介護事業所の教育担当者必見「新人介護士を教育する5つのポイント」とは

介護事業所の教育担当者必見「新人介護士を教育する5つのポイント」とは

この記事の要点

  1. 新人介護士の早期離職を防ぐためには最初の教育が肝心
  2. 新人の教育方法は4つ(OJT・事業所内研修・外部研修・オンライン研修)
  3. 新人の教育内容は「介護士としての心がまえ」からスタート

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に到達する、いわゆる「2025年問題」が間近にせまっています。

どの介護事業所においても人材不足が懸念されており、今から積極的に求人して人材を確保しておこうと考えている介護事業所も多いでしょう。

しかしせっかく新人介護士が入社しても、うまく教育できなければ未来の戦力には育ちませんし、早期離職にもつながります。

介護の質を上げるためにも、ファーストステップの新人教育が大切です。

今回は新人介護士の教育について解説します。

新人介護士の教育方法

新人介護士の教育は、以下4つの方法があります。

  1. OJT
  2. 事業所内研修
  3. 外部研修
  4. オンライン研修

どれか一種類の教育方法だけに限定せず、複数の教育方法を組み合わせても問題ありません。

各介護事業所の状況にあわせ、もっとも効率的な教育方法を採用しましょう。

1.OJT

OJTとは「On-the-Job Training」の略称で、先輩や教育担当に教えてもらいながら実際に働き、業務知識を実践的に身につける方法です。

「習うより慣れよ」の考え方どおり、リアルな現場で実践的なスキルを学ぶことができるため、効率的な教育方法と言えます。

多くの介護事業所ではOJTをメインの教育方法として採用しています。

2.事業所内研修

介護の経験がまったくない新人介護士にとっては、はじめての現場は非常に緊張するものです。

介護施設独特の雰囲気に圧倒されてしまう新人介護士も少なくありません。

実際の現場に出る前に、座学による研修があれば新人介護士の不安が和らぎます。

また新卒採用など、介護スキルだけでなくビジネスマナー等が不足している場合には、あらかじめ社会人としての教育から始める必要があります。

3.外部研修

最初の研修は外部に委託し、新人がある程度知識や技術を会得したあとでOJTに移行する方法も効果的な教育方法です。

介護の資格として最初のステップである介護職員初任者研修を持っていない人を採用したときには、外部で開催される介護職員初任者研修の受講を支援する介護事業所も存在します。

4.オンライン研修

2020年から続いている新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、さまざまな業種や業界でオンライン研修が一般的になりつつあります。

動画をオンラインで見る形式の研修であれば感染症予防に役立つだけでなく、新人介護士が分からない所を繰り返し確認することができる、また教育担当の労力が減らせるメリットがあります。

参考:ClipLine株式会社|介護・福祉業界向け教育マネジメントクラウドClipLine

新人介護士の教育内容

介護が未経験の新人介護士には、何もかもがわからないことだらけです。

「これくらいわかるだろう」と思わず、教育担当はひとつひとつの業務を丁寧に教えていく必要があります。

まずは以下にあげる項目を説明し、介護業務の全体像を見渡せるようにしてあげましょう。

  • 介護士としての心がまえ 
  • 接遇マナー 
  • 介護保険制度の基礎知識 
  • 1日の業務の流れ 
  • 介護技術 
  • 介護記録の付けかた 

介護士としての心がまえ

最初に新人介護士に理解しておいてもらわなければいけないのは、介護事業所の理念や方針と、介護士としての心がまえです。

介護事業所を利用している利用者が「加齢により何もできない存在」ではなく、一人の人間であるという当然の事実をしっかりと認識してもらい、利用者の尊厳を守るような介護の仕方を心がけなければいけません。

これは新人介護士だけでなく、教育担当も含めたすべての介護従事者が常に心に留めておかなければいけない事項です。

接遇マナー

基本的な接遇マナーを身につけることは、どんな仕事であっても必要になります。

身だしなみや言葉遣いを整える、常に笑顔で対応するなど、基本的な接遇マナーをしっかり身につけてもらいましょう。

介護保険制度の基礎知識

介護保険制度を担う一員として、最低限知っておくべき知識を得ることも重要です。

介護保険の仕組みや、介護事業所が提供するサービスを受けるための介護給付について理解しておかないと、利用者や利用者家族の要望にどう応えれば良いか判断できません。

また高齢者介護においては介護と医療がどのように区分されるか、どう連携しているかも正しい介護を行う上では理解しておくべき事柄です。

1日の業務の流れ

1日の業務の流れがわからなければ、新人介護士は次に何をやるべきなのかが理解できません。

介護事業所全体のタイムスケジュールと、日勤・夜勤などのシフトの違いによる業務の流れを説明し、新人介護士が自ら「次にやるべきこと」を考えられるように誘導しましょう。

