を使ったコンピューター断層撮影
MRI電磁気による画像検査

〇脳の血流を調べる検査

SPECT微量の放射線物質を含む検査薬を投与し、脳血流が低下している箇所や低下具合を調べる検査
PET放射性薬剤を体内に投与し、脳の血流や代謝の状態を特殊なカメラで画像化する検査

検査4:神経心理学的検査(スクリーニングテスト)

上記で紹介したスクリーニングテストのいずれか、あるいは複数のスクリーニングテストを併用して実施し、さまざまな角度から認知機能や記憶力、実行能力を評価します。

自分でできるセルフテストを紹介

高齢の女性

自分や家族に認知症の疑いが生じたときでも、すぐに病院に行ける方は少数です。

多くの方は気後れしてしまい「まだ大丈夫」「単にうっかりしただけかも」と、認知症の確定を先延ばししてしまいます。

しかし認知症は進行性のため、診断が遅れれば遅れるだけ認知機能は低下してしまいます。

以下では認知症のセルフテストを2つ紹介します。セルフテストを行ってみて、もし認知症の可能性があると判定された際には早急に専門医へ相談しましょう。

認知症予防協会提供のセルフテスト

一般社団法人認知症予防協会が提供している「認知症自己診断テスト」は、インターネット上の10の質問から認知症の可能性を判定するスクリーニングテストです。

イラストを見て「箱の数を答えてください」「3時を示す時計はどれか番号で答えて下さい」などの質問に回答し、ゲーム感覚で記憶力や計算能力などをはかることができます。

認知症予防協会|認知症自己診断テスト

東京都保健福祉局提供のセルフテスト

東京都保健福祉局が運営する「とうきょう認知症ナビ」では、認知機能の低下度合いを確認するための「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」を提供しています。

認知症予防協会のセルフテストは認知能力をはかるセルフテストですが、この「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」は主に日常生活の自立度合いをはかるテストです。

掃除や買物、外出ができるかなども質問に含まれるため、身体機能が低下している方は認知症でなくても点数が高くなる可能性があります。

認知症予防協会のセルフテストと併用し、複合的に判断されることをおすすめします。

とうきょう認知症ナビ|自分でできる認知症の気づきチェックリスト

AIによる認知症テスト結果の分析が進行中

認知症を診断するためのテストはいろいろありますが、いずれのテストも人間が判定をくだすため、必ずしも正確な結果が出るとは限りません。

そのため、AIなどのIT技術を認知症の早期発見に役立てようとする研究が各地で進められています。

これまでにもAIケアラボでは、イラストテストをAIが分析して認知症診断をする研究などを紹介してきました。

認知症のリスクはAIの技術でわかる イラストテストの回答を分析し、約88%の精度

上記の研究以外にも、AIケアラボでは認知症へのIT技術活用に関するさまざまな研究を紹介しています。「#認知症」のハッシュタグが付いた記事からご確認ください。

認知症関連記事|AIケアラボ

まとめ

今回は認知症のテストについて解説しました。

認知症の正しい検査は、認知症の進行を遅らせるための治療の第一歩です。

自分の家族や身近な方に認知症の疑いが生じたときは、できるだけ早くスクリーニングテストやその他の検査を実施するよう誘導し、少しでも進行を遅らせる努力をしましょう。