介護業界で知っておくべきIT企業9社  IT企業が介護に協力できること

介護業界で知っておくべきIT企業9社  IT企業が介護に協力できること

最終更新日 2023.10.23

人間を相手にする介護と、コンピューターを相手にするIT(Information Technology)では、水と油のような気もします。

しかし最近では、多くのIT企業が介護分野に進出してきています。

最新のテクノロジーを駆使したIT企業のサービスを利用すれば、介護の仕事がもっと効率的に、やりやすくなるかもしれません。

今回は介護事業所向けのサービスを展開しているIT企業を9社ご紹介します。それぞれどのような形で介護業界に貢献しているか確認しましょう。

IT企業が介護分野に注目している

日本の超高齢化に伴い、介護に関わる製品やサービスはこれからの日本でさらに大きな市場となっていくものと考えられます。そのため、日本国内の多くの企業が介護分野に進出してきました。

建築会社の長谷工グループ、通信教育などを行うベネッセ、警備会社のセコムなどが介護分野に進出した企業例として挙げられます。

IT企業も例外ではありません。ですがIT企業の場合は自社が直接的に介護事業所を運営する訳ではなく、IT技術によって介護業務を支援する参入の仕方を選択しているケースが多いです。

介護(ケア)とIT(テクノロジー)を合わせた「ケアテック」という造語も生まれ、世の中に広まりつつあります。

参考:日本ケアテック協会

IT企業が介護に協力できること

それでは、IT企業はどのような形で介護業務を支援しているのでしょうか。

IT技術が介護業務に協力できることを以下にまとめました。

業務支援システム

介護記録やケアプランをタブレットやスマートフォン、パソコンなどで作成し、スタッフ間の情報共有からレセプト提出まで一元化して行う業務支援システムは、スタッフおよび事業所の事務負担軽減につながります。

介護ロボット

いわゆる「ロボットらしい」形状をして要介護者の移乗や入浴、トイレ誘導を助ける介護ロボットや、形状にこだわらずコンピューターを内蔵して見守りや排泄支援などを行う介護ロボットなど、さまざまなスタイルのロボットがあります。

介護ロボットについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
介護事業所で利用されているAI・ロボット9種 最新の導入割合と活用の方策

求人サイト

インターネットで介護スタッフの募集を行う手段も、IT企業の協力がなければ成しえません。

2019年に実施された厚生労働省のアンケート調査によれば、介護職の求職者のおよそ6割が求人サイトや介護事業所の公式サイトからの応募などインターネットによる仕事探し方法を「よく利用する」と答えています。

参考:厚生労働省|医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査

人材育成

採用したスタッフの教育など人材育成に関してもIT技術が活用されています。

VR(Virtual Reality/仮想空間)を使って介護実習や認知症体験プログラムを実施し、介護業務研修の機会を提供している企業も存在します。

参考:株式会社シルバーウッド|VR認知症

情報・コミュニティ

在宅介護を行っている介護者家族のコミュニティサイトや、介護スタッフ同士の情報交換が行えるサイトなど、インターネット上でさまざまなサイトやアプリが介護に携わる人たちを応援しています。

IT活用で介護事業所の課題を解決【8つの事例紹介】

介護業界に進出するIT企業9社

以下からは具体的な、介護事業所向けのITサービスを展開しているIT企業を9社ご紹介します。

上記でご紹介したような介護者向けITサービスを提供しているIT企業は多数存在しますが、ここでは特に介護分野への参入の仕方が特徴的なIT企業を取り上げました。

株式会社ワイズマン

  • 創業:1983年
  • 資本金:1億円
  • 拠点数:11箇所以上
  • 上場:未上場

株式会社ワイズマンはもともと医療機関向け業務支援ソフトウェアの開発を行っていた企業ですが、現在は介護・福祉向け製品や医療・介護連携サービス「MeLL+(メルタス)」などのサービスを展開し、多職種スタッフ間での情報共有による地域包括ケアシステムの実現を支援しています。

株式会社ワイズマン公式サイト:https://www.wiseman.co.jp/

株式会社ウェルモ

  • 創業:2013年
  • 資本金:1億円以上
  • 拠点数:6箇所
  • 上場:未上場

株式会社ウェルモの代表は人事領域のITコンサルタントを経て介護業界に進出した人物です。現在「一般社団法人日本ケアテック協会」の代表理事も兼務しています。

人工知能エンジンによるケアプラン作成サービス「ミルモプラン」などを運営しています。

株式会社ウェルモ公式サイト:https://welmo.co.jp/

CYBERDYNE株式会社

  • 創業:2004年
  • 資本金:165億円以上
  • 拠点数:2箇所
  • 上場:東証マザーズ 

CYBERDYNE株式会社は筑波大学システム情報系・サイバニクス研究センター研究統括の 山海嘉之教授が研究成果を社会貢献に活かすため大学発ベンチャーとして設立した企業です。超高齢社会が直面する様々な社会課題の解決に向けて、HAL®という装着型サイボーグの研究開発などを行っています。

