介護業務が楽になる見守りロボットとは 種類・導入効果・利用者の声

介護業務が楽になる見守りロボットとは 種類・導入効果・利用者の声

この記事の要点

  1. 見守りロボットとは介護ロボットの1種
  2. ロボットとは「情報関知・判断・動作」ができる機械システム
  3. 見守りロボットの導入に伴い介護事業所・職員・要介護者それぞれにメリットがある

「見守りロボット」と聞くと、人型ロボットが銀色の身体で人間を見つめている姿を連想する人がいるかもしれません。

また「常に監視されているようで嫌だ」と拒否感を示す人もいます。

しかし現在の介護事業所で活躍している見守りロボットは、いわゆる人型のロボットだけではありません。また多くの介護ロボットシステムでは、見守り対象者のプライバシーにも配慮しています。

今回は見守りロボットの説明に加え、見守りロボットを導入した介護事業所が実際に感じている導入効果について解説します。

介護ロボットとは

まずは介護ロボットとは何かをはっきりさせておきましょう。

厚生労働省ではロボットを「以下3つの要素を持つ知能化した機械システム」と定義しています。

  1. 情報を感知し(センサー系)
  2. 判断し(知能・制御系)
  3. 動作する(駆動系)

上記3つの条件を満たすロボットの中でも、高齢者や障害者などの自立を支援し介護者の負担軽減に役立つものを「介護ロボット」と呼びます。

本記事においても厚生労働省の定義に基づいて説明していきます。
参考:厚生労働省|介護ロボットとは

見守りロボットは介護ロボットの一種

スマホで操作

以前から存在していた見守りセンサーにロボット技術を応用し、センサーから得られる情報を自動認識して多様な対応を可能にした機器は、一般的に「見守りロボット」と呼ばれています。

つまり見守りロボットとは従来の見守りセンサーが高機能となったものと考えると、イメージがつかみやすいでしょう。

見守りセンサーとの違い

単なる見守りセンサーに比べて、介護に見守りロボットを導入した際には以下の点が向上すると考えられます。

  1. 転倒につながる予兆動作をあらかじめ検知できる
  2. 緊急度や優先順位の判断ができる
  3. リアルタイムの安全確認ができる
  4. 検知範囲が柔軟に設定できる
  5. 画像認識精度が上がり誤報が予防できる
  6. タイミングの良い訪室によりプライバシーの配慮ができる
  7. 蓄積データから転倒・落下事故の原因・背景を分析し対策が立てられる

見守りロボット以外の介護ロボット

介護ロボットは見守りロボット以外にも多くの種類があり、介護者のいろいろな業務を支援しています。

見守りロボット以外の介護ロボットについて知りたい人は以下の記事を参考にしてください。
介護事業所で利用されているAI・ロボット9種 最新の導入割合と活用の方策

見守りロボットの種類

見守りロボットはセンサー種別により以下4つに分類され、それぞれの種類ごとにメリットとデメリットがあります。

人感センサーロボット

人間の体温に反応し、要介護者の離床やベッドからのはみ出しを検知して報告するタイプの見守りロボットです。

荷重センサーロボット

ベッドの脚部にセンサーを取付けて荷重を検知し、要介護者の位置や状態を判断するタイプの見守りロボットです。人感センサーと同様の機能を持っていますが、より早い検知が可能となります。

バイタルセンサーロボット

体動・心拍・呼吸を検出するセンサーをベッドマット下に設置し、要介護者のバイタルサインを遠隔から監視するタイプの見守りロボットです。要介護者のバイタルサインに異常があった場合に通知されます。

シルエットセンサーロボット

要介護者の姿をセンサーが見守り、シルエット加工された画像や映像を遠隔の介護者に送信するタイプの見守りロボットです。

見守りロボットの種類メリットデメリット
人感センサーロボット要介護者の視野に入りにくい場所に設置できるため精神的な負担にならない
断線による故障の可能性が少ない
要介護者の状態を画像で確認できない
荷重センサーロボット検知スピードが早い介護者の介助中にも通知がされてしまう
要介護者の状態を画像で確認できない
バイタルセンサーロボット健康状態に問題がある要介護者の急変に即時対応できる要介護者の状態を画像で確認できない
シルエットセンサーロボットプライバシーに配慮できる
設置場所が自由に選択できる
録画された画像・映像から振り返りができる
居室の光の状態により誤作動の可能性がある

見守りロボット導入時のメリット

見守りロボットを介護事業所が導入することにより、介護事業所ならびに介護スタッフには以下のようなメリットがあると考えられます。

見守り業務の負担軽減

見守りロボットが常に要介護者の状態を確認しているため、夜間の見守り巡回の頻度が減らせ介護スタッフの業務負担が軽減します。

以下のグラフは見守りロボットA.I.Viewlife導入後(赤線)、夜勤ストレスが低減していることを示しています。

また、過度な見守り巡回で要介護者の睡眠を妨げることがなくなり、要介護者にとっても良い影響があります。

事故リスクの回避

要介護者の動きを予兆できるため、転倒リスクの高い人が夜間にトイレへ移動する際にスタッフがあらかじめ介助に向かうことができ、事故を未然に防げる確率が高まります。

厚生労働省介護給付費分科会の調査結果によれば、見守りロボットを導入した介護事業所のおよそ3割弱が導入前に比べて「ヒヤリハット介護事故」が5件未満減少したと回答しています。

ヒヤリハット介護事故が20件以上減少したと回答している介護事業所も1%弱存在し、これまでの事故防止対策に見守りロボットをプラスすることで、さらなるリスク回避が期待できます。

参考:厚生労働省|介護ロボットの効果実証に関する調査研究事業

介護報酬の加算

平成30年度の介護報酬改定により、見守りロボットを導入した介護事業所は夜勤職員配置加算の取得条件が緩和されています。

参考:厚生労働省|夜勤職員配置加算の要件の見直し

上記の改定により夜勤職員の数が最低基準を0.9人上回っていれば介護報酬が加算されるようになったため、夜間勤務0.1人分の余裕が出て夜勤スタッフの休息が取りやすくなったそうです。

見守りロボット導入に伴う介護報酬加算は、介護事業所にとってメリットがあるばかりでなく、介護スタッフにとってもメリットがあると言えます。

介護事業所の見守りロボット導入効果

上記で挙げたメリットを、見守りロボットを導入済の介護事業所やスタッフはどんな効果としてとらえているのでしょうか。

見守りロボットを導入済の介護事業所職員に厚生労働省が行ったアンケート調査では、回答をまとめた導入後の効果をグラフにまとめています。

介護職員の目線から見た見守りロボットの導入効果は、「早めの対応ができ、転倒が減った」「夜間の失禁が減った」など利用者のQOL(生活の質)向上につながる回答が目立ちます。

見守りロボットは要介護者の監視や行動制限の用具としてではなく、見守り対象者の自立とQOLの向上が目的なことを、すでに見守りロボットを活用している介護職員が一番実感しているようです。

まとめ

今回は介護ロボットの1種である見守りロボットについて詳しく解説しました。

介護事業所にも介護スタッフにも、そして要介護者本人にも多大な効果がある見守りロボットの存在は、これからの介護を楽にしてくれる一助となる可能性があります。

まだ見守りロボットを導入していない介護事業所はぜひ導入を検討してみましょう。