ケアプラン作成にAIを活用すべき理由 AIケアプランシステムも紹介

ケアプラン作成にAIを活用すべき理由 AIケアプランシステムも紹介

最終更新日 2023.03.08

この記事の要点

  1. ケアプラン作りに苦労しているケアマネジャーが多い
  2. AIを用いれば業務負担軽減などのメリットが生じる
  3. AIはケアプラン作成以外にも役立てられる

ケアマネジャー(介護支援専門員)の重要な仕事のひとつが、要介護者のケアプランを作成する業務です。

しかしケアプランは要介護者の身体状況や家庭環境を総合的に判断して作らなければいけないので、ケアプランの立案に苦労しているケアマネジャーも多いでしょう。

AI(人工知能)を活用すれば、これまでよりもっと簡単にケアプランが作成できるようになる可能性があります。

今回はAIを用いてケアプランを作る方法について解説します。

ケアプランとは

ケアプランとは要介護者が公共の介護サービスを利用するために必要な、支援方針や自立目標、課題などをまとめた介護計画書です。正式名称は「介護サービス計画書」と言います。

簡単に言うと、介護サービスの目標と内容、そして料金をまとめた計画書のことです。

要介護または要支援の認定を受けた人たちに向けて、ケアマネージャーがケアプランを作成し、それをもとにして各種の介護サービスが行われます。

また、ケアプランに書かれているサービスには介護保険が適用されます。

AIケアプランでどうなる?

AIケアプランは、ケアマネージャーが聞き取った利用者のアセスメントをAIが学習し、分析することが可能です。

分析されたデータをもとにAIから提案されるプランは、利用者の課題を改善できる可能性が高いサービスプランです。

また、パターン化されたケアプランの中から、必要な情報を簡単に集めることができます。

AIケアプランは、膨大な介護の成功事例をAIの力で瞬時にまとめて、ケアマネージャーがケアプラン作成のときに大いに役立ちます。

ケアマネジャーが抱えるケアプラン作成の課題

ケアプランはケアマネジャー(介護支援専門員)が作成します。要介護者や介護者家族たちがセルフケアプランを作成もできますが、多くのケアプランはケアマネジャーが作成しているのが現状です。

なお、ケアプランを必要とする方の要介護度が「要介護」ではなく「要支援」のときには、ケアマネジャーではなく地域包括支援センターの職員がケアプランを作成します。

ケアマネジャーがケアプランを作成する業務においては、業務負担の大きさによる長時間・休日労働や、ケアマネによってケアプランの質に差が出る等の課題が発生しています。

最近ではAI(人工知能)を搭載したケアプラン作成支援システムが次々と登場し、ケアマネジャーや介護事業所がそのシステムを使ってケアプランを作成する動きが広がりつつあります。

AIを用いたケアプラン作成支援システムについては後ほど紹介しますが、まずはケアプラン作成にAIを活用するとどのような利点があるかを確認していきましょう。

AIを使ったケアプラン作成のメリット

2020年にNTTデータ経営研究所が令和元年度老人保健健康増進等事業により取りまとめた「AI を活用したケアプラン作成支援の実用化に向けた調査研究」によると、ケアプラン作成にAIを用いたケアマネジャーは以下4つの内容に関して一定の効果が得られたと報告されています。

参考:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所|報告書

1.業務時間の短縮効果

ケーススタディ方式ではあるが、ケアプランアシスタントを活用してケアプラン第 2 表原案を作成する(文章案が提案される)ことで、第 2 表原案作成時間が約35~40%短縮された(あくまで原案作成の時間短縮である点は留意)。

2.業務負担の軽減効果

AIによる文章例の提案や医療知識・事例等の提示により、約7 割のケアマネジャーが情報収集および課題・目標検討の負担が軽減されたと感じています。

3.新たな視点・観点の獲得

AIが持つ膨大なデータをアセスメントに利用することで、自分以外の経験をケアプランに反省させることができ、約6割のケアマネジャーがケアプランに新たな視点・観点を取り入れることができたと感じています。