CYBERDYNE株式会社公式サイト:https://www.cyberdyne.jp/

AIケアラボでは、CYBERDYNE株式会社にインタビューを実施しています。こちらも併せてご覧ください。 
【サイバーダイン】介護アシストスーツHAL企業インタビュー(前編)~現場と共にソリューションを作る~ 
【サイバーダイン】介護アシストスーツHAL企業インタビュー(後編)~テクノロジーの花を咲かせるのは現場~ 

株式会社カナミックネットワーク

  • 創業:2000年
  • 資本金:3億円以上
  • 拠点数:7箇所
  • 上場:東証1部

株式会社カナミックネットワークは介護業界専業のIT企業の中で唯一、東証1部に上場を果たしている企業です。医療介護連携支援、介護業務支援システムを提供しています。介護・医療のIT化を支援するため、総務省主宰の「IoTサービス創出支援事業」など国の事業にも積極的に参画しています。

株式会社カナミックネットワーク公式サイト:https://www.kanamic.net/

コニカミノルタQOLソリューションズ株式会社

  • 創業:2018年
  • 資本金:3億2,500万円(コニカミノルタ株式会社100%出資)
  • 拠点数:1箇所
  • 上場:未上場(コニカミノルタ株式会社は東証一部)

コニカミノルタQOLソリューションズ株式会社は、コニカミノルタの介護施設向け事業からはじまった企業です。コニカミノルタの光学技術、画像分析技術が介護現場で「HitomeQ ケアサポート」として活かされています。見守りから業務効率化まで施設の課題に合わせたプランが揃っています。

コニカミノルタQOLソリューションズ株式会社公式サイト:https://www.konicaminolta.com/jp-ja/care-support/

コニカミノルタQOLソリューションズ株式会社については、インタビューも行っております。是非合わせてご覧ください。
【HitomeQ】介護の現場をDXする コニカミノルタQOLソリューションズ代表・三浦雅範氏インタビュー(前編)
【コニカミノルタ】これからの介護に必要なテクノロジーとは 三浦代表インタビュー(中編)
高い視座で、介護業界を変えていく。コニカミノルタQOLソリューションズ代表インタビュー(後編) 

株式会社ビーブリッド

  • 創業:2010年
  • 資本金:非公開
  • 拠点数:2箇所
  • 上場:未上場

システムエンジニア、ITコンサルタントの経験を活かし「介護とITの橋渡し」を実現するために創業された企業が株式会社ビーブリッドです。

介護・福祉施設および医療機関専門のITサポートサービスや、介護事業所でのIT研修、Webサイト制作などを行っています。また介護業界のICT活用を促進するために各行政や団体で講演を行い、介護業界のIT啓発について積極的に活動しています。

株式会社ビーブリッド公式サイト:https://www.bibrid.co.jp/

株式会社ケアリッツ・アンド・パートナーズ

  • 創業:2008年
  • 資本金:5,000万円
  • 拠点数:133箇所(介護事業所含む)
  • 上場:未上場

株式会社ケアリッツ・アンド・パートナーズは創業当初よりITシステムコンサルティングと介護事業所運営という、2つの異なる分野を両立させています。

ITコンサルティング会社出身の代表も自ら介護の現場で日々作業に携わっていますので、介護者の気持ちや現場業務を知り尽くしたITサービスの提供が期待できます。

株式会社ケアリッツ・アンド・パートナーズ公式サイト:https://www.careritz.co.jp/

株式会社メルティンMMI

  • 創業:2013年
  • 資本金:1億円
  • 拠点数:1箇所
  • 上場:未上場

株式会社メルティンMMIは生体信号・ロボット技術を利用したサイボーグ事業を展開するIT企業です。2018年に独自開発のアバターロボット「MELTANT-α(メルタント・アルファ)」を発表し、柔軟性・スピード・パワー・耐久性・緻密さを兼ね備えた「もうひとつの身体」を使って身体による限界を突破しようとしています。

医療・福祉・介護業界におけるサイボーグの活用シーンとしてはアバター外出や遠隔手術などが現時点で想定されています。

株式会社メルティンMMI公式サイト:https://www.meltin.jp/

株式会社Giver Link(ギバーリンク)

  • 創業:2020年
  • 資本金:非公開
  • 拠点数:2箇所
  • 上場:未上場

株式会社Giver Linkは「介護のコミミ」という介護ツール選びをサポートする介護ソフト専門メディアを運営しています。介護事業者の「何を導入すればわからない」というお悩みをなくし、最適なツールが見つかるよう「本音の口コミ」と言う製品レビューや他にも業務改善に役立つコンテンツが用意されています。

株式会社Giver Link公式サイト:https://comimi.jp/company/

株式会社Giver Linkについては、インタビューも行っております。是非合わせてご覧ください。
1億円資金調達の介護ICTツール比較サイト「介護のコミミ」運営 早坂祐哉氏インタビュー(前編)

まとめ

今回は介護事業所向けの製品・サービスを提供しているIT企業をご紹介しました。

今回ご紹介したIT企業はほんの一部です。テクノロジーの力を介護業務に利用するための仲立ちをしてくれるIT企業はまだまだたくさんあります。

どんなIT企業が自身の介護業務を支援してくれる可能性があるか、複数のIT企業を調べて検討してみましょう。

臼井 貴紀
● 監修者情報
臼井 貴紀 Usui Kiki
Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit株式会社を設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んで開発したCarebee(ケアビー)は、日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。
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