【宇井吉美】排泄センサーHelppadの株式会社aba代表インタビュー(前編)たゆまぬ研究開発、現場との約束。

【宇井吉美】排泄センサーHelppadの株式会社aba代表インタビュー(前編)たゆまぬ研究開発、現場との約束。

障壁を乗り越えた先に待っていた驚き

ーーHelppadの事業化で難しいと感じられる場面はありましたか。

まず技術的に、あの形で成り立たせるのはすごく難しかったなと思います。
シート型のにおいセンサーというのは、世界中ほぼ取り組まれていないんです。においセンサーだと、だいたいオムツに貼るタイプなんですね。
「貼るタイプだとご本人の生活を乱してしまう」という職員さんの声がありました。逆に小さくしすぎると今度は職員さんが無くしちゃう問題も出てきます。
というわけで弊社はシート型のにおいセンサーを採用しているのですが、非常に難しいので他社はなかなか手を出さないのです。
あとはやはり汚物にまみれる製品なので、汚物にまみれて製品が返ってきたりとか、お客さんからも「尿や便が詰まっちゃったけど、どうしたらいいんだろう?」みたいな話を実際いただいたりとか。このあたりは製品化した後に大変だったところかなと思います。事前に予想していた障壁ではありますけどね。

ーー他に、お客さんからのフィードバックで、改善に繋がるようなもの、あるいは手放しで喜べるものは何かありましたか?

私が驚いた話があります。
この製品は(排泄物が)出た後に検知するので、データをもとに排泄パターンが取れても、正直トイレ誘導は難しいんじゃないかなと思ってたんです。しかし、トイレ誘導ができた施設様が実際いらっしゃったのです。すごく驚いたし、嬉しかったですね。

社長1

ーートイレ誘導は難しいと思っていた理由は何ですか?

ユーザー(職員)側の視点に立つと、排泄パターンが分かったとしても「(事前に予測して)トイレに誘導する」というのは職員の努力になっちゃうと思うからです。
それは私達メーカーから押し付けられないことです。それを実現されたのは、嬉しかったし、感動しましたね。

ーー「生活支援の場を乱さない」を大事にしていたからこその驚きだったのでしょうか。プロダクトによって、現場のワークフローが変化したということですね。

「おむつに排泄していた人がトイレに行けるようになる」なんて、理想郷じゃないですか。

業界では「おむつゼロ運動」などが言われていますが、なかなか難しいと思っています。「理想はそうだけど現実は違うんだよ」という声を私は職員さんから何千回と聞いてきました。
私も「おむつゼロ」は押し付けられないと思っているので、その折衷案で「せめてオムツ交換の最適化ができればな」と思っていたんです。

だけど、「現実は違うんだよ」と言っていた職員さんたち側が、我々の製品を使って、理想に踏み出してくれた。それが、すごい驚きでした。

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