LIFE(科学的介護情報システム)とは?申込方法・利用方法を詳しく解説

LIFE(科学的介護情報システム)とは?申込方法・利用方法を詳しく解説

最終更新日 2023.10.23

この記事の要点

  1. LIFEとは厚生労働省が運用する介護情報データベース
  2. 科学的介護とは「根拠(エビデンス)に基づく介護」を意味する言葉
  3. LIFEの申込方法はVISIT・CHASEの登録有無により異なる
  4. LIFEの利用方法は「データ提出」「フィードバック確認」「PDCAサイクル」
  5. LIFEデータは日本の介護全体の大きな財産になる

介護サービスの質向上のために、いま日本では新しい取り組みが開始されています。

そのひとつが、LIFE(科学的介護情報システム)のスタートです。

はたしてLIFEとはどんなシステムなのでしょうか。また、具体的にLIFEは誰がどうやって使えば良いのでしょうか。

今回はLIFEの概要を説明しながら、より具体的なLIFEの申込方法と活用方法について解説します。

LIFE(科学的介護情報システム)とは

LIFE(科学的介護情報システム)とは、厚生労働省が2021年4月より運用を開始した介護情報データベースです。
※LIFEはLong-term care Information system For Evidenceの略 

参考:LIFE(科学的介護情報システム)ポータルサイト

日本国内の訪問型・入所型のさまざまな介護事業所等で行われている介護サービスの内容や、介護サービス提供による効果をすべてひとつのデータベースに集めて、すべての介護事業所がデータ共有できる仕組みのシステムです。

運用を開始してから1か月後の2021年5月末日時点で、LIFEの登録数は6万事業所を超えており、さらなる登録事業所数の増大が見込まれています。

科学的介護とは

そもそも科学的介護が何のことだかわからない、という方もいるかもしれません。

科学的介護とは「根拠(エビデンス)に基づく介護」を意味する言葉です。

医療分野では1990年代頃から、患者の臨床上の疑問点について医師が関連データを精査し、専門技能を活用して臨床判断を下す「科学的裏付けに基づいた医療(EBM/Evidence Based Medicine)」が実施されてきました。

介護分野においてもEBMを参考にしながら、介護関連データから情報を分析し、科学的裏付けに基づいた介護を実践しようとする手法があり、これを科学的介護といいます。 

科学的介護に関しては日夜研究が進められています。科学的介護に関するもっと詳しい説明や研究成果については、以下の記事も参考にしてみてください。

「科学的介護」とは何か。LIFEにどう対応するか(解説動画もあり)

LIFEはVISITとCHASEを一本化したシステム

LIFEとは、VISITとCHASEという2つのシステムが統合して生まれたシステムです。

【VISITとは】2017年度より運用が開始され、2021年度に停止したシステム。通所・訪問リハビリテーション事業所のリハビリ関連データを収集していた。正式名称は「monitoring & eValuation for rehabIlitation ServIces for long-Term care」

【CHASEとは】2017年度より運用が開始され、2021年度に停止したシステム。介護利用者の状態やケア内容など200項目以上の介護データを収集していた。名称は「Care」「Health」「Status」「and」「Events」の頭文字をとった造語。CHASEの運用開始とともに介護報酬の科学的介護推進体制加算がスタートした。

VISITとCHASEをLIFEに一本化することにより、各介護事業所の介護データを一括して連携できるようになりました。

LIFEの目的

LIFEは、介護事業所がデータ提出するために自事業所の業務とその業務効果を可視化し、他事業所を含むフィードバックと比較検討するPDCAサイクルを推進するためのシステムです。

これまで介護事業所や介護スタッフは、それぞれが各自のデータやノウハウを持ち、他の事業所やスタッフとの共有がほぼありませんでした。

LIFEを通してケア内容やその効果を共有し、各介護事業所がより良いケアを実施できるようにする目的を持っています。

LIFEの申込方法

LIFEの申し込みをする人

LIFEを利用する際には、LIFEへの利用申込が必要です。

過去にVISITもしくはCHASEを利用していた介護事業所は、VISITまたはCHASEの利用登録から移行が可能です。

どちらも利用していない介護事業所の新規申込方法は以下のとおりです。

STEP1:新規利用申請

LIFEポータルサイト「新規利用登録」よりWeb申込を行います。

STEP2:利用案内はがきの郵送

毎月25日までにWeb申込を行った介護事業所に対しては、翌月初旬に利用案内はがきが郵送されます。

STEP3:LIFEアプリダウンロード

利用案内はがきに記載されたURL等の情報をもとにLIFEアプリケーションをダウンロードし、ユーザーIDとパスワードを入力します。パスワードは初回ログイン後に任意パスワードへ変更します。

