【HitomeQ】介護の現場をDXする コニカミノルタQOLソリューションズ代表・三浦雅範氏インタビュー(前編)

【HitomeQ】介護の現場をDXする コニカミノルタQOLソリューションズ代表・三浦雅範氏インタビュー(前編)

顧客起点とトライアンドエラーの末に見えたもの

新興企業がAIで事業を作ることとは全く違う成り立ちですよね。成果についてはいかがでしょうか?

むしろ、成果に行くまでの失敗の数の方が多いかと思います。
この介護という世界で、顧客起点で考えるとき何が起こるかをお話ししたいと思います。

徹底的なヒアリング

私どもはまず、介護施設を持つ170社にヒアリングをかけました。ところが、事業者様の現場前線にいる人から聞いた話は、「確かに困りごとではあるけれど、全体最適できる困りごとではなかった」のです。
ヒアリングで頂く声は、その担当者の困り事であって、業界全体、あるいは事業者全体の大きな課題とは必ずしも一致しません。しかしそれは最初はなかなか見つけられないのです。

ただ、新規事業をスタートするとき、やはり最初のタッチポイントはお客様から聞くことです。最初はお客様起点で、お客様のお困り事から事業開発をしていくことになります。
そして最初に何に取り組んだか。それは「見守り」です。見守りの中でも、特に「転倒の検知をしてほしい」という課題からスタートしました。

※参考:転倒検知のテクノロジーとは▶︎突発的な「転倒」、AIの技術で防ぐ 転倒の生まれる過程をリアルタイムに追跡

試行錯誤を繰り返す

確かに「転倒」は大きな問題のようでした。転倒が起こったとき、利用者様の家族に対して説明責任が発生したり、重篤事故の場合は行政へ説明しなければならないのです。しかし、説明のためのエビデンスはなかなか揃いません。本人に聞いても、認知症の方であれば、状況が掴めないという問題もあります。このように、出口のないような状況を介護現場は経験されています。我々の場合は、人がこけたのをAIで画像認識すると、その前後の状況をドライブレコーダーのように動画で保存できます。それがエビデンスになります。
私たちは「これは一つ顧客価値としてヒットしたな」と感じてサービスの提供を決めるのですが、PoC(Proof of Concept)として販売をスタートしてもなかなか売れないのですよ。

※PoC(Proof of Concept)・・・新しい技術やアイデアが実現可能か、効果的かどうかを確認するために実験を行うこと。

コニカミノルタQOLソリューションズ代表・三浦雅範氏近影3

これはおかしいということで、哲学を同じくする事業者様と組んで、システムを導入していただいた現場に入らせていただくと、確かに転倒の問題はあるけれど、それ以上の問題がわかってきました。

第三者視点でこそ分かること

この介護の世界では介護処置を報酬として請求するレセプトが売上となるため、どのような処置を行ったか介護記録を一人ひとり入力するんです。その入力を漏らさないように日中はいったん紙にメモを取る。中には日中の仕事が終わった後に夜にステーションに行って残業で入力される方もいます。
そこで働いてる人はそれが当たり前だから課題だと思わないのです。そのため、ヒアリングしても課題という形で出てこないんですね。ここがポイントなんです。我々から見ると、「どうしてこんなに無駄なことをされてるのだろう」となるのです。

課題が明確になったのは、弊社の従業員が24時間現場に張りついたときですね。介護スタッフがお部屋で介助されて、ステーションに戻る前に立ち止まって少し考え事されるというシーンを何回も見ました。我々のメンバーが「何されてるんですか」と聞くと、「A室に行ったときにはオムツを交換して、B室に行ったときには何々をして・・・」と、一生懸命思い返しながら、紙のメモに書いているのです。その後、介護スタッフはステーションに戻ってメモを見ながら介護記録を入力し直す。
これ、毎回やるんですよ。介護記録を紙に書く場合は、せいぜい3部屋行ったらもう覚えられないんです。

ここで我々は何をしたかというと、各介護スタッフの皆さんには見守り機能をもつHitomeQのスマートフォンを所持していただいているので、彼らにそのスマートフォンを使って「介護記録を全部その場でデジタル入力」して頂くことをスタートします。

人海戦術の介護現場では、そのオペレーションの中で、記録作業を一旦ステーションまで持っていくというワークフローを行なっているのが普通です。その場でスマートフォンから直接入力する事で、「一旦ステーションに戻る」という作業をなくしました。

そして、圧倒的に効率が上がりました。
これは、単純なヒアリングでは分からないことですよ。

■トピックのまとめ

  • 顧客起点で事業開発するため徹底的なヒアリングを行った
  • ヒアリングから見えてきた「転倒検知」のニーズに応えた
  • 自ら現場に入ることでヒアリングでは分からない重要な問題に気づいた

▶︎▶︎NEXT 現場に定着するまで徹底的に支援する