介護関連の助成金まとめ 介護事業所向け・在宅介護者家族向けにわかりやすく紹介

介護関連の助成金まとめ 介護事業所向け・在宅介護者家族向けにわかりやすく紹介

最終更新日 2021.11.04

この記事の要点

  1. 介護に携わる法人・個人が利用できる助成金がある
  2. 介護事業所が利用できる助成金は主に雇用関連
  3. 介護者家族が利用できる助成金は在宅介護が条件の場合が多い

国や自治体は介護に携わる方や会社の活動を支援するために、さまざまな助成金制度を設けています。

今回は介護事業所を運営している事業主に対して支給される助成金と、在宅介護をしている介護者家族に対して支給される助成金をそれぞれ紹介します。

法人であれ個人であれ、介護人材を確保したり、介護に必要な商品や新しい介護技術を導入したりするためには資金が必要となり、そのサポートは貴重です。

介護に携わる方はこの記事を見て、利用できる助成金がないかを確認してみましょう。

助成金と補助金の違い

助成金は返済不要の交付金で、助成金の多くは厚生労働省が中心となって雇用の安定と労働環境の改善を目的としています。経済通産省、地方自治体が実施しているものもあります。

「助成金」と似ている言葉として「補助金」がありますが、この2つはどちらも返済不要の交付金ではあるものの意味合いが異なります。

 助成金について調べる前に、助成金と補助金の違いをあらかじめ一覧で確認しましょう。

名称助成金補助金
受給しやすさ条件を満たせば、原則受給できる条件を満たしても、審査や面接で落ちる場合もある
成果報告報告義務なし一定期間(5年間等)成果報告の義務あり
募集期間通年1年に1度

業務効率化やサービス向上のために導入するシステム等に対しては、多くは補助金事業として実施されています。

介護関連の補助金事業については以下の記事をご参照ください。
介護関連のICT補助金の概要を解説 給付対象になる介護業務とサービスとは
介護関連のICT補助金事業を国と自治体に分けて紹介【2021年8月最新情報】

具体的な例としては、AIケアラボのインタビューでご紹介したコニカミノルタ「HitomeQ」も厚生労働省介護ロボット導入支援補助金対象です。以下のインタビュー記事もご参照ください。
【HitomeQ】介護の現場をDXする コニカミノルタQOLソリューションズ代表・三浦雅範氏インタビュー(前編)

介護事業所が受給できる助成金

介護事業所が受給できる助成金は、主に人材雇用や職員のキャリア形成に対する内容の助成金です。

介護事業所が受給できる助成金について、以下にまとめました。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は何らかの事情により雇用されることが困難と思われる求職者を、ハローワークの紹介により雇い入れた事業主に対して支払われる助成金です。

特定求職者雇用開発助成金の受給条件を満たす事業主の方が「支給要件確認申立書」を労働局に提出し、審査されます。 適正と認められた場合、支給対象期(6カ月)ごとに2~6回に分けて労働局から事業主に支給されます。 

求職者の状況により以下一覧のコースに分けられます。主なものをまとめてみました。 

◎特定求職者雇用開発助成金コース一覧(主なもの)

コース名内容
特定就職困難者コース高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れた事業主に助成
生涯現役コース65歳以上の高年齢者を雇い入れた事業主に助成
被災者雇用開発コース東日本大震災における被災離職者等を雇い入れた事業主に助成
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース発達障害者または難治性疾患患者を雇い入れた事業主に助成
就職氷河期世代安定雇用実現コース正規雇用の機会を逃したこと等により十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な者を雇い入れた事業主に助成

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は職業経験や技能、知識が足りず安定的な就職が難しい求職者を試行的に雇用する際に事業者に対して支払われる助成金です。

上記の特定求職者雇用開発助成金と同様、ハローワーク等の紹介により雇い入れた場合にのみ助成されます。

トライアル雇用開始日から2週間以内に、対象者を紹介したハローワークに実施計画書に労働条件が確認できる書類(雇用契約書)を添付して提出します。トライアル雇用終了日の2カ月以内にハローワークまたは労働局に支給申請書を提出し、認定されれば助成金が事業主に支給されます。

最長3ヶ月のトライアル期間の間に求職者の適性を見極めることができ、特定求職者雇用開発助成金よりもハードルが低い助成金となっています。

◎トライアル雇用助成金コース一覧

コース名内容
一般トライアルコース55歳未満で安定所等の個別支援を受けている者等を試行的に雇い入れた事業主に助成
障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース障害者を試行的・段階的に雇い入れた事業主に助成
新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により離職を余儀なくされ、就労経験のない職業に就くことを希望する者を試行的に雇い入れた事業主に助成

中途採用等支援助成金

中途採用等支援助成金は中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用の拡大を図った事業主に対して支払われる助成金です。一定期間後に生産性が向上した場合には追加の助成があります。

中途採用等支援助成金の受給条件を満たす事業主は、中途採用計画を策定し、必要書類を揃えて管轄の労働局へ届け出ます。 雇い入れ後、支給申請期限に従って支給申請をします。 

区分によって支給申請期限が異なるので、各区分の支給申請期限については以下のページでご確認ください。
「雇用の安定のために(詳細版)」(令和3年4月1日改正後)|厚生労働省

◎中途採用等支援助成金コース一覧

コース名内容
中途採用拡大コース中途採用を拡大(採用率の拡大又は45歳以上を初めて雇用)した事業主に助成
UIJターンコース東京圏から移住者を雇い入れた事業主に助成

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は事業主が待遇改善や研修の実施などを行い、離職率の低下に取り組んだ場合に支払われる助成金です。