4.ケアプランの説明の容易さ

利用者や利用者家族へのケアプラン説明時に、AIが提示する医療知識や事例集などを活用したところ、7~8割近くのケアマネジャーが根拠のあるスムーズな説明が行えたと感じています。

AI搭載のケアプラン作成支援システム2選

今回はAIが搭載されたケアマネジャーおよび介護事業所向けの介護支援システムの中から、ケアプラン作成支援機能を持つ製品を2つ紹介します。

ウェルモ ミルモぷらん

ミルモぷらんは介護サービス利用者のアセスメント情報を元に、AIエンジンが最適なケアプランを立案するケアプラン作成支援サービスです。

アセスメント情報を入れるだけで利用者に関連のある疾患情報が表示されるなど、介護分野以外の情報も抜け落ちなくケアプランに反映できます。

同社が運営する地域ケア情報データベース「ミルモネット」とも連携しているので、利用者の状況にあった地域のケア情報がすぐに手に入る点も利便性が高まります。

提供会社:株式会社ウェルモ|ミルモぷらん

NDソフトウェア ほのぼのNEXT

NDソフトウェア株式会社の介護支援システム「ほのぼのNEXT」にもSOIN(そわん)が新しく標準搭載されるようになりました。

ほのぼのNEXTで作成したケアプランを実行して1年後に、利用者のADL・IADL、認知症状等がどう変化するかが予測できます。

無料デモンストレーションを活用することで、導入前に使用しやすさなどを検討することができるので安心です。 

提供会社:NDソフトウェア株式会社|ほのぼのNEXT

ほのぼのNEXTのAIケアプランとして導入されているのが、「SOIN(そわん)」というシステムです。 

SOIN(そわん)は簡単な基本情報を入力するだけで、蓄積された膨大な介護データをもとにAIが状態改善に効果的なケアプランを提案してくれるケアマネジメント支援サービスです。

利用者の現況と似た事例を参考に、AIが今後の状態も予測します。さらに状態予測はグラフで視覚的に示されるため、グラフを印刷した紙をケアプラン説明時に用いて、利用者および利用者家族に根拠のある説明が行えます。

提供会社:株式会社CDI|SOIN(そわん)

AI活用は介護業界のDX推進につながる

慢性的な人手不足と、この先に想定される高齢者の増加を受け、これからの介護業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が必須だと言われています。

ケアプランやその他の介護業務でAIが活用されれば、それは介護業界のDX推進につながります。

現在介護業界が抱えているさまざまな課題を解決するために、ケアプランを作成するケアマネジャーだけでなく、各介護事業所もAI活用は積極的に利用を考えていくべきだと考えられます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か、AIで介護業界が抱えるどのような課題が解決できるかは、以下の記事をご覧ください。

介護従事者303名の声から判明した介護DXの課題と、解決に向けてできること

さまざまな介護業務に活用可能なAI

介護業務でAIが活用できるのは、ケアプラン作成業務だけではありません。

利用者の安全を守る見守りロボットや、施設の受付業務を代行するヒューマノイドロボットなど、介護業務に役立つAIの可能性は計り知れません。

以下の記事では2021年に開催された介護業界BtoB商談展に出展した、AI搭載製品の提供企業を10社紹介しています。

それぞれのAI搭載製品についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

「介護+AI」で何ができるか?介護施設向けAI商品提供企業10社を紹介

まとめ

今回はケアマネジャーがケアプランを作成する際に役立てられるAIケアプラン作成支援システムを紹介しました。

日本の高齢化が進み、介護サービスを利用しようとする高齢者が年々増えている昨今では、ケアマネジャーはますます多忙になっています。

AIの力を借りて業務負担を減らしながら、高品質なケアプランを自信をもって提示できるようにしましょう。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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