【宇井吉美】排泄センサーHelppadの株式会社aba代表インタビュー(後編)介護職の価値を明るみに出す。

【宇井吉美】排泄センサーHelppadの株式会社aba代表インタビュー(後編)介護職の価値を明るみに出す。

これからのケアテックを担う

「人間として扱われるため」にテクノロジーを開発する

ーーケアテック協会のイベントで「老人Z(※)」というアニメをご紹介されていましたが、もし本当にサイボーグ化できるとしたら、ご自身はサイボーグになってみたいですか?

老人Z(リンク先:Wikipedia)・・・大友克洋が原作・脚本を手掛けたアニメ映画。1991年製作。厚生省が高齢化社会に向けて「在宅独居老人を介護する全自動看護ベッド」を発表するというストーリー。

私は、こんな最先端テクノロジーを作っておきながら、サイボーグになれるとしても嫌です。
人間として扱われるためにテクノロジーを開発してるところがあるのです。実は、個人的にも子供を産んだのも病院じゃなくて、より人間味のある助産院を選んでいます。
マトリックスや老人Zなどで描かれる「人間が無機物化する世界観」は、私はあんまり好きではないですね。

排泄センサーに関しても似たような話があります。一時期「自動吸引器」というものが流行りました。掃除機のチューブみたいなものを股につけて排泄してもらうものです。私自身は、股にホースを挿した状態で寝ろと言われたら嫌だなって思います。もちろん自動吸引器が役に立つ人がいらっしゃるのも確かです。
ただ「おむつ交換をもっと楽にした方がいい」という思いは分かるんです。私なら、美容院の洗髪機みたいに陰部洗浄を自動でやってくれる、ポータブルウォシュレットみたいなものだったら開発してみたいです。

日本のケアテックがもっと広がってほしい

ーー業界自体が新しいテクノロジーを受け入れていく段階にあるという感覚はありますか。

皆「やらなきゃいけないね」と言ってくれていますが、まだ難しいなと思っています。
このままだと、海外で介護ICT・介護IoTが発達しちゃって、黒船的に日本にドーンとやってくる気がしています。
例えば、ICTをふんだんに使った「中国式介護」のようなものが作られるかもしれません。それが職員数が今の半分になるし値段も超安いとしたら、最悪、日本式介護と置き換わってしまいますよね。
日本のケアテックが、半導体やロボット、スマホが陥ったのと同じ道を辿るじゃないかなという懸念があります。

せめて黒船が来航したとき、「黒船の各種部品は実は日本国産だった」と言われるようにしたいです。その場合は、製品は確かに海外で育って日本に逆輸入はされてるけれど、あくまで逆輸入でしかないですよね。
私は日本の介護を乗せた日本のケアテックがもっと広がってほしいと思ってるタイプなので、足掻きたいと思っています。その一環という意味でも、来年からシンガポールに行きます。今年ジェトロ(日本貿易振興機構)の採択を受けました。

ーー海外進出されるのですね。

「まだ全然早くない?」って言われたらそうなんですけど、海外で売れたら日本でも売れるというのはあるんです。「売れたものはいいものだ」って思われやすい。
シンガポールは、ICT大臣もいて、すごい一生懸命なんですよ。国も小さくて小回りも利きます。また、【におい】を扱う我々としては最初は日本人と体臭がある程度近いと予想される、人種でやってみたい。あとは、うちの会社に出資してくれてる人たちが、シンガポールにゆかりのある人が多くて(※)。

※株式会社abaは2019年、Mistletoe(ファウンダー:孫 泰蔵)などから総額約3.3億円を資金調達している。調達元のMistletoeはシンガポールにも法人を持つ。孫氏自身もシンガポールに移住している。

ーーTwitterを拝見しましたが、英語も勉強されていますね。

そうですね。去年深セン(中国で、科学技術が発展している中心的な都市)のコンテストに出た時に英語が喋れなくて駄目だなあと思って。そこからレアジョブを始めました。

宇井代表のTwitterアカウントでは、日々の気づきなどが更新されている。

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