【Carebee】Hubbit社代表 臼井 貴紀氏|インタビュー第7弾

【Carebee】Hubbit社代表 臼井 貴紀氏|インタビュー第7弾

最終更新日 2022.11.18

ケア業界のパイオニアに道を訊くインタビュー企画、第7弾です。

今回は、ITサービスを使えない高齢者でも、簡単にITを使って家族との交流や買い物を楽しめるサポートをする「Carebee(ケアビー)」とその運営会社のHubbit株式会社 臼井さんへお話を伺いました。

この記事の要点

  1. 「Carebee」はコンシェルジュ付きのタブレット端末
  2. 高齢者のITを使いたいという思いを無理なく叶える「Carebee」
  3. 介護者に負担がなく高齢者がITを使えるサービスでもある
  4. 介護職の方も是非ITスキルを学び、介護に活かしてほしい

Hubbit株式会社×代表 臼井 貴紀氏のプロフィール

プロフィール

臼井 貴紀(うすい きき)氏

91年⽯川県⽣まれ。早稲⽥⼤学卒業後、ヤフー株式会社に新卒⼊社。営業、マーケティング、新規事業開発を担当。退職後も、新規事業開発に係り、Hubbit株式会社を設⽴。

会社概要

・会社名(役名):Hubbit株式会社(代表)
・設立:2019年3月
・事業内容: シニア向けタブレットの開発・運営/⾃社保有するデータの統計結果、AIの提供/データの収集⼿段と分析基盤および定期レポートの提供 等

「Carebee(ケアビー)」とは?

Carebeeは、タブレット端末にある「話しかける」というボタンを押すだけでコンシェルジュと繋がり、要望を伝えるだけでコンシェルジュが遠隔で操作・サポートしてくれるサービスです。

家族とのテレビ通話や見たい映画・写真の投影、オンラインショッピングの注文など多様な要望に応えてくれます。

Carebee製品ページ:https://carebee.io/ 

臼井さんへインタビュー

Hubbit株式会社代表の臼井さんへのインタビューをお楽しみください。

ITを使えない人向けのITサービスが「Carebee」

Carebeeのタブレット端末と画面の写真

——コンシェルジュ付きのタブレット端末とのことですが、実際はどのように使用し、どんなことができるのでしょうか?

一言で表すと、ITを使えない人向けのITサービスです。この言葉自体が矛盾していますね(笑)。

タブレットの操作に関して、ユーザーのITレベルに合わせて足りない部分だけを弊社のCarebeeサポーターが遠隔操作で巻き取って行うことが特徴です。

(タブレット画面の)「話しかける」というボタンを押すと、専門のスタッフとテレビ電話がつながります。

例えば、離れて暮らす家族と連絡を取りたい時にはLINEを立ち上げてビデオ通話のサポートをしたり、メッセージの代行をしたり、買いたいものを伝えればオンラインショッピングも遠隔で代行してくれます。

タブレットには最大4つのボタン(アプリケーション)を追加でき、利用者に必要なものだけを設置することが可能です。

また、操作は1ボタンを押すだけなのでITに不慣れなどんな高齢者の方でもご利用いただけて、今までできなかったことが可能になります。

介護者(ご家族や介護職の方)も、初期設定が不要なので大きな負担なく取り入れることが可能になっています。

介護施設に実際に住み込みした経験から生まれた「Carebee」

——どのようにして現在のCarebeeが生まれたのでしょうか?

介護施設へ3ヵ月住み込みでサービスのベストな形を模索した経験が活きています。

介護施設で実際の生活をさせていただいて思ったのは、時にコロナ禍でイベントも少なかったので、特段やることがなく、つまらないと言うことです。施設にいても体操をするか、施設内の小さな図書館にある本を読むか、TVを見るかしかないんです。すごく行動の幅が狭まるな、と思いました。

日常でITが使えるようになれば生活の幅も広がるのではと思い、どんな人でも使えるUIUXってどういうのだろう?と思い、たくさんヒアリングをしたのですが、結論、どんな人でも使えるUIUX自体が難し過ぎまして、今のサービスに至っています(笑)。「使ってもらおう」と思うのではなく、「私たちが操作を巻き取っちゃえ!」と。

※UI:ユーザーインターフェース、UX:ユーザーエクスペリエンス の略称。

ITの可能性について、介護施設の方々ももちろん感じてくださっているのですが、中途半端にIT機器を取り入れてしまうと、入居者さんからたくさんのITに関する質問がきてしまい負担になってしまう現状があって、その辺りをどうにか巻き取れないかな、と思った背景もあります。

起業っていうとハイテクなものや最先端をイメージしますが、3ヶ月の住み込みを経て、この分野では圧倒的に寄り添うことがとても重要だと感じました。

実際にCarebeeを通してコンシェルジュと会話している様子

——Carebeeを使用した方からは、どんな反応でしたか?

ITが使えない方にとっては、東京にいる知らない私たちが画面からにょきっと出てくること、ご家族とテレビ電話ができるだけ、孫の写真が見ることができるだけでも喜んでもらえます。それだけでもうしどろもどろです(笑)

また、ITが少し使える高齢者の方々にはインターネットショッピングを楽しんでもらったり、中には一緒にメルカリ出品をさせていただいたりしています。

特に嬉しかったのは、利用者のお孫さんの結婚式にオンラインで参加するためのお手伝いをした時のことです。

コロナ禍ということもあって直接の参加が難しかったのですが、当日Carebeeを通してオンラインで結婚式に参加することができました。

結婚式やお誕生日会など、コロナ禍で難しいことがオンラインでまたできるようになり、そのお手伝いができることはとても嬉しいです。

Carebeeを導入することで「今まできなかったこと」を「できる」に変えて、将来の可能性を一気に広げられています。皆さんの初めての一歩を創れているのはサービス運営をしている身としてはとても感慨深いですね。

また、介護者(家族・介護職)にとっても、難しい説明やサポートの必要がないため、負担なく高齢者のQOL向上に活用できます。

スマホやタブレットを渡して好きなことをして欲しいけど、説明してあげる時間がないとあきらめているご家族や介護職の方も多いので、そこをCarebee がお手伝いできればと思っています。

実際にCarebeeを通してコンシェルジュと会話している様子

▶▶NEXT:祖父の看取りがきっかけで起業を決意。ITで介護業界の非効率をなくして介護職の負担を減らしたい。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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