介護技術

実際の介護技術を教えるにあたっては、自己流でなく正しいやり方を会得してもらいましょう。

不適切な介護技術が身に付いてしまうと、身体介助時に腰痛などの健康被害が起こる危険性があります。また要介護者の転倒や誤嚥など重大事故につながる恐れがあるため、介護技術を身体が覚えこむまで繰り返し指導していく必要があります。

また、介護職ならではのスキルとして「優しさ」をもってケアをしていくことも重要ではないでしょうか。

以下の記事では、その優しさを持った介護技術習得をサポートするAIについてご紹介しています。
是非合わせてご覧ください。

優しさを伝える介護スキルの習熟度を「AIで評価する」手法を京都大学研究者らが開発

介護記録の付けかた

介護記録に記入する利用者のバイタルデータは、利用者の健康状態を管理するために重要な記録となります。

数値等の入力ミスがあると重大な事故にもつながりかねないため、単に介護記録の付け方を説明するだけでなく、ケアレスミスを防ぐためにきちんと入力内容を確認する大切さもあわせて指導しましょう。

また近年では介護記録をパソコンで作成している介護事業所がほとんどです。パソコンの扱いに不慣れな新人介護士の場合には、介護記録の付け方を教える前にパソコンの操作方法から教育しなければいけない場合もあります。

新人介護士を教育するときの5つのポイント

教育担当に任命された方は、介護の技術や知識があるベテランです。

しかし教え方については、ひとつひとつ手探りでベストな方法を探っていく必要があるでしょう。

ここからは新人介護士を教育するときに気を付けておきたい5つのポイントを簡単に説明します。

  1. 段階を踏む
  2. 実際に手本を見せる
  3. 褒めて伸ばす
  4. 自らの発見を促す
  5. 目標管理シートを活用する

以下サイトではさらに詳しく新人介護士の指導ポイントについて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

参考:教育係は必見!新人介護職員の指導で気をつけたい5つのポイント|介護ワーカー

1.段階を踏む

介護業務は食事介助・移乗・排泄介助・車椅子介助・入浴介助など、学ぶ内容が非常に多いため、一度にすべてを覚えきれるものではありません。

最初は補助的な作業をしてもらいながら、徐々に業務範囲を広げていった方が良いでしょう。

2.実際に手本を見せる

「百聞は一見に如かず」の言葉どおり、実際に介護をしている手本を見せれば、単に言葉で説明するよりはるかに理解しやすくなります。

また手本を見せるときには、どうしてその方法で行うのかを説明しながら行うと、動作の理由が明確になり理解が深まります。

3.褒めて伸ばす

南山大学人間関係研究センターの研究では、職場で褒められた経験が多ければ多いほど、働く人のやる気や組織への所属意識が高まり、離職率が低下しているという結果が出ます。

参考:南山大学人間関係研究センター|職場において「ほめ」はどのような効果を持つのか

「できて当たり前」と思わず、新人介護士に向上が見られたときには小まめに褒めて、能力を伸ばしていきましょう。

4.自らの発見を促す

教育現場やマネジメントでよく用いられる「コーチング」では、上から与えて覚えこませるよりも、自らの発見を促した方が、その後に対象者が自立して行動できるとされています。

新人介護士の教育においてもコーチングスキルを活用して「発見」に導けば、一人前の介護士として自立できる日も早まるでしょう。

コーチングスキルについては以下の記事でも触れています。

介護業界で必要とされるマネジメントとは?職種とスキル・方法を解説

5.目標管理シートを活用する

多くの介護事業所では、介護職員に「目標管理シート」「スキル達成シート」などのシートを書かせて、自らのスキルを振り返させる取り組みを行っています。

このシートを活用すれば新人介護士のスキルチェックができるばかりでなく、先ほど説明した「発見」への近道にもなります。お勤めの介護事業所で目標管理シートなどのシートを作成している場合には、新人教育にも積極的に活用しましょう。

まとめ

今回は新人介護士の教育方法について解説しました。

最初は業務に不慣れな新人介護士も、しっかり教育すれば貴重な戦力に育ちます。

この機会に教育プログラムやカリキュラムを見直し、より効果的な新人教育ができる方法を考えていきましょう。