STEP4:利用者情報の登録

介護事業所情報の登録や利用端末の登録を行います。

STEP5:暗号化キーの設定

LIFE管理者のみセキュリティ上必要な暗号化キーの設定を行い、介護事業所が安全にデータを提供できるよう措置を行います。

上記がすべて完了した後、LIFEが利用可能になります。

LIFEの利用方法

LIFEを利用する人

LIFEの利用方法は、大きく3つに分かれます。

  1. データの提供
  2. フィードバック票の確認
  3. PDCAサイクルへの活用

以下ではそれぞれを詳しく説明します。

データの提供

LIFEに登録している各介護事業所は、毎月10日までに前月の要介護者の情報やケア情報をLIFEまで送ります。

LIFEへのデータ提出方法は以下2種類があります。

〇LIFE とデータ連携できる介護記録ソフトを導入している介護事業所
→介護記録ソフトの入力データをCSV ファイル形式で出力し、LIFEアプリケーションに取り込む
〇介護記録ソフト未導入もしくは利用している介護記録ソフトがLIFE非対応な介護事業所
→LIFEポータルサイトで入力を行う

フィードバックの確認

LIFEからは各介護事業所から提供されたデータを取りまとめ、月1回のペースでフィードバックを行います。

フィードバック票はLIFEポータルサイトからエクセル形式でダウンロードできます。

フィードバック票には「事業所票」と「利用者票」の 2 種類があります。それぞれの内容は以下表のとおりです。

PDCAサイクルへの活用

PDCAサイクルとは「Plan→Do→Check→Action」の頭文字を取ったマネジメント用語です。

PDCAサイクルの強化により、業務改善や品質向上が達成できると考えられています。

LIFEでもデータに基づくPDCA サイクルへの活用を推進しています。

  1. ケアプランの作成(Plan)
  2. 介護サービスの提供およびLIFEへのデータ提出(Do)
  3. フィードバック票の確認(Check)
  4. ケアプランの改善(Action)

上記の繰り返しによりPDCA サイクルの好循環を実現し、より高品質なケアプランが作成できると期待されています。

LIFEを活用するメリット

LIFEにわざわざ登録し、毎月データを送る手間が増えるのは面倒なだけのようにも思えます。

しかしLIFEは、ただ単に業務の手間を増やすだけの存在ではありません。

以下では介護事業所がLIFEの活用で生じるメリットを確認しましょう。

介護報酬の加算

LIFEを利活用している介護事業所には、介護報酬に科学的介護推進体制加算(LIFE加算)が支給されます。

加算単位は介護サービスの種類により40~60となります。

LIFE加算については以下の記事で詳しく解説しています。

科学的介護推進体制加算をわかりやすく解説 介護報酬以外のLIFEのメリットとは

介護サービス品質の向上

LIFEの活用によりPDCAサイクルの循環が功を奏し、利用者の状態に沿う適切なケアプランが作成できるなど介護サービス品質が向上します。

利用者が心身ともに安定することで介護に携わるスタッフの疲労も減り、介護事業所全体の空気が良くなるなど、介護事業所の運営上でもさまざまな効果が期待できます。

日本の介護全体の向上

LIFEに全国の介護データが集約すれば、日本国内のケアに関するビッグデータが構築できます。

このビッグデータは、これからの日本の介護を考える際の重要な手掛かりとなります。

いま日本が抱えている介護問題についても解決の糸口を探ることができ、国全体がLIFEを利活用することで得られる効果のほどは計り知れません。

まとめ

今回は2021年4月から運用が開始されたLIFE(科学的介護情報システム)について説明しました。

LIFEで得られる介護データは、これからの日本の介護を考える上で大きな財産になり得るものです。

LIFEを通じて各介護事業所が手を取り合い、協力して日本の介護を良くしていきましょう。

科学的介護推進体制加算(LIFE)で必要なデータ提出頻度と毎月の作業を効率化するポイント

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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