コースによって異なりますが、それぞれ改善計画書を作成、受給資格の認定、改善の実施、支給申請という流れで支給が認められると労働局より事業主へ支給されます。 

以下に人材確保等支援助成金の主なものをまとめました。

◎人材確保等支援助成金コース一覧(主なもの)

コース名内容
雇用管理制度助成コース諸手当等制度や研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間制社員制度を整備した事業主に助成
中小企業団体助成コース事業主団体が中小企業の人材確保や労働者の職場定着を支援した事業主に助成
外国人労働者就労環境整備助成コース外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(就業規則等の多言語化など)を通じて、外国人労働者の職場定着を図った事業主に助成
テレワークコース適正な労務管理下における良質なテレワークの導入・実施を通じて従業員の離職率の低下を図った事業主に助成

両立支援等助成金

両立支援等助成金は従業員が仕事と家庭生活を両立できるように支援する取り組みを行った事業主に対して支払われる助成金です。

両立支援等助成金の受給条件を満たす事業主の方が「支給要件確認申立書」を労働局に提出し、審査されます。 適正と認定された場合、労働局から事業主に助成金が支給されます。 

◎両立支援等助成金コース一覧

コース名内容
出生時両立支援コース男性の育児休業等取得推進に取り組んだ事業主に助成
介護離職防止支援コース仕事と介護の両立支援に取り組む中小企業の事業主に助成
育児休業等支援コース労働者の円滑な育児休業取得・職場復帰に取り組む中小企業の事業主に助成
女性活躍加速化コース女性が活躍しやすい職場環境を整備し目標を達成した従業員300人以下の中小企業の事業主に助成
不妊治療両立支援コース不妊治療のための休暇制度等を利用しやすい雇用環境整備に取り組み、不妊治療を受けている労働者に休暇制度等を利用させた事業主に助成

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は非正規雇用の正社員化など、非正規雇用労働者に対する処遇改善を行った事業主に支払われる助成金です。

各コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」等を作成、提出します。取組実施後6ヶ月分の賃金を支給した日から2カ月以内に助成金の支給を申請し、認定されれば助成金が労働局から事業主に支給されます。 

以下にキャリアアップ助成金の主なものをまとめました。 

◎キャリアアップ助成金コース一覧(主なもの)

コース名内容
正社員化コース非正規雇用労働者を正規雇用に転換した事業主に助成
障害者正社員化コース障害のある非正規雇用労働者を正規雇用に転換した事業主に助成
賃金規定等改定コース非正規雇用労働者の基本給の賃金規定等を改定し2%以上増額した事業主に助成
賃金規定等共通化コース正規雇用と非正規雇用の賃金規定を職務等に応じ共通化した事業主に助成
諸手当制度等共通化コース正規雇用と非正規雇用の諸手当制度を共通化、もしくは非正規雇用労働者を対象とする法定外の健康診断制度を新たに設けて延べ4人以上実施した事業主に助成

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は職業訓練や研修の実施、または教育訓練休暇を与えるなど、従業員のキャリアアップを支援する事業主等に支払われる助成金です。

各コースによって要件が異なるので、以下のコース名のリンクでご確認ください。

◎人材開発支援助成金コース一覧

コース名内容
一般訓練コース職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を実施した事業主に助成
特定訓練コースOJTとOff-JTを組み合わせた訓練、若年者への訓練、労働生産性向上に資する訓練等を実施した事業主に助成
教育訓練休暇付与コース有給教育訓練休暇制度を導入した事業主に助成
特別育成訓練コース非正規雇用労働者に対して職業訓練を行った事業主に助成
障害者職業能力開発コース障害者に対して職業能力開発訓練事業を実施した事業主に助成

介護者家族が受給できる助成金

高齢者をいたわる家族

介護事業所向けの助成金の次は、介護者家族向けの助成金をいくつかご紹介します。

介護者家族向けの助成金は、基本的に在宅介護を行っている同居家族に対して支給されます。親がすでに老人ホーム等の施設に入居しているときには、例え親が要介護状態であっても助成金の受給はできません。

老人ホーム等の支払費用に対する国の支援は、高額介護サービス費制度などが別途設けられています。

参考:厚生労働省|令和3年8月から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます

家族介護慰労金

家族介護慰労金は要介護度4または5の要介護者を自宅で介護している同居家族に対して毎年1回支払われる助成金です。

介護を受けている方とその家族(介護者)が居住している自治体(市区町村)へ申請書を提出し、認定されれば介護をしている方に自治体より慰労金が支給されます。 

各自治体により支給金額、受給条件等が異なる場合があるので、詳しい内容は各自治体にお問合せ下さい。

訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスによる在宅介護支援を利用している場合は助成の対象外となります。また、要介護者・介護者家族ともに市町村民税非課税の世帯である必要があります。

介護休業給付

介護休業給付は要介護者を介護するために休職し、介護休業を取得した雇用保険被保険者に対して支払われる助成金です。

介護休業給付の申請は勤めている会社から行います。介護者家族が自身で申請を行うことはありません。

なお介護休業給付は職場復帰を前提とした助成金であるため、介護を理由に退職した方は助成の対象になりません。また休職以前に雇用保険に1年以上加入していた実績が必要となります。

住宅設備改修給付(自治体による)

住宅設備改修給付は介護のために自宅をリフォーム・改築・増築した世帯に対して支払われる助成金です。

介護リフォームに際してはもともと介護保険より補助金が支給されますが、補助金だけでは足りない分を自治体によっては助成金で補填しています。

参考:台東区|住宅設備改修給付(改修・新設)

まとめ

今回は介護事業所および介護者家族に対して支給される、介護関連の助成金について解説しました。

介護事業所も介護者家族も、助成金をうまく使って経済的な負担を減らし、余裕を持った温かみのある介護ができるようにしましょう。