【芙蓉開発】だれでも使えるAIで、当たり前を作る。【前田俊輔】(介護AI・介護DXインタビュー)前編

【芙蓉開発】だれでも使えるAIで、当たり前を作る。【前田俊輔】(介護AI・介護DXインタビュー)前編

最終更新日 2021.08.31

「技術があるから役に立つ」ではない

市場のジレンマへの向き合い方

ー新しいタイプの事業を進められる際の苦労はありますか?

そうですね、まず、AIなど(先端テクノロジー)は必要とされていないと何の役にも立ちません。例えばアメリカで高齢者個人のバイタルデータ分析が出ていないのは、アメリカでは皆保険制度がありませんから、医療費抑制が重要視されていない。よって「早期発見して早期治療」にお金を払うのは、ユーザー(高齢者自身)ということになる。しかしユーザーが早期発見にお金を払うという習慣がまだ無い。ビジネスモデルができていないと、ビジネスモデルから作らないといけない。そんなことはできないので、ニーズがあるところから技術を提供していこうというのが考え方です。

ーパイオニアとしての考え方が感じられますね。

パイオニアすぎて、周りが誰もついてこないので、なかなか価値が認められないですね(笑)

今年からは変わりましたよ、大きな介護報酬の改正があったので。今までは、(介護される方の状態を)良くすれば良くするほど介護報酬が下がっていました。つまり逆ベクトルが働いていました。みんな関心は持つんですけど、じゃあお金を払ってそれをするかと言ったら、一部の人しかやらない。
実の所、施設内の肺炎を高確率で検知するAIも既に完成しています。しかし世の中のニーズがない。私たちがいま気をつけなくてはいけないのは、「技術があるから世の中の役に立つ」ではないということです。「それが求められていないと役に立たない」ので開発ペースを調整しなきゃいけません。やろうと思えば、正直、色々とやれると思います。

ーこうしてお話をお伺いしないと、そういったことは外からは分からないですね。

残念なことに、このコロナ禍の2年間で世界ではAIが進みましが、日本ではほとんど進んでいないと思います。我々がいち早くやろうと思っても、日本の市場自体が反応しないのはわかっていました。なので反応するところからやるしかないですね。

ーAIケアラボというこのメディアも、先進的なテーマでやっていますので、お気持ち通じるところはあるかもしれません。
先日「ケアテックフォーラム」というのがあったように、日本でも科学的介護をやっていこうという波がある気がしますね。

まさしく、今年の4月から変わったというのはそれです。やっと、ケアの方向性が「介護される方の状態をよくしたほうが報酬がよくなる」ようになりました。ついに「自立支援・重度化防止」、つまり良くする方向にインセンティブを出す方向が示されました。なので、私たちに関しては結果はすでに出ているので、いわゆる告知活動を今進めているという感じですね。

ーわれわれの記事もお力添えになればとも思います。

技術ありきで進めるとミスマッチする

ー現場を持っていらっしゃるということなのですが、現場でAIを扱う際に気をつけていることはなんですか?

現場からすれば、自分の悩み事を解決してくれるなら、ICT、AIでも紙でも、なんでも構わないんですよ。なので、「どんな悩み事を解決してくれるのか?」という視点で考えないといけないです。技術ありきで進めるとミスマッチすることが多いですね。

ーAIの技術はアカデミアからきたこともあって、技術先行で進んでしまうところもありますよね。

でもそれを欲しがる人、もっといえばお金を出す人がいないと、ただアカデミックなだけになってしまうし、それは私たちみたいなところだと続かないですよね。ただ、技術だけで考えたら我々も色々なことができます!

■トピックのまとめ

  • 市場のニーズを見定めて開発・リリースする
  • 現場の視点で考